本書や、本屋で見つけた。
買ってから気づいたのだが、ジュニア向けの新書だった。
では、中身はどうかというと、聖徳太子の実物に迫る観点からのみの切り口で、しっかり迫っていただいていて、充実した本だった。
聖徳太子については、いなかったのでは?とか、蘇我氏だったのでは?とか、いろんな珍説がある。
本書は、そのような珍説には与せず、当時の書物、その後の発掘結果から、聖徳太子の真髄に迫ろうとするもので、好感が持てる内容になっている。
とは言え、謎が多いのも事実。
本書で知ったのは、聖徳太子の直筆と伝えられる法華義疏が皇室に残っており、真筆の可能性が高いということだ。
正倉院御物よりも前の簡素な書物がこんなに綺麗に残っているとは。
まさに奇蹟だ。
聖徳太子は、亡くなった後すぐ神格化されていった。
本書ではその理由を、聖徳太子の超絶な能力によるものという。
他は、その子孫の不幸を弔うため、祭り上げたものという。
真実は闇の中だが、本書を読むと、いろんな説が、その後の発掘により、収斂していった様子も丹念に記されている。
聖徳太子のオーソドックスな姿を知りたい人に打って付け。
斑鳩の里に再訪したくなること、疑いなし。
法隆寺のスタイル(再建後)は、当時から見ても、時代錯誤な古風なものであり、意図されたものだった。