付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「世界征服」 至道流星

2013-05-18 | その他フィクション
「どんなに綺麗事並べてもね、ビジネスの基本って『どういう方法で人の上前を撥ねるか』だと思うのよ」
 キャバ嬢リンこと、水ノ瀬凜の言葉。

 キャバクラのご縁で、朝倉陣が社長を務める零細企業に押しかけてきたのは、絶世の美女・水ノ瀬凛。誇大妄想気味に「私、世界を統べる王になるの!」と宣言する。
 実際、瞬く間に会社を飛躍的に発展させていくのだが、彼女はノーベル賞学者に手放しの賞賛を受ける人類史上最高の知能指数の持ち主であり、公安が監視する危険人物でもあった……。

 同じ作者の『好敵手オンリーワン』がちょっと期待外れだったので躊躇したけれど、表紙のインパクトに負けて購入。巧くて表情が活き活きしているから、全身図の顔のアップだけ持ってきても迫力が違います。
 デビュー作の改題・文庫化だけれど、1冊で政治・経済経営・軍事で語る世界征服という試みも成功してました。一気に読了。
 後半の既存の世界秩序への挑戦が、発想の転換から生まれたビジネスモデルの投入というビジネス小説として真っ当な序盤とするっとつながって意外なほど。
 リンがどうして陣を気に入ったのか、そこのところはよく分かりませんが、まあ、世界征服を語る天才のセンスですからね。ただ、世界人類に謝れ!というのは至言。

【世界征服】【雷撃☆SSガール】【至道流星】【霜月えいと】【星海社文庫】【世界の聖地】【孔明の罠】【信用創造】【ロスチャイルド】【ファンド】【金は天下の回りもの】【SDI】【陰謀論】
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「となりの百鬼夜行(1)」 杉本のこ

2013-05-17 | ホラー・伝奇・妖怪小説
 祐樹が学校の物置小屋で偶然出逢ったのは、極度の人見知りのため、存在が消えかけている砂かけババアの千砂。「ババァ」だが、まだ生まれて16年の美少女だ。
 その能力を知り、思わず物置小屋に潜り込むような窮地に陥っていた甘木祐樹は、千砂に取引を持ちかけるのだが……。

 美少女妖怪の学園奇譚。砂かけババア(16)というのがポイントかな。スタイルとしては「ほうかご百物語」みたいな話に近くなりそう。砂かけババアにもう少し「隙間女(幅広)」みたいな、いじらしさと怖さが出てくると良いかもしれません。

【となりの百鬼夜行】【砂かけババアに懐かれました。】【杉本のこ】【シヴァ。】【HJ文庫】【学園いちゃラブ×妖怪アクション】【「ねぇ、…いれて」】【スクール水着】【お化け屋敷】【放火】【お祭り】
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「“空蝉”~ヒカルが地球にいたころ……(7)」 野村美月

2013-05-16 | 学園小説(ミステリ)
「愛されることと、愛することと、どっちかひとつしか選べないんなら、うちは、迷わず愛するほうを選ぶわ。そっちのほうが、うんと幸せやもの!」
 近江ひいなは満ち足りた笑顔でしっかりと語る。

 是光か出会った新たなヒカルの“最愛の人”は蝉ヶ谷空。だが、彼女は妊娠していて、それはどうやらヒカルの子どもである可能性が高いらしい。
 空と子供を守ろうと奔走する是光だったが、漏れた情報が錯綜し、いつの間にか是光が朝衣生徒会長を妊ませたという噂が一人歩きを始め……。

 前巻のラストから始まる、ヒカルの“最愛の人”の謎を巡る話はひたすら重いのに、勘違いからのシチュエーション・コメディが笑えて仕方がありません。ヒカル(というか是光)の周囲の人々はノリが良すぎです。どういう顔をして読んだら良いのでしょう?

