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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

望遠ニッポン見聞録

2015-09-15 18:24:39 | 読んだ本
ヤマザキマリ 平成27年8月 幻冬舎文庫版
ヤマザキマリさんの名前を見たのは、先月くらいだったか『優駿』で対談の記事に出ていたときで。
漫画家って肩書を見ても、誰だろう、知らないな最近のひとは、なんて私は思ってしまったんだけど。
よくプロフィールをみたら『プリニウス』を描いてるひとぢゃないですか、それなら読んだことある、知ってる知ってる。(というほど知らないが。)
で、マンガぢゃない、この文庫は、出たばかりのところを書店で買ったんぢゃないかと思う、飛行機での移動のときに読む本探してたときだろう。
この文庫のカバーのプロフィールによれば、著者は
>一九六七年東京都出身。十七歳の時、絵の勉強のためイタリア・フィレンツェに単身渡り、貧困生活ゆえに賞金目当てで漫画を描き始める。その後、中東、ポルトガル、シカゴなど海外生活歴は十数年。(略)
ということらしく、旦那さんもイタリア人だそうで。
そういう著者の目から見たニッポン論なんで、ふつうの日本人が書くのとも、来日した外国人が書くのとも、ちょっとちがう角度というか、独特な距離感から眺めたものになるんだろう。
「伊達男は伊太利亜にはどこ探してもおらず。」の章では、日本の某ファッション誌の某イタリア人タレントのとりあげかたについて、実際のイタリアには
>あの雑誌に出て来るようなファッショナブルな服装に身を包んだオッサンはハッキリ言って一人もいない。(略)美しく若い女性を虜にできるような魅惑のオーラを発している男なんて徹底的に皆無だ。
と断言する。それだけぢゃなくて、
>そんなオーラをちょっとでも発生させた日には、嫉妬心を焚き付けられたそれぞれの妻からどんな恐ろしい制裁を下されるかわかったものではない。
と続くところがおもしろいんだけどね。表面的な男の姿だけ見ての話ぢゃなくて、家族ぐるみでつきあってるから、そこまで言う。
「決死のディスカッション」の章では、イタリア人の旦那が、家族で食事するとき、黙って物を食うだけだと大いに不満で、会話というだけぢゃなくディスカッションがしたいと言うところがある。
日本人の討論ベタについては、誰でもある程度指摘することはできるかもしれないが、著者は「ヤマザキさん、なんでイタリア語になるとそんなに声が低くなって攻撃的な感じになるんですか?」と人から言われる、もう体質としてイタリア語になると頭がディスカッションモードになるということをわかってる生々しさがあるから、話おもしろい。
あと、意外とおもしろかったのは、ブラジル人のパワフルぶりを書いた「いっそブラジル人になれればいいのに。」という章も。ブラジル人は疲れを知らないって。


コメント
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