付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「虚戦士と終わりの鐘」 あやめゆう

2013-02-13 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「いつだって何処にだって、この世は理不尽でいっぱいだ」
 それでも自分は歩き続けてみせると、カミナ・クルスの言葉。

 突如として起こったクーデターで王族は一掃され、孤児として育てられた少女ミルナは前王の隠し子にして最後の王位継承者として追われる身となってしまった。
 逃亡するミルナたちの前に現れた少年は、いともたやすく追っ手を退けるが、その戦いぶりは伝説の〈虚戦士〉のように禍々しく……。

「この世の大半は厄介ごとよ」
 妖精王シグリィエル・リム・ロントの言葉。

 金と鐘で終わる物語。
 読み終わるまで気づかなかったけれど、3部作の完結編で大団円。前2作を慌ててネット通販で購入する手配。読まなくても愉しめるのだけれど、共通のキャラクターが多いらしいので。
 ストーリー的には、謎の青年カミナが事実上の主人公。肝心のヒロインであるお姫様は、終始「望まずして錦の御旗に祀り上げられた」感が強くて状況に流されっぱなし。主人公クロードは流されっぱなしのヒロインを守ることだけに専念していて、状況を動かそうとはしないし、そうする必要があることも意識してません。
 でも、物語的にはクロードとミルナは御伽噺の主人公。人間的な感情の多くが欠落したような(まるでキリコ・キュービーみたいな)クロードと対になると、普通に「良い娘」で相手をふんわり柔軟に包み込むタイプのミルナがベスト・パートナー。違和感なくはまってしまいます
 それゆえに、ああいう結末になることは想定の範囲ですね。あの2人なら、ああなる以外にハッピーエンドで終わる選択肢はないじゃないですか。 

【虚戦士と終わりの鐘】【RINGADAWN〈リンガドン〉】【あやめゆう】【BUNBUN】【C・NOVELファンタジア】【御伽噺シリーズ】【国際政治】【一騎駆け】【暗殺者】【交易】【流浪の民】
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「夜の光」 坂木司

2013-02-12 | ミステリー・推理小説
「願わくば、あなたたちのコーヒーがいつも香り高きものでありますように」

 己の正体を偽り、目的を隠し、決して自分からは動かず、ただジッとチャンスを待つのがスパイだというなら、この天文部に所属する4人は紛れもなくスパイだ。
 誰もが自分の秘密を抱え込み、学校という戦場で自分に課せられた任務を遂行しようと夜を駆ける。
 ただ、手に持ったコーヒーだけが熱く、濃い……。

 4人の高校生がそれぞれの自分語りをしていく中で、彼らの間に投げ込まれる小さな謎が解かれていく物語。ただ、物語における謎の存在が、日常系ミステリというにはあまりにささやかで、これを強行にミステリ呼ばわりすると大半の文芸作品がミステリに区分されかねない気がします。個々の謎そのものよりも、各自が抱える将来の進路、家族のトラブル、恋愛の行方など、誰にも話さない/話せない問題の方が根深いですから。

「イメージが先行してがっかりなんて、よくあることさブラザー。むしろイメージとリアルが一致する方が奇跡なんだ。でもその素晴らしさをすぐ忘れてしまうから、人はいつまでたっても幸せになれない」
 ゲージの言葉。
 人生はスペシャルで特別。でも、特別でありたいと願うことそのものが、ごく普通のことなのだ。

【夜の光】【坂木司】【石川絢士】【新潮文庫】【オフビートな青春小説】【合宿】【文化祭】【養蜂】
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「実践 ゲームマスターの達人」 G・ガイギャックス

2013-02-11 | エッセー・人文・科学
「目的にあったゲームをえらぶべき」
 なんでもできるヒーローを演じたかったら、AD&Dのシステムは使うなということ。

