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神戸製鋼のデータ改ざん

2017-10-17 08:34:22 | 17期生のブログリレー
17期の 桶 哲治です。

今、神戸製鋼の検査データ改ざん問題が,新聞・テレビで盛んに報道されています。
自分は、大学卒業後15年間神戸製鋼の子会社に勤務していましたので、他人事とは思えずとても残念です。このようなことは、あってはならないことなのに神戸製鋼だけでなくいくつもの大手企業がデータ改ざんなどの品質問題を起こしていることも気になります。
 私は、30年くらい前にHDDのアルミ基盤の生産技術を担当し、神戸製鋼経由で供給しておりました。その頃の神戸製鋼の品質管理部や品質保証部の方々は知識も豊富ですし、ISO9000が制定される前の1980年代には、航空機材料やHDD部品等において既にISO9000と同様以上の管理をしており、それを参考にしていました。航空機メーカーやコンピューターメーカーは厳しい品質仕様であったと当時の品質保証部の担当者から聞いていましたし、当然私が在籍した子会社にも大変品質管理体制に厳しかったと記憶しております。私自身の品質管理についての知識や経験の多くは、神戸製鋼の品管や品質保証部の方々に鍛えてもらったと思っています。その神戸製鋼がこのような問題を起こしていることは大変残念です。
 自分の知る限り品質管理体制のしっかりしていたはずの神戸製鋼がなぜこのような問題を起こしてしまったのでしょう。最近問題を起こした日本を代表するような大手企業、東洋ゴム、三菱自動車、タカタ、日産自動車などでも神戸製鋼と共通する問題あるのではないかと気になります。
 データ改ざんの内容の詳細や原因究明についてこれからの調査が待たれる状況ですが、新聞等によると、納期に追われていたことやコストを考えて、仕様を外れた製品を品質管理担当者が出荷停止とは言えなかったのではないかとのことです。 一般的に品質管理部門は製品の出荷可否については工場長と同様かそれ以上の権限を与えられているのが普通です。しかし、組織上は工場長の下に品質管理があるので、なかなか厳しいことを言えなかったのではとも伝えられています。
 これからの詳細な調査を待って話すべきかも知れませんが、私は、工場出身ですので、工場の立場から誤解を恐れずに言うと、検査でわずかに仕様から外れた製品を捨てるのは心苦しいことでした。当然に歩留まりや納期を考えるので、悔しいと感じてしまいました。客先の要求仕様は、安全率に余裕があり、またお互いの計測器の器差分などを余裕見るのが普通ですので、僅かであれば大丈夫ではないかと思ってしまいます。このような場合には、顧客に特別採用申請して了解を得て出荷するか否かを決めるのが企業間取引の場合では普通やり方であると理解しております。今回は、特採申請もきちんとやられていたのか疑問です。検査担当が自分の判断でこれくらい申請通るだろうと高をくくって出さずにいたのでしょうか。それとも不適合とすると製造部や営業部などが、バタバタするのが大変だろうと、忖度したのでしょうか。この問題は、非常に日本人的な問題が含まれているような気もします。これを解明し解決していかないと今後も色々な会社において問題が起きるのではないかと危惧します。また、巨大企業で問題発生しているが、中小企業ではどうだろうかと気になります。
 いまだ、問題の内容が解明されない状況ですが、神戸製鋼に関係した一人として、少なくとも30年前はきちんと品質管理出来る会社だったはずなのにとの思いがあり、なぜこうなったとの疑問がわいてきます。決して神戸製鋼を弁護する訳では無いことを理解ください。
コメント (3)
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