 ヒント:「笑うと良いよ」

【空蝉】【ヒカルが地球にいたころ……】【野村美月】【竹岡美穂】【ファミ通文庫】【学園ロマンス】【妊娠疑惑】【目つき悪い主人公】【安定期】【ベビーベッド】【泣き黒子】
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「白いパイロット」 手塚治虫

2013-05-16 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 たぶん、学習マンガとか絵本以外ではじめて読んだマンガ。もちろん昭和36年の少年サンデー連載なんてリアルタイムで読んでいるわけはない。従兄弟姉の家に遊びに行ったとき、押し入れにしまってあった鈴木出版版のハードカバーを読んだのだ。今思えば申し訳ないことだ。小さいこどもがいじったらいけない。

 ミグルシャ王国の地下工場から囚人の一団が軍の秘密兵器を奪って逃走した。
 秘密兵器ハリケーン号は破壊光線を振りまき、空を飛んで海を進む万能戦闘機だ。王宮も破壊されて王妃は死に、世界中がその接近に備えて警戒態勢を整えたのだが……。

 『鉄腕アトム』の「地上最大のロボット」とか山田風太郎の「甲賀忍法帖」あたりの特殊能力を持ったもの同士が対決していく話の万能戦闘機版で、世界征服を企む地下要塞から自由を求めて9人の仲間たちと脱出した主人公が空中戦を繰り広げる冒険活劇。ハリケーン号というのは要するにマイティジャックのマイティ号とかゴレンジャーのバリブルーンみたいな空飛ぶ万能戦艦の先駆け……なんだけれど、さすがというかやはり手塚治虫。いきなりミュージカルから始まり、ミッキーマウスもどきがあふれ、双子が王子と奴隷として引き裂かれて敵味方で殺し合い、男装の美少女がいて、個性豊かな仲間たちが特技を活かしながら死んで行き、まさかの主人公死亡エンド。そして最後に「人気が落ちたから打ち切られた」と手塚治虫のあとがき付き。

【白いパイロット】【手塚治虫】【手塚治虫漫画全集】【講談社】【鈴木出版】【シャムのふたご】【テレパシー】【ミッキーマウス】【モスラ】【ヒゲオヤジ】【鉄仮面】【F-87-F】【魔神ガロン】【空中元素固定装置】
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「帝国護衛艦隊、太平洋を征く III~大和撫子紫電改2」 志真元

2013-05-15 | 架空戦記・仮想戦史
「馬鹿に言うことをきかせる最善の方法は正論を言うことじゃない。もっと馬鹿なことをしてやるんですよ」
 第一遊撃艦隊司令長官、深津大悟海軍中将の言葉。

 その日、神田明神下の老舗蕎麦屋は、もしここで爆弾の1つでも破裂したら帝国陸海軍首脳部が壊滅しそうなありさまだった。
 海軍中尉で撃墜王の千葉貴子が実家に結婚相手を連れてきていたのである。頑固親父と若手士官との対面の行方がどうなるか、彼女の同僚や部下のみならず艦隊司令や陸軍大臣、参謀総長までの関心事だった。
「失礼ですけど皆さん、いま、戦争中なんですよね?」

 ミッドウェイ島攻略を軸に、帝国海軍内の主導権争いとか女性パイロットたちの恋愛事情などを取りまとめつつ、戦争終結を予感させながらの完結編。
 人情映画的な人々のやりとりに重きを置いた戦争活劇のような作品。最高機密が市井の人々にまでバレまくりの日本の防諜体制のお粗末さは論外だけれど、空母を失った途端に活き活きしてくる南雲中将のダメさ加減は好き。
 総括すると、女性が現場に入ってくるだけで組織は変わらざるを得なくなるよと言うことなんでしょう。

【帝国護衛艦隊、太平洋を征く III】【大和撫子紫電改2】【志真元】【長森佳容】【中村亮】【ジョイ・ノベルス】【MI作戦】【図上演習】【蕎麦湯】【二式大艇】【笑う門には福来たる】【兵糧攻め】
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「ばけもの好む中将」 瀬川貴次

2013-05-14 | ホラー・伝奇・妖怪小説
 家柄はそんなに悪くないし生真面目で、武芸もそれなりにこなすけれど、なにか取り柄というほどのものがあるわけではない。あえていうなら芸事はダメダメ。それが自他共に認める右兵衛佐宗孝の評価だった。ひとことでいえば「平凡」。
 そんな宗孝だが、最近、今をときめく左近中将の宣能によく出くわす。この中将、名門の家柄で見栄え良し才ありなのだけれど、趣味が少々特殊であった。
「われらはともに闇に挑む同志なのだよ」
「危険の中にこそ生きている実感があるのだとも」
「われらがやらずに誰がやる?」
 そしてそのたびに宗孝は、このバケモノ好きの貴公子から怪異を愛でようと誘われては、あちらこちらへと引きずられていくのだが……。

