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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

自殺じゃない!

2016-12-16 20:40:43 | 読んだ本
シリル・ヘアー/富塚由美訳 2000年 国書刊行会
めずらしく、メイスン、スペンサーだけで終わらず、もうひとつ探偵小説つながりで。
シリル・ヘアーを読んでみたいと思ったのは何でだっけ?
たぶん、丸谷才一の何かに書いてあったんぢゃなかったかと思う。
ほんとは「法の悲劇」ってのを読んでみたいんだけど、見つからない。まあ気長に探すさ。
本書については、ことし9月だったかな、出先でわりと大きな書店で、置いてある機械で著者名で検索したら、在庫ありって見つけた。
ちょっと迷ってから買ったけど、読んだのはつい最近。
世界探偵小説全集っていうシリーズの32巻。
(しかし、国書刊行会の本ってひさしぶりだな。クロウリーの「法の書」とか出してたとこぢゃなかったっけ?)
もうひとつ「英国風の殺人」ってのもあったんだけど、なんとなくこっちにした。
なんでだろ、たぶん巻末の解説かカバーの著者紹介をみて、こっちのほうが古いからかな、書かれた順に読んだほうがなんとなくおさまりがいい気がしたんだろう。
この小説は1939年の発表、原題は「Suicide Excepted」。
休暇中のロンドン警視庁のマレット警部は、ロンドンから42マイルはなれた田舎のホテルで、憂鬱そうなディキンスン老人に話しかけられる。
老人は言葉の端に自殺願望めいた印象を残して去っていったが、翌朝には睡眠薬の飲み過ぎでホテルの部屋で死んでいるのを発見された。
行きがかり上警部も証言に立った検死での結論は、自殺。
しかし、警部のところに相談にきたディキンスン老人の息子スティーヴンは、自殺じゃない、という。
老人がそういうことしそうもないって以外に、もし自殺だとすると、最近になって加入した高額の生命保険が家族に払われない、って問題もある。
保険会社は、保険金は払えないけど掛け金の一部を払い戻しましょう、とか誠意をみせるけど、スティーヴンは突っぱねる。
そして、妹のアンと、アンの婚約者のマーティン・ジョンスンと、三人で独自に他殺の線を証明するべく調査を開始する。
私立探偵を雇って、当日のホテルの宿泊客のリストを手に入れると、あとは自分たちでその人たちのところへ会って話をしに行く。
偶然泊まりあわせただけのようにみえたけど、調べてくと疑わしい人物も浮上してくるように思えてきて、三人の捜査に熱が入る。
そうかと思うと、母親から、亡くなった父の過去の秘密を教えられて、スティーヴンは驚かされたりする。
最初あまり相手になろうとしてなかったマレット警部が、なんかとても気にかかることに気づいて参入してきたあとで、事件の真相は判明するんだが。
ラスト、けっこうスリリングで、あっと言わされるとこあって、たいへんおもしろかったという感想をもった。
著者の作品、ほかのもぜひ読んでみたいもんだ、いつになるかわからないけど。
コメント
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