付け焼き刃の覚え書き

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「ミミズクと夜の王」 紅玉いづき

2017-01-09 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「人はそんなに軽々しく、つらい過去を忘れてもいいものだろうか。たとえば、幸福っていうのはたくさんの涙や、苦しみの上で初めて輝きを増すんじゃなかろうか。人の強さはそういうものなんじゃ」
 聖騎士アン・デュークは聖女オリエッタに問いかける。ミミズクの記憶が無くなったのは幸せなことなのかなと。

 その少女は人間であることを自ら否定した。
 奴隷として生き、ミミズと呼ばれ、土をぶつけられ、汚れ仕事で生きてきた少女は、その名に「苦」を足してミミズクと名乗った。
 盗賊の村から逃れて魔物の棲む森の奥に迷い込んだミミズクの望みはただ一つ。魔物の王に食べてもらって死ぬことだけだった……。

 自ら不自由を選ぶ自由もあるのだという、ミミズクと夜の王の物語。
 電撃文庫も少年ジャンプと同じく懐の深い媒体で、いわゆるテンプレ的な王道パターンの作品でシェアを稼ぐ一方で、他がなかなか拾わなさそうなピーキーな作品もとりあえず発表の場を与える余力があります。ハイリスク・ハイリターンとローリスク・ローリターンをうまく使い分けてると思います。
 で、「電撃文庫から出る本はライトノベル」という盲目的な分類をすると、この本もライトノベルだけれど、内容的にも装丁も児童文学ですよね。

【ミミズクと夜の王】【紅玉いづき】【磯野宏夫】【電撃文庫】【小さな少女の崩壊と再生の物語】【有川浩】【深沢美潮】

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