 シナリオの作り方からコンベンションの開催方法まで、D&Dのデザイナーであるガイギャックスが語る、TRPGマスターへの道。
 『ロールプレイング・ゲームの達人』の続編で、今回はマスターの達人になるための解説書です。マスターはクリエイターであり、デザイナーであり、裁決者であり、予言者であり、監督であり、審判であり……といろいろ役割を果たすことを求めています。
 イベントの運営や広報のやり方まで言及しているあたりが、いかにも啓蒙本。こういう本を作ろうと思うと、みんな自分の知る限りのことを伝えたくなるんですよ。
 最近はこういう本や記事は少なくなった気がします。リプレイ本がその役目を果たしているんでしょうが、リプレイ本はさすがにイベントの主催者になる方法までは教えてくれませんよね。

【実践 ゲームマスターの達人】【G・ガイギャックス】【鈴木健介】【多摩豊】【デューン】【ペルシダー】【ボードゲーム】
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「ゲーム・プレイヤー」 イアン・M・バンクス

2013-02-10 | 宇宙・スペースオペラ
「うしろめたいシステムは無垢な人間の存在を認めない」

 人類文明“カルチャー”は頂点に達していた。
 貧困も病気も、死すら超越してしまい、人々は日々、さまざまなゲームに興じている。
 ゲームの達人と呼ばれているジェルノー・グルゲーのもとに、究極のゲームへの招待が届く。
 それはカルチャーとは別の文明、政治も軍事も宗教もすべてゲームで決められるというアザド帝国の皇帝が主催するゲームであった……。

 松本零士といえば『インセクト』であり、『火星の戦士』の表紙カバーなのです。
 でも、この表紙イラストは今いち。誰が手を抜いたか知らないけれど、主人公は黒人のはずなんだけれど、白い顔の人しか表紙にいないのだ……。

 内容的には、オーソドックスなゲームSF……ゲームSF? 
 AIをパートナーにジョン・ヴァーリイの八世界シリーズのような世界から異星を訪問した男が、ひたすらゲームを繰り広げる話。設定だけをちらりと聞くと、ゲーム世界にダイブインするサイバーパンクっぽい作品のような気もしますが、実際はもっとアナログで、カードバトルをしない遊戯王というのがいちばん近いかも。
 発表当時は良かったんだろうけれど、今の日本で読むならばゲームの内容が平凡。なにか凄いんだろうけれど、カイジとかを読んでしまうと肝心のゲーム部分が物足りなく思えてしまうのが残念。この半分の文量でインパクト勝負に走ったら傑作かも。

【ゲーム・プレイヤー】【イアン・M・バンクス】【松本零士】【角川文庫】【帝国ゲーム省】【性転換】
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「ラビオリ・ウエスタン」 森橋ビンゴ

2013-02-09 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 今では西部劇そのものがほとんど見られなくなってしまったので、19世紀アメリカの西部開拓時代をテーマにした作品を西部劇=ウェスタンといい、その中でも史実を無視して暴力描写を売り物にしたイタリア製西部劇をマカロニ・ウェスタンと呼んで……と、タイトルの解説から必要なんじゃないかなと思うくらい。中身はぜんぜん西部の話ではないわけですが。

 “ボク”こと普通の女子高生ハセガワハナヲは、ある日突然両親が自殺して“天涯孤独”になってしまう。
 そんな彼女がどこか壊れた女殺し屋の“ラビオリ”と運命の出会いをしたことから、自分も殺し屋になってしまうのだが……。

 とぼけた口調で女子高生が語る、愛と絆と復讐の物語。
 勢いがあると言えばあるけれど、読みにくいは読みにくいのです。

【ラビオリ・ウエスタン】【森橋ビンゴ】【芥川明】【ファミ通文庫】【涙と笑いのスラップスティックアクション】
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「シルバーネイル」 ジャック・ヨーヴィル

2013-02-08 | ホラー・伝奇・妖怪小説
「英雄になりたきゃあ、殺人犯と同じことをする必要がある」
 連続殺人犯を追う、ハラルド・クラインダインスト隊長の言葉。