 平安時代を舞台に、本物の怪異を見てやろうとあちらこちらへ出向く貴族の道楽につきあわされる、要領の悪い生真面目男の冒険譚。
 自分の関心事についてだけはむやみやたらに優秀で好奇心旺盛な男と、それにつき合わされる愚直な男の冒険譚というと、ホームズ&ワトソン以来の黄金パターンっぽいですが、周囲の雰囲気や登場人物の心理はまさに平安時代。会話はなんとなく現代的だけれど、今風すぎて興ざめしないぎりぎりのところの読みやすさです。

「結果はどうでもいい。そのとき、何をどうしようとしたかのほうが大事だ」
 左近中将の宣能は、そう宗孝を評価する。

 少女向けにライトな陰陽師の小説を書いている作者ですが、別名義でちょっとダークなホラーとか悪趣味な妖怪譚とかも書いていて、それがちょうどうまい感じに混ざったような気がします。十人十色な宗孝の12人の姉もまだまだ出番のない人がいますので、続きが出ると良いなと思います(マルチアーノ12姉妹みたいなのではないと思う)。

【ばけもの好む中将】【平安不思議めぐり】【瀬川貴次】【百足屋ユウコ】【集英社文庫】【新感覚、平安冒険譚】【瀬川ことび】【伊勢物語】【シスコン】【共感覚】【牛車、爆発しろ】
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「“朝顔”~ヒカルが地球にいたころ……(6)」 野村美月

2013-05-14 | 学園小説(ミステリ)
「今は答えがわからなくて、迷っても仕方が無い。急ぐことはないの。一歩一歩、しっかりと足を踏み出して前へ進んでゆけば、旅のどこかで、あなたが正解と思えるものを見つけることができるかもしれないわ」
 人生という旅の答えは、自分で探すしか無いと、朝顔姫こと五ノ宮織女の言葉。

 次に是光がヒカルに代わって約束を果たして欲しいと告げられた女性は、是光とは犬猿の仲で生徒会長の斎賀朝衣。
 案の定、是光と朝衣は喧嘩を繰り返すことになるが、それなのに何故か二人が恋仲だとという噂になり、朝衣はますますいきり立った……。

 帝門家の権力争いに積極的に動き出した朝衣の物語で、是光がヤンキーキングからハーレムキングにランクアップする回、というか、あの完全武装の“朝ちゃん”がデレるエピソードです。これがあからさまに掌返しになると興ざめですが、そこは鉄壁のガードな人ですから、この微妙な加減が愉しい。
 さて、対立候補の一朱のイヤらしさは筋金入りです。とっとと退場して欲しいところですが、こういうキャラほど長居するものなんです。

【朝顔】【ヒカルが地球にいたころ……】【野村美月】【竹岡美穂】【ファミ通文庫】【学園ロマンス】【目つき悪い主人公】【牛蒡】【ドッジボール大会】【途上】【ツチノコ】【宇宙人】【カッパ】
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「ソードアート・オンライン12」 川原礫

2013-05-13 | VRMMO・ゲーム世界
「そんな、絶対の善悪なんてもの、人間には決められないんだよ、きっと」
 修剣士キリトの言葉。

 長丁場の真ん中です。シリーズ序盤のテンポの良さも好きな部分だったので、これは辛い。1冊の半分を状況説明、後半でひたすら戦いながら塔を昇っています。
 個々のエピソードは面白いけれど、話が進まない……。

【ソードアート・オンライン】【アリシゼーション・ライジング】【川原礫】【abec】【電撃文庫】【MMORPG】【WEB小説】
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「はたらく魔王さま!(8)」 和ヶ原聡司

2013-05-12 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
「僕、正直ミョウガって苦手」
「ルシフェル、貴様それでも堕天使か」


 事態の手がかりを得ようとエンテ・イスラへと帰省した勇者エミリアが音信不通となった。
 心配しつつも魔王軍を殲滅するほどの勇者がそう簡単にやられはしないと楽観視していた魔王たちだったが……。

