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本書の存在は、連合出版さんからのダイレクトメールで知った。
私がチベットに行ってから、もう10年になるが、本書の旅は、さらにその5年前のことだという。
ちなみに私の行った時の話は、以下にあるのでどうぞ。
http://www40.tok2.com/home/kaneyan/ChinaTibetIndex.htm
なんで、そんなに時間がかかったのかというと、最初に原稿を出した出版社が、いい加減で、結局出版されず、そのまま放って置かれたのだが、連合出版さんの誘いで、日の目を見ることになったという。
連合出版さんは、アジアのマニアックな本を出されているので、時々お世話になっている。
本書のマニアックさもかなりのもの。
チベット旅行記の域を超え、探検記になっている。
チベットの場合、行動範囲が制限されているので、情報が極端に少ない。私の行ったところも、日本語の解説書には載っていないところがある。
本書も、たぶん本書のみしか書かれていない情報がたくさん含まれているはずだ。
それにしても、同行者が途中、二人も急死している。高山病と考えられるが、いわゆる突然死で原因不明。木もなく、火葬にもできず、鳥葬にするしかない。
車は、故障するは、崖から落ちそうになるは、とんでもない旅、いや探検だ。
しかし、その成果は凄い。ヘディンの彷徨える湖ではないが、高原湖の構造が明らかにされる。この辺が、インドの4大河川の源泉になっているのだという。
そして、カイラス山。仏教でいう須弥山だが、その神々しい姿を、いろんな角度から捉えている。宗教上の理由もあってか、未踏峰という。
ちょっと、宗教に対する姿勢(例えば、チベット人が食さない魚をとりまくったり)がいかがなものかと感じるところもあるが、チベット奥地の情報源として貴重な本。
今、ここまで、行けるのか知らないが。