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ヨーロッパでのマーケティング

2015-03-23 14:15:47 | 14期生のブログリレー

14期生の長田真由美です。

ヨーロッパというマルチカントリー・マルチ言語・マルチ通貨の地域では、日本にはあまりないマーケティングの苦労がありました。

カルチャーが各国ごとに違い、ヨーロッパ全体でのキャンペーンが出来にくかったり。

例えば、イタリアの販社が立案したあるプロモーションには唖然。欧米では春のイースター(復活祭)の時期にはチョコレートのイースターエッグが出回ります。なんと、イタリアの販社はオーディオテープの5巻セットにイースターエッグチョコをバンドルしたのです。もう倉庫や輸送など、物流担当は大わらわ。割れたり溶けたり・・・  チョコレートを扱い慣れた食品会社でさえ取扱いの難しいのですから、いわんや電機メーカーの物流担当をや。

テープ5巻セットと言えば、各国で色や柄の好みが違うので、中のテープ5巻は全く同じでも外側のビニールパックのデザインだけは各国別にたくさんのバージョンを作らねばなりませんでした。オーディオテープの製品数は物凄い数にのぼり、販売計画・生産計画作成が大変でした。

あとはマルチ言語の問題。

ウェブサイトとコールセンターで欧州17カ国の消費者に製品を直販していたのですが、何ヶ国語でショッピングサイトを作るかが大問題でした。A4のカタログ作成でさえ、英語で作ってフランス語・ドイツ語に翻訳すると、文章の長さが1割、3割増しになり、ただの翻訳者では対応できませんでした。適切な分量の文章でパンチのある宣伝文句を入れ込めるネーティブの「コピーライター」を雇わねばならなかった。

でも、半年に1回作ればいいいカタログと違い、ショッピングサイトでは商品やプロモーション説明文を頻繁にアップデートするので、17ヶ国語でやるというのはとても無理でした。まずは英独仏語でショッピングサイトを始め、イタリア語・スペイン語を追加。他からも「僕の国の言語はないのか?」と文句が出る。でもスウェーデンのような北欧の大国さえ800万の人口しかいないので、北欧言語のサイトを作ってメンテし続けることはコスパ面で不可能でした。

EU(欧州連合)では加盟国が28カ国もありますから、通訳者だけで1万人がEUで働いているそうです。欧州においては、言語コストというのがバカになりません。

パソコンやデジカメに好きなメッセージや名前を刻印する刻印サービスを提供していたのですが、この立上げ時にも言語問題に悩まされました。ウェブサイトで顧客が入力したメッセージを、ウェブシステムからバックオフィスシステムに転送し、それを外部の倉庫業者のシステムに転送してそこの刻印マシンに入れ込み刻印するのですが、フランス語やドイツ語の特殊文字がシステム間で転送される間に文字化けしてしまったりして。また、本当は綴りが間違っていたら、刻印する前に発見して顧客に知らせて修正するのが理想なのですが、それだけ多言語だとチェックは不可能でした。

それにマルチ通貨の問題。

今は多くの国がユーロに統一されましたが、最初は全部異なる通貨で、税込価格の値付けも大変なら、税引価格のシステムへの設定も大変でした。イタリアリラと他の通貨では3ケタくらい違っていたので、ゼロを1個少なく入力してしまい、1/10の値段なのであっという間に注文が殺到して超安値で売り切れてしまったり、とか。

日本でももちろん地方別の嗜好の差異はあると思いますが、言語と通貨の問題なく、1億2000万人のマーケットに向けてマーケティングできる効率性は何物にも代えがたいと思います。

 

コメント (3)
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