 吸血鬼への迫害が強まる帝都アルトドルフへ、闇の母メリッサの緊急召集で呼び出されたジュヌヴィエーヴは難を逃れ、かつての恋人である天才デトレフのもとへ身を寄せるのだが……。

 吸血鬼戦争の勃発を防ごうとする、ジュヌヴィエーヴとデトレフの物語を軸に、厳格な規律で娯楽から砂糖菓子まで禁止する「清浄令七か条」に巻き込まれた傭兵ヴコティッヒの逃亡劇とか、少女を誘拐した盗賊団がドラッケンフェルズ砦で過ごす恐怖の一夜の物語など、5編の物語。中国を思わせるキャセイ……って、そのまんまか……から送り込まれた工作員やら術士が送り込む咒(ジョウ)との戦いなどあれこれ。
 何百歳にもなるジュヌヴィエーヴの祖母ともいうべき闇の母メリッサのロリロリ具合も見所。

【シルバーネイル】【ウォーハンマーノベル】【ジャック・ヨーヴィル】【HJ文庫G】【吸血鬼撲滅運動】【男尊女卑】
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「学園島の殺人」  山口芳宏

2013-02-07 | 学園小説(ミステリ)
「大切なポイントは恥じらいがあるかどうかだ」
 見せパンなんかじゃ欲情しないと真野原。
 
 赤両島は、その人口4万人のほとんどが島内の学園都市である自光学園の学生・教員またはその関係者で占められている。
 その赤両島へ欧州の小国、アクスリーテ王国から留学生がやってくる。ユリシア・トゥーレ・アクスリーテ、金髪の美少女であり王位継承者であった……

 前に買った『雲上都市の大冒険』が面白かったので、とりあえずこれと『豪華客船エリス号の大冒険』を購入してきました。主人公は“学生探偵・真野原”だけど、時代は現代。おじいさんが義手だというから孫なのかな。代々学生探偵の一族みたいになってたらイヤだなあ……。
 大学生の森崎とその同居人で探偵の真野原が、国会議員から依頼され、島全体が学園及び関係施設からなる島へ潜入し、王女の婚約者となり、連続殺人の謎を解け……という話で、推理小説ではなく探偵小説。読者が名探偵と競って謎を解く本格推理ではなく、名探偵の鮮やかな謎解きに喝采するための探偵小説。なので、どうして王女が『浄化の鍵』を託されていたのかとか、ツッコミどころは多いけれど気にしたら負け。なにせ王位が“あんな形で”継承されるくらいの話というか、いろいろと大雑把な王国なので、きっと「面白そう」くらいで引き受けたんだと思う。

 ただ、女性キャラの扱いはひどいよね。リョウコも葉子も菜緒子もピンクの髪の女の子も、共感して応援したい女性キャラがいないもの。そういう意味では、江戸川乱歩の少年探偵と似た雰囲気。で、いきなり終盤がドタバタ・コメディっぽくなるのも馴染めない人はいるかも。今まで死屍累々の物語の結末ですものね。

【学園島の殺人】【山口芳宏】【toi8】【巨大学園】【黒いサンタクロース】【無人列車】【廃墟地帯】【生首】【北斗の拳】【ドラゴンクエスト】【iPod】【夜叉姫】
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「大富豪同心」 幡大介

2013-02-06 | 時代・歴史・武侠小説
 三国屋は江戸一番の札差(米の仲介業)で両替商で金貸し。卯之吉はその大旦那である徳右衛門の孫だが、20人以上いる孫の中でも末っ子ともなれば、放蕩三昧の暮らしをする以外に道はない。
 かわいい孫がこのままではいけないと徳右衛門が同心株を買い与えたので、武術の心得もない三国屋の若旦那がいきなり定町廻同心見習いになるのだが……。

