付け焼き刃の覚え書き

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「薬屋のひとりごと2」 日向夏

2015-04-01 | ミステリー・推理小説
『愚帝は民が無限だと思い、賢帝民が有限だと知っている』
 民は税があまり高くなければそれでいいのだ。

 後宮を解雇されて花街に戻ってきた猫猫だったが、宦官・壬氏に連れ戻され、外廷の下女として出仕することになった。
 壬氏への嫉妬から他の官女に絡まれながらも下働きに奔走する猫猫は、宮中の内外で起きるさまざまな事件や事故が、1つ1つは些細なものながらも重なり合って大きな事件の引き金になろうとしていることに気づいた……。

 花街育ちで毒薬マニアの少女が、後宮から外に出てさまざまな事件に挑みます。
 治癒魔法でどんな重傷も一発回復……とはいかない世界で、この主人公はひたすら傷物になり続けます。その半分は実験のための自傷行為なので、他人が文句を言う筋合いはないかもしれませんが。
 さらに変人軍師こと猫猫の父親と思しき羅漢の登場で、物語は前巻以上に混迷を深めていきます……といっても、猫猫と羅漢の接触そのものは皆無なんですけどね。
 連載時と比較するとちょちょいと手直しが加わって、単なる短編集ではなく、ちゃんとした長編ミステリになってます。世間一般のモラルからちょいと外れていて、無駄に準備が良くて自分の関心事には熱心なのにそれ以外はさっぱり……というあたり、猫猫はミステリの正統派主人公にふさわしいヒロインといえるでしょう。

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コメント
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