 天界と魔界と教会の癒着が明らかになり、彼らは魔王と勇者を追い詰めていきます。
 なんというか、今回は読後感があまりよろしくありません。なんとなく、もやもやしていて、これはSWのエピソード5を観た直後の気持ちに似てるな。ここはスカーッと終わって欲しかったのだけれど、話の軸足の半分をエンテ・イスラに移して、伏線を回収していこうと思ったら致し方ないのかね。
 ここは堅実で真面目な魔王さまの奔放な反撃を期待したいところです。

 気分転換に、坂木司のハチさん便シリーズを再読。

【はたらく魔王さま!】【和ヶ原聡司】【029】【電撃文庫】【フリーター魔王さまの庶民派ファンタジー】【府中運転免許試験場】【ケータリング】
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「きじかくしの庭」 桜井美奈

2013-05-11 | 学園小説(不思議や超科学なし)
「大人になったからといって、上手く恋ができるかはわからない」
 社会科教諭、田路宏昌の言葉。

 ガーデニング部の部員は0だけれど、学校の片隅に一角の花壇だけはそれなりに手入れがされている。でも、誰が手入れしているのか、そこに植えられているのはアスパラガスで……。

 とある共学高校を舞台に、秘密の畑を中心に繰り広げられる少女たちの悩みと葛藤を描いた6年間の物語。
 でも、それを見守る教師も見守ることしかできない。大人だからといって、彼女たちより上手く人間関係をやっていけるとは限らなく、みんな自分たちのことでいっぱいいっぱいなのだ。

【きじかくしの庭】【桜井美奈】【メディアワークス文庫】【ほんわか心あたたまる大人の青春グラフティ】【二股】【禁煙】【文化祭】
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「ごはん食べたい!」 天乃聖樹

2013-05-10 | 学園小説(不思議や超科学あり)
「その昔、学校にはブルマと呼ばれる神々しい装束があったという……」
 石丸三郎が語る伝説。彼は良いやつだけれど、登場するたびにそれまで見聞きしたことを忘れたような言動があるので、そこだけが不安。

 オカルトに走って音信不通になってしまった両親からの仕送りが絶え、陽山晴斗は深刻な空腹に悩む貧乏生活に。
 そんな彼が出会ってしまったのは、自称“貧乏神”の超ハラペコ少女・夜野小雨と、やはり“妖精女王”と自称してクラスで浮いてしまっている鈴木・T・鈴音。
 腹ペコすぎる3人は、報酬目当てに何でも屋のお仕事を始めることにしたものの、やって来る依頼者はいずれも自称“犬”とか自称“チュパカプラ”とか脳内設定全開のかわいそうな人たちばかりで……。

 窮乏している3人が集まって始めた「生き残る部」の活動記録。これも部活ものの範疇に入るのかな。
 話は面白いけれど、イラストで3割くらい損している気がします。

【ごはん食べたい!】【なんでもしますから?】【天乃聖樹】【めがりす】【GA文庫】【パワフルお悩み解決ラブコメディ】【GA文庫大賞奨励賞】【生き残る部】【中二病】【運命を司る神】【全裸の美人お姉さん】【妄想設定】
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「パラダイスウォー1」 水樹尋

2013-05-09 | 学園小説(不思議や超科学あり)
「下着選びは女の戦い」

 その場のノリで南の島への移住を決めてしまった両親のせいで、駆駒将はサバイバル生活をするはめに。父親も母親もテンションを上げすぎて、住居の手配まで考えていなかったのだ。
 そんなキャンプ生活の将の手助けをすることになったのは、4人の美少女たちだったのだが……。

 恋愛アドベンチャーゲーム……というより、『天地無用!』のノリで繰り広げられる、南の島の恋愛活劇。ハーレムエンドも許容範囲の物語です。
 でも、いくら南の小島とはいえ、国内のはずなのにあんな容姿の異国の美女ばかりいるのをおかしいと思わないのは、両親ばかりではなく将自身も冷静な判断力を失っていると思いました。

【パラダイスウォー1】【水樹尋】【梶島正樹】【エナミカツミ】【講談社ラノベ文庫】【代理戦争】【ジャンケン】【宇宙海賊】【ジュライ】【一夫多妻】【黒板】
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「この世界がゲームだと俺だけが知っている」 ウスバー