 筒井康隆の『富豪刑事』に始まり、『俺の空 刑事編』とか『薬師寺涼子の怪奇事件簿』の系譜に連なる金持ち探偵もの。
 普通の捜査担当者が手の出せない事件を、金持ちならではの人脈と金に物を言わせた捜査で解決していく話です。『謎解きはディナーのあとで』とか『覆面作家は二人いる』あたりは、富豪であることが謎解きに直接結びつかないから、このラインからは外れるかな。
 こういうのは、世間一般とのギャップが醍醐味なのだけれど、この話も大富豪の放蕩息子ならではの世間とのズレが楽しいですね。木っ端役人が老中や大名家の御曹司と気軽に声を掛け合う姿に周囲を唖然とさせたり、腕っ節も根性もからっきしなのに徳右衛門の傭った用心棒のお陰で武芸の達人と誤解されたり。
 この「臆病でへなちょこ」と「粋で博識」が上手くバランスがとれ、町奉行所はおろか寺社奉行や町火消に任侠一家も含めて引っかき回していく話の愉しさ。

【大富豪同心】【八巻卯之吉 放蕩記】【幡大介】【無礼講】【蘭方医】【衆道】【太鼓持】
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「ゴースト・ライト」 森野一角

2013-02-05 | 学園小説(不思議や超科学あり)
「出来ないことを出来ないと嘆いてもしかたない。出来なくなったなら、新しいものを手に入れるだけだ」
 剣真夜の言葉。

 如月光。男。高校2年生。両親の仕事の都合で一人暮らし。運動普通。成績普通。特技なし。彼女なし。彼氏なし。
 しかし、彼には隠し続ける能力があった。それは霊を見ることができ、実体化させるというもので……。

 触られると気絶するほど女性が苦手で、平凡な生活に憧れる少年が、“カメラちゃん”な女子生徒や、やたら有能な元・生徒会長らのミステリー研究会に巻き込まれ、謎の転校生と対決する話……のようなもの。
 ルールとか契約とか署名の効力に異様にこだわる魔術師が、良い感じです。

【ゴースト・ライト】【森野一角】【得能正太郎】【一迅社文庫】【ミステリー研究会】【共同生活】【混浴】【学校の七不思議】【同居】
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「時の罠」 キース・ローマー

2013-02-04 | 時間SF・次元・平行宇宙
「秩序なんて、壊すために造られるのよ」
 ロジャーと役割を交換したク・ネルの言葉。駄目だろ?

 沿岸警備隊が臨検した不審な帆走船は16世紀のガレオン船だった。
 リンカーン大統領がアラブの小村に現れて捕まった。
 車で街へ出かけたはずの主婦は同じ道をいつまでも走り続けていた。
 何ものかの仕業によって世界の時間と空間が混乱してしまったのだ。未来人の計算によれば104億494万1602の閉鎖空間に分断されてしまっているという。
 ロジャー・タイソンは未来人の美女ク・ネルを自動車事故ではね殺してしまったことから、彼女と時空を超える旅に出るはめに陥るのだが……。

 「小難しくはないけれど、いかにもSF」というガジェットとアイデアを詰め込んだキース・ローマーの時空SFです。
 ヒーローは強くて正義感が強く、ヒロインはかよわく純情。侵略者は邪悪で情け知らずであり、レジスタンスは高潔で勇敢……なんて、世間の常識と思われていることを強調した上でひっくり返すのがキース・ローマーの常套手段。それでもって、主人公は徒手空拳で口先三寸と運を最大限に活用して……というパターンは『時の罠』においても健在。
 なんかいかにもハードSFっぽい表紙イラストですが、多次元宇宙テーマのスラップスティック・アクションなので、これこそラノベ風のイラストで再版かけて欲しいものです。

【時の罠】【キース・ローマー】【時空混乱】【パッチワーク世界】【純潔主義の起源】【抑圧された精神】【価値の枠組】【建造者】
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「つきたま」 森田季節

2013-02-03 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
『見ていない だから僕には わからない』
 お気楽公務員川柳。

