かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

マティス展 & ブルターニュ展

2023年05月13日 | Culture・Arts

今日の天気は、いまいちだが、予報ほど酷くはなかった。
また、鹿児島で地震。
全国各地で、連続している。



予定していた展覧会のダブルヘッダー。
まずは、時間指定の必要だったマティス展へ。
ポーラで、数年前見たが、今回のような大規模な展覧会は、20年振りという。
ポンピドーとタイアップして、まさに見応えのある展覧会だった。


マティスの芸術への取り組みの変遷が、見事にカバ^ーされている。
フォービズムから始まって、モダンアート、彫刻、ドローイング、版画、切り紙絵、教会の総合プロデュースなど、幅広い分野のアートに取り組んだ。
どれもが、見応えがあり、モダン・アートの歴史を一人で、切り開いているようだ。
3層の展示になっているが、何故か1層のみ写真撮影可。
時代は、中期のものに偏ってしまうが、一番馴染みのある時期のものかもしれない。



赤の大きな室内。



この辺から、切り紙絵。
ヴェルブの表紙のデザイン。



表裏が見れる展示。



その先のジャズのにつながるデザインだ。
グッズ売り場も大充実で、欲しいものがたくさんあったが、結局カードだけにした。
ジャズの分厚い復刻本なども魅力だったが。
マティスファンのみならず、モダンアートに興味のある方にお勧めできるすばらしい展覧会。



午後は、国立西洋美術館の憧憬の地ブルターニュ展。
その前に、西洋美術館のすいれんで腹ごしらえ。
サービスが早いのがいいが、麺ゆですぎ?
味はいい。



交通の発展により人気地になったブルターニュをテーマにしたユニークな展覧会。
もちろん絵が中心だが、本や、手紙や、写真や様々な物が展示されている。



こちらは、ピックアップされた数点のみ写真撮影可。
その基準は、わからない。



印象派以降、ブルターニュの人気が出て来たようで、様々な作家が、何度も訪れ、その風景、風俗などを絵にしてきた。
フランスの中でも、イギリスに面していて、ユニークな文化がはぐくまれたようだ。
これは、モネのポール=ドモワの洞窟。
隠岐の岸壁を思い出す。
北側に面した地域で、気候や環境も似ているのだろう。



ゴーギャンの絵も多い。
このようなゴーギャンらしい絵も多いが、もっと普通?の絵も多い。
ブルターニュの少女たちの素朴な姿を描いている。



こちらは、やはりゴーギャンの農婦たちの絵。
オルセーから来日してくれた。



モーリス・ドニの若い母。
幸せいっぱいの家族を描く。



モーリス・ドニの花飾りの船。
日本の画商が出入りしていて、提灯や、日の丸や、黄色い傘など、日本に対するサービスではないかとの考察も。
浮世絵の影響を大きく受けた版画も展示されていた。



リュシアン・シモンの庭の集い。
当時の風俗が垣間見えて興味深い。



シャルル・コッテの悲嘆、海の犠牲者。
気候の厳しい地域で、海難事故も多かったという。



最終展示は、日本画家の絵。
この時代に多くの画家たちが、ブルターニュに滞在していたことに驚かされる。
これは、久米桂一郎の林檎拾い。
大作だ。黒田清輝や。藤田嗣治の印象的な絵も。
日本とのやりとりの絵葉書群も、当時の様子を知ることができ、興味深い。

ひじょうに勉強になる展示で面白かった。

ということで、今旬の展覧会を満喫できた。
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重要文化財の秘密

2023年05月02日 | Culture・Arts


今日は、最高の天気。
GW中で、電車も少し空いている。
明日から、5連休。

会期末が迫った重要文化財の秘密展に行って来た。
すぐチケットが入手できたので、リラックスして行ったら、結構な人出。

明治以降の作品で、重文に指定された様々な分野の芸術品が、一同に介している。
近代美術館収蔵品は、見たことのある作品が多いが、その他の美術館に修造されている有名な作品は、初めての作品が多い。
写真では、どこかで見たことがある作品がほとんどだ。
作家名は、知っていても、初めての作品も多い。



5月14日まで。



これは、明治10年、高橋由一作の鮭。
重文には、日本画の方が先に指定されだしたという。
絵の説明だけではなく、重文指定の経緯や、その頃の世相なども解説されていて面白い。
それが、本展覧会名の所以だ。
洋画の重文指定第一号。



