付け焼き刃の覚え書き

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「異西部の剣士」 菊地秀行

2023-07-01 | 架空戦記・仮想戦史
 科学王国フランスから貸与された機械人間(オートマン・ソルジャー)の戦果もあって、反乱軍との戦いは幕府軍有利に展開。既に土佐・長州は降伏し、薩摩も鳥羽伏見の戦いで西郷が重傷を負ったことにより屈するのは時間の問題となっていた1875年。ここに至り、幕閣にとって唯一の懸念は、新大陸アメリカに逃れた坂本龍馬の存在。《龍馬ある限り、陽は沈まぬ》と讃えられた男の生存は無視できない。
 そんな坂本龍馬の捕縛を命じられたのは、新選組一番隊長・沖田総司であった……。

 パラレルワールドの19世紀末アメリカ西部で繰り広げられるサムライバトル。
 最近はDと魔界都市を交互に書いて、合間にエイリアンがはさまるペースの菊地秀行ですが、これはいろんなテーマに挑んでいた時期の作品です。83年『インベーダー・サマー』『風の名はアムネジア』、84年『妖神グルメ』、85年『幻夢戦記レダ』『切り裂き街のジャック』『妖魔軍団』と、後に他のシリーズに合流するものもありで千差万別でしたが、ここにいきなり『ウェスタン武芸帳』の登場です。最初は雑誌「獅子王」でスタートしてソノラマ文庫で全3巻。
 沖田総司も坂本龍馬も生きていて、怪生物が跋扈する無法の西部で追いつ追われつの攻防戦。そして2人に負けず劣らずのアメリカの怪人超人たちが乱入してきます。異世界に怪人やら怪物がいるのはあたりまえなので、歴史の影に知られざる異能力者の戦いがあったとか、実際と異なった史実の世界でヘンなメカや怪人が大暴れする話は大好物。なので、この話は勿論、『ヴァンパイアハンター・リンカーン』とか『屍者の帝国』か大好きなのです。

【ウエスタン武芸帳(1)~異西部の剣士】【菊地秀行】【山田章博】【ソノラマ文庫】【鬼才が描く壮大なSFアクション時代劇】【獅子王】【水中船】【新撰組】
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