 「つきたま」は、ある日突然あらわれた半透明でぷにぷにしていて、見える人には見えるけれど見られない人にはまったく目に映らなくて、触れない人には何もさわれない謎の存在。気になるけれど、害になるわけでもなく、何の役にも立たないと思われる「つきたま」対策のため、各地の役所に窓口が設置された。
 鶴見満流は箕原市のつきたま対策事務所の職員。日々窓口で訪れる市民の相談に乗ったり、増えすぎたつきたまを集めて処理施設に捨ててくるのが仕事だが、駆除に出向いた廃校で自称魔法少女と出会ってしまい……。

 地方公務員小説。熱血でもなければ、博愛主義でもなく、面倒ごとは避けたいと思っているけれど最低限の仕事は無駄なく済ませたいという微妙なさじ加減の主人公が、スライム処理に奔走しながら窓口に現れる困った市民や怒らせると怖い上司となんとかうまくやっていく話です。
 最初はあまりに痛くて自己中心的な魔法少女(自称)ややる気はないけどムダに明るい臨時任用職員にイラッとしながら読んでいたけれど、堅実なヴァンパイア(自称)さんが登場するあたりから一気に引き込まれ、結局そのままするすると読了したら面白かったです。怖い課長補佐もいいよね。こういう上司なら嬉しいな。

【つきたま】【※ぷにぷにしています】【森田季節】【osa】【ガガガ文庫】【地方公務員】【代償行為】【市民団体】【不法投棄】
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「秘剣こいわらい」 松宮宏

2013-02-02 | その他フィクション
「一期一会言うやろ。欲しかったら買うたほうがええ。後悔先に立たず」
 大手家電チェーン会長、田上源助の言葉。まあ、10億のマチスですけどね。

 小さな棒っきれ1本持った女子大生が、拳銃持ったヤクザ相手に大立ち回りする剣劇小説。

 ソフトカバー版を既に持っていたし、表紙イラストもそちらの方が好みだったので「文庫になったのかあ、よかったね」と思っていたら、後半を加筆改訂してスケールアップしたとかいうもので……そりゃあ、買うしかないよなあ。前に読んだときの不満が、前半は破天荒で面白いのに後半こぢんまりとまとまっちゃったなあ……というものでしたから、そこが派手になったと聞いたら買うしかないよ。

【秘剣こいわらい】【松宮宏】【遠藤拓人】【大前壽生】【講談社文庫】【あっぱれな小説】【チャンバラ時代劇】【祇園】【ヤクザ】【秘剣マニア】【ご隠居】
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「スペース・オペラ名作選1 太陽系無宿」 野田昌宏編

2013-02-01 | 宇宙・スペースオペラ
 野田昌宏がスペースオペラというジャンルを広めるために、まず玉石混淆の作品群の中から選りすぐりの作品ばかりをピックアップして紹介していこうという名作選。
 その1冊目というだけあって、ギルモアの『太陽系無宿』なんて、『SF英雄群像』でも読んでなければ耳にしたこともないような作品が表題作ながら、スペースオペラの代名詞とも言うべき古典的名作シリーズの逸品ばかり(『SF英雄群像』によれば)。

「女ってやつにお世辞をならべてやると、そいつはいつもその間だけはおとなしくなるもんだ」
 太陽系植物園園長ジョン・カーステアズの言葉。

 それらがヒットしたものの沈静化して忘れられかけている今日では、逆に1周してしまった需要があるような気がしないでもありません。そんなセレクション。

『鉄の神経お許しを/キャプテン・フューチャー』エドモンド・ハミルトン
『大作<破滅の惑星>撮影始末記/月世界ハリウッド』ヘンリー・カットナー
『月面植物殺人事件/植物学者探偵ジョン・カーステアズ』フランク・B・ロング
『太陽系無宿/太陽系無宿ホーク・カース』アンソニイ・ギルモア

 アル言葉で話す中国人とか男尊女卑もはなはだしい主人公とか、ホースオペラそのまんまの宇宙活劇とか、時代の色が濃いのも味ですね。

【スペース・オペラ名作選】【太陽系無宿】【野田昌宏】【水野良太郎】【ハヤカワ文庫SF】【アンソニイ・ギルモア】【宇宙海賊】【SF英雄群像】
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