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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

ロックで独立する方法

2016-12-27 18:38:01 | 忌野清志郎
忌野清志郎 2009年 太田出版
これ書店で見かけて、読んでみたくなって買ったの、ことしの10月くらいだったか。
私の手に入れたのは7刷だけど、存在知らなかったな、2009年8月の発行。
もっとも、そのころ、こういうの見かけたら、「またビンジョーの、モンキービジネスだろ」とか思ったかもしれない。
ところが、この本を構成した山崎浩一さんというひとは、そんないいかげんなひとぢゃなかった。
なんせ、あの『愛しあってるかい』(1981年JICC)を編集したひとだったのだ。偉大ぢゃないですか、名前知らずにいてスミマセンでした。
だから、この本だって、「ヤマちゃん、実は俺、つくってみたい本があるんだけど、協力してくれないかな? タイトルだけはもう決まってるんだ」って、キヨシローから持ちかけられたものらしい。
もともとのネタは、取材のインタビューが2000年6月から2001年8月にかけて行われ、「Quick Japan」に2000年12月から2002年2月までにわたって八回連載されてた。
そういう関係だから、めずらしくもキヨシローがインタビュアーを信頼して語った内容なんで、ウソイツワリはない。
基本的にキヨシローがメディアに対してもってる感情としては、
>要するにこちらに言わせたい答えや結論は、最初から決まってるんだ。(略)
>だったらわざわざインタビューなんかに来ないで、最初から自分で勝手に書いちゃえばいいと思うんだが。(略)(p.116)
というあたりで、我慢しながら面白くなさそうに答えることになるから、マスコミ嫌いとか言われちゃうんだけど。
内容は、キヨシローたちがデビューしたころのことから、RCが活動しなくなっちゃったころのことまで、いろいろ。
>(略)いろいろな段階での「独立」があった。
>(1)まずRCとしてバンド活動を始めることによる親や学校、周囲からの独立。
>(2)次にRCごとプロダクションを設立した第一期独立。
>(3)そして忌野自身の個人事務所を設立した第二期独立。
>(4)さらにそれと前後してRCそのものからの独立。(p.162)
ということで、独立を語っている。
独立がキーワードで、本のタイトルを、たとえば「ロックで売れる方法」とか「食える方法」とかにしなかったのは、そこんとこ語りたかったからだ。
>「独立」っていうのは、自分の仕事に関わることを、できるだけたくさん自分で決める、自分で管理することだろう。(p.103)
と言ってるのは、若いころに事務所にいいようにだまされたことへの抵抗からきてるんだろう、当然のことだ。
自分が直接関わった相手だけぢゃなくて、音楽業界全般に対しても、
>ロックがビッグビジネスになってきたプロセスも、結局いろんな価値が数字に変換されてきたプロセスだからね。(略)
>そうなってくると、もう音楽への愛だの情熱だのってものまでが「数の論理」に屈してしまう。(略)
と現状を嘆いていて、
>独立というのは、そういう世界からの独立なんだよ。そこが難しい。(p.146)
って独立を望んでいる。
そんなわけで独立についてキヨシローの考えてきた歴史が明らかになってるが。
読んでて、最後のほうで、とても感心したというか、うれしかったのは、
>たとえば曲がつくれなくなったら、新しい音楽がここ(頭)やここ(ハート)から出てこなくなっちゃったら、もうそれでアウト、選手生命はおしまいなんだよ。(略)
>「ステージで昔のヒット曲が一番ウケる」なんていう状況に我慢や満足できるようになっちゃったら、そいつはもうロックじゃないと思う。(p.184-185)
ってとこ。私も強くそう思うから。
(コンサート行きはじめたころは、有名な曲やってくれるとうれしかったけど、いつしか新曲をやってくれるとうれしいようになった個人的経験もあり。)
章立ては以下のとおり。
第一章 わかってくれない世間が悪い
第二章 歌われていないことは山ほどある
第三章 バンドマンの夢と現実
第四章 「業界」からの独立 前編
第五章 「業界」からの独立 後編
第六章 独立は「自由」か「面倒」か?
第七章 「バンド」からの独立
第八章 決めたのはオレ自身
コメント
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