黒田清輝の湖畔。
明治10年の作品。
芦ノ湖畔という。
切手のデザインになっていたので、昔から知っている。
平成11年に、重文に指定された。



萬鉄五郎作、裸体美人。
2000年に、重文に指定された。
強烈な印象を与える。
常設展にも、萬鉄五郎の作品があるが、当時のヨーロッパの様々な作風にチャレンジし続けていたことがわかる。



こちらは、彫刻のコーナー。
高村光雲の老猿。
凄い迫力だ。
洋画より、彫刻の方が、重文らしいと感じてしまうのが、不思議だ。
近代の芸術は、分野が多様化し、重文指定の傾向が変遷している。



これは、工芸品のコーナー。
鈴木長吾の十二の鷹。
1893年の、シカゴ・コロンブス万博への出展作品という。
国を代表する作品だった。



これは単独作品。
こちらは鷲。
素晴らしい。



初代宮川香山の褐釉蟹貼付鉢。
明治14年作。
平成14年重文指定。
これも有名な作品だが、直に見ると凄い迫力。
どうやって作ったのか?



ごく一部しか紹介できなかったが、素晴らしい中身の濃い展示だった。



常設展もがらりと入れ替えられていた。
本展が終わったら、ある程度元に戻すのだろうが。
特別展との関連展示も多くて楽しめる。
結構、常設展にも訪れている人も多かった。



草間彌生の作品は、やはり強烈。
何年制作活動を続けられているのだろう。



これは関連展示。
特別展にあった今村紫紅の熱国之春という作品の取材スケッチ。
インドのガヤという。



私も訪れたが、確かお盆の発祥の地だった。
当時は、訪れるのも大変だったろう。
ペナンや、ミャンマーも訪れている。



景気のいい部屋。
東京国立近代美術館70周年記念展にふさわしい素晴らしい展示だった。
満喫した。
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横尾忠則展 満満腹腹満腹

2023年04月25日 | Culture・Arts


今日から関西。
まだ行けていなかった、横尾忠則現代美術館に行ってみた。
建物は、立派ではないが、天井が高く、スペースもあり、横尾さんの作品を展示するのには、ピッタリ。
今回の展示は、これまでの約30本の企画展のダイジェスト版で、数もバリエーションも、まさにカオス?



入り口のこの作品は、左下の作品を模倣した作品を並べたもの。
ウォーホルだったら、シルクスクリーンにするところだが。



これは、肖像図鑑展のコーナー。
ビートルズの作品も2点あり。



ここは、昭和NIPPON展のコーナー。
美空ひばりとビートルズ?
栄作さんも。
確かに昭和!



画家の肖像展のコーナー。
この作品は、見たことがある。



このようなモニュメントも。
参加者が勝手に作品を仕上げていく。
保管するだけでもたいへん?



これは大涅槃展のコーナー。
圧倒される。



ここは、謎の一画。
目だらけ。



この作品も見たことがある。
この辺になると芸術性を感じる?



最後は、この部屋。
この部屋は、常設と思われる。
横尾さんが幼い頃育ったこの地のコラージュとミラーと外の景色が組み合わさって、不思議な空間。



お土産コーナーごまた大充実。
カード3枚と辛くを2冊ゲット。
このカードのデザインは、見たことがなかった。
The Beatles, Dracula。
1966年の作品という。



これは、Showa NIppon展の図録内のビートルズ。
ビートルズを受け入れることは世界を受け入れることだった。
とキャプションが。

初めて行けたが、遊園地みたいな美術館だった。
今回の展示は、今までの展示を凝縮したもので、お勧め!
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帰ってきた マイ・ブラザー

2023年04月15日 | Culture・Arts


今日は、1日中雨。
午後から、久しぶりの演劇へ。
その前に、初めて宮下パークに行ってみた。
前を通ったことはあったのだが。

渋谷駅の混乱を通過したどり着いたが、なかなか盛況。
それにしても、複雑すぎる。
昔は、すぐ行けたのだが、工事中だったり、新たなビル、地下道ができたりして、訳わからない。

普段、見かけないショップがたくさん並んでいて、楽しい。
これは、環境に優しいカポックのお店。
ダウン並みの軽さ暖かさだが、実の中の不要になる綿のような繊維から作るので、木も切らないし、動物も殺さない。


 
このレゴコーナーは、BTSのレゴ。
いろいろあるんだ。



そして、帰ってきた マイ・ブラザー。
ご覧の通りの豪華キャスト。
脚本は、オリジナル。
(費用が安くて空いていた)浦賀のホールで、40年振りの復活コンサートを行おうとする4人兄弟グループのドタバタだが、兄弟間の葛藤、40年グループを推してきた姉妹の思い、ペリーを愛する浦賀の人々が絡んで、思わぬ展開を見せる。
若村兄妹が、今は、老村。
グループを始めるきっかけは、ジャクソン(若村)5?
最後は、……で、めでたしめでたし(ネタバレになるので)?

