16期田代です。今年の夏休みも昨日で終わり、今日から仕事再開です。
リオ五輪・高校野球は熱戦が続いており、今週末もまだまだ楽しめそうです。
さて、夏休みに入る直前、日経新聞を読んだところ、稼げる士業の一つである弁護士に関して気になる記事がありました。最近の法務省の調査では、新人弁護士の平均年収はここ5年で210万円も下がったそうです。
登録5年目の弁護士は754万円、登録15年目では617万円も下がったそうで、5年前と比較すると2~3割程度の減収となり、弁護士は以前ほど稼げなくなってきました。消費者金融への過払い金請求といった需要の減少と法曹人口の拡大により供給が増加したことで、需給バランスが変化したことが主な要因とのことでした。
この記事を読んで思い出したのが、将来AI(人工知能)に代替される可能性の高い職業についての研究です。昨年暮れに野村総合研究所が、日本の労働人口の49%はAIやロボット等で技術的に代替可能であると発表しました。
昨今の弁護士の収入低下はAIによる代替の結果ではありませんが、米国の研究結果によると法律事務所の事務員等もAIに代替される可能性は高く、弁護士自身の収入も将来的には影響を受けると思われます。
りらいあコミュニケーションズ株式会社が提供するバーチャルエージェントというサービスをご存知でしょうか。ユーザーが企業のホームページにアクセスした際に、チャット形式で問い合わせに回答するロボットのことです。
文具や日用品の通信販売を手掛けるアスクルや東海東京証券などで導入されおり、顧客からの問い合わせに対応させて省人化を図ったり、データを蓄積させて新たなサービスの創出に活用したりしています。プロの囲碁棋士を破ったあのAIほど高度なものではないかもしれませんが、身近なところでAIの進歩を感じる機会が増えてきています。
最近読んだ書籍ですが、細谷功著『地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」』の中で、人間の知的能力には3つあり、それは知識・記憶力、対人感性力、地頭力であると述べられています。この地頭力というのは、「考える力」の基礎となる3つの思考力(仮説思考力、フレームワーク思考力、抽象化思考力)で構成されており、地頭力とは考えるプロセスと習慣であり、問題解決のトレーニングによって鍛えることができるとのことです。
暗記型の勉強で蓄積した知識・記憶力が重要な職業は、インターネットでの検索が容易になるなどITの進展に伴い、機械による代替が利き易く、論理思考力が重要な職業においても、定型的なフレームワークの枠から外れない程度の論理思考力であれば、AIの発達により、いずれ淘汰される可能性が高いでしょう。機械による代替が利かない能力としては「機転が利く、空気を読む」タイプの人が有する対人感性力という能力で、ビジネスや日常生活を円滑に進め、「人を動かす」には不可欠ですが、人間関係でもまれることで鍛えられる能力であるため、なかなか身につけにくいものでもあります。
経営コンサルタントや中小企業診断士など、他者との協調、他者の理解、説得、ネゴシエーション、サービス志向性が求められる職業はAIやロボットによる代替の可能性が低いと、野村総研の研究にありました。
中小企業診断士の強みは人それぞれ異なると思いますが、顧客の問題を解決するための思考力と幅広い人脈形成力が診断士の価値の源泉であることは間違いなく言えそうです。