2013-05-08 | VRMMO・ゲーム世界
「理不尽は、理不尽であるほどに、ひっくり返した時が面白いんだ」
 バグだらけのクソゲーをやりこんだ相良操麻の言葉。

 通称「猫耳猫」と呼ばれる仮想現実体験型ゲームは非常に残念な出来だった。
 まず、オンラインMMORPGを目指していたはずなのに、ソロプレイしかできなかった。オンラインなのは、てんこ盛りのバグを解消するためのパッチをあてるためだけにあったといって過言ではない。そして、悪意たっぷりの意地悪で不親切で理不尽なシナリオとシステム……。
 そんなゲームであっても、やりこまずにはいられないマニアはいたけれど、相良相馬はこんな世界に転移して帰還不能に陥ってしまった……。

 これまた「MMORPGの世界に取り込まれたゲーマーの冒険譚」なのだけれど、入り込んだのがバグ多発のゲーム。やりこみしていた主人公ソーマは、シナリオやシステムを熟知していてバグ仕様を逆手に取ったプレイで優位に立つのだけれど、迎え撃つゲームの側も理不尽で不合理で、なおかつ現実化することでゲームの時と変わってしまっていて……という、ある種コンゲーム的な楽しさの1冊。
 今回は、プレイヤーが一所でレベル上げしていると、どこからともなく多数のモンスターを引き連れて逃げてくる「トレインちゃん」篇。
 オンライン小説として相当読まれている作品だけれど、単行本化にあたってプロローグのコミック化とか、内容の手直しとか、注釈の追加とかがかなりされていて、ネットで読んでいても買った価値はありました。良い仕事してます。

【この世界がゲームだと俺だけが知っている】【ウスバー】【イチゼン】【エンターブレイン】【WEB小説】【MMORPG】
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「全裸男と柴犬男」 香月日輪

2013-05-07 | ミステリー・推理小説
 石田智宏がマンションに帰宅してみると、彼の部屋には見知らぬ全裸の男がいた。
 男は煙草を斜に咥えたまま、智宏を見て言った。
「お前、誰?」

 霊感ゼロの若い刑事が警視庁のオバケ対策部署に配属され、曲者揃いの遊撃捜査班の中で憑依事件やら生き霊相手に仕事をしながら美味しい食事を堪能する話。
 このタイトルとホワイトハートというレーベルに恐れおののきながら購入してみたけれど、いつもの香月日輪で一安心。他作品でちらりと見た顔、聞いたような名前の登場と人物も顔を見せる、『妖怪アパートの幽雅な日常』や『僕とおじいちゃんと魔法の塔』と世界を共有する作品です。これらよりは説教臭さは少なめかな。
 それにしても帯がでかいなー。

【全裸男と柴犬男】【警視庁生活安全部遊撃捜査】【香月日輪】【わたなべあじあ】【ホワイトハート講談社X文庫】【黎明苑】【妖刀】【生霊】【未来視】
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「スカイ・ワールド#04」 瀬尾つかさ

2013-05-06 | VRMMO・ゲーム世界
 ジュンたちはついに第4軌道を突破するためのキャンペーン・クエストに挑む。1ヶ月の時間制限内にクリアすべきクエストは17という壮大な連続クエストだが、これまでにクリアできたギルドはわずか3つ。しかも何百人ものメンバーを擁する大ギルドだけだ。
 しかし、それをジュンたちはたった24人で挑もうというのだ……。

「……おれ、明日からどんな顔をすればいいと思う」
「泣きべそをかいていればいいよ」

 女子会が開かれ、本音がぶちまけられていたと聞いたジュンの絶望。

 前巻でキーとなっていた「クエスト制作」が今後のストーリーに大きな影を落としますが、ジュンはそれに果敢に挑んでいきます。自分のわがままだと自覚しながら。
 ジュンのハーレム以外の攻略メンバーたちも出番は多くないながら、アピールは十分。変わり者が多いけれど、愉しくて頼りになるメンツで、これからの活躍に期待です。

【スカイ・ワールド】【Story to the End of Blue Expance】【瀬尾つかさ】【武藤此史】【ファンタジア文庫】【熱きオンライン冒険ファンタジー】【MMORPG】【ハーレム】【裏神殿】
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