キャストの皆さんの本ステージにかける思いが、ひしひしと伝わって来た。
この4人が、とても兄弟には見えないが、それを乗り越えるストーリーの巧みさに脱帽。
何より、普段は、TV、映画でしか見れない豪華キャストの演技が、生で、間近で、見れる。
素晴らしいステージだった。

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倭と伽耶

2023年02月13日 | Culture・Arts
今日は、また冬に逆戻り?



昨年、伽耶展に行った話はした。
日本で、出土するものとよく似た発掘物が、伽耶と呼ばれる地域で多く発見されていることを知った。
その伽耶展と時を同じくして出たのが本書。

本格的な本で、難しかったが、興味深い内容だった。
難しい理由は、多々あるが、一番は、やはり当時朝鮮半島南部に多数あった国、地域の名を元々知らないのと、そもそもその存在自体が、不確かで、ふわふわしたものであることがある。

伽耶というのは、日本書紀で言う任那のことだが、その伽耶自体、先日の伽耶展でも明らかだったように、当初慶州南部の金官伽耶だったのが、大伽耶になりということだし、定義は変化し、その範囲、歴史も推測によるところが大きい。
伽耶と百済の間に馬韓があったが、その国自体、実態がよくわからず、書物に残るのみだ。

では、なぜ面白いかというと、日本に残る七支刀や古墳、広開土王の碑、朝鮮半島での発掘物などを研究すると、書物に残る歴史と実態のギャップが浮かび上がり、本当の歴史を推測できるからということになろうか。
朝鮮半島で、日本製の武具が多く発見されるが、これは、古代日本軍が、朝鮮半島で戦闘に参加したのではなく、当時日本で生産できなかった鉄を、日本が輸入し、その対価として、刀や武具にして輸出したものだと推測する。
広開土王の碑で、日本が朝鮮で大暴れしていたのを打ち負かしたとあるが、これは、広開土王の功績をより大きく見せる創作だという。
同じことが、日本側にも、中国側にも言える。
中国は、倭の五王の時代、様々な統治権を倭に与えたように史書にあるが、そもそも当時の宋は、弱体化しており、朝鮮半島に権力を及ぼしておらず、統治権を与えられる状況ではなかった。
倭も、伽耶と深い関係にあったものの、人や、物が、頻繁に交流したというだけで、伽耶を統治している訳ではなかった。
だから、百済に、任那を割譲したというのも、虚構で、百済が勢力範囲を拡大する中で、日本との関係が深かった任那(伽耶)が、百済の勢力下に入ったというのが真相と説く。
しかしそのため、百済と新羅の対立が激化し、百済は、新羅に滅ぼされてしまった。

その頃、日本では、新羅と百済に対する対処法の違いで、磐井の乱が起こったとされるが、それも後付けの理由で、倭が対立する九州勢力を駆逐したというだけのこと。
3世紀当時、奈良に、倭と邪馬台国に二勢力があったとすることが前提で書かれているが、ここは、本題ではないにしろ、根拠は、あまり説明されていない。
一方、朝鮮半島とのつながりに関する証拠は、九州に圧倒的に多いことが記される。
そのつながりは、多くの分野に渡る。
この辺は、図でも多く紹介されていて、たいへん興味深い。
特に、朝鮮半島側での古墳図、発掘物については、細かく分析されていて、日本で見つかるものとの類似点、相違点が明らかにされる。
とはいえ、発掘物は、まだ断片的であり、並べて網羅的に比較分析することは難しい。

副題の朝鮮海峡の考古学が示す通り、朝鮮海峡をまたいだ考古学研究の魅力を伝えてくれる1冊だった。
昨日訪れた鬼の城などの山城の話は、その後の歴史だ。
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