17期生の荒井です。
先日「くず餅」の製造、販売を手掛ける亀戸船橋屋の社長、渡辺雅司さんの講演を聞く機会がありました。
船橋屋は1805年創業、現社長の渡辺さんで八代目。ちなみに、日本で200年以上の歴史がある企業は2,000社と世界でもダントツで、欧米ではドイツが800社、アジアの韓国に至っては0社です。
くず餅とは、湯で練った小麦澱粉をせいろうで蒸し、黒蜜ときな粉をかけた餅で、賞味期限はわずか2日間。初代が亀戸の天神様が梅や藤の季節に、参拝客でにぎわうのを見て作り上げたのが起源、との説明を受けました。
さて、講演は現社長が銀行員を経て、船橋屋に転職された後にどのような社内改革を行い、老舗企業を先進的な企業に変革させたかがメインでした。内容をまとめると、
・転職当時は、緩みきった社風。
・当時社長であった父親に掛け合い、社内改革を進める。苦労したが、現在の船橋屋は以前と別の組織になっている。平均年齢30歳。まるでベンチャー企業並の若い社風。
・強い企業は、強烈なビジョンとビジョンを実現する組織を持っている。現在の船橋屋はそれを実現できていると考える。
・目指すのは、「文化性」(自然のモノを自然に供給する⇒無添加食品)「社会性」(食を通して健康や安全性の提案)「経済性」(売上は毎年10%以上伸ばさないが、利益は厳しく追及する)のバランスがとれた会社。
・社長は「この会社は何のため、誰のため、何故存在するか」「お客様は、何故、今当社からこの商品を買わなければならないのか」の2点を明確に答えられなければならない。
・社内に「語り部」(同士)を多く持たなくてはならない。
・目指すのは「オーケストラ型組織」。全員が一つの方向(ベクトル)に向け、楽曲を作り上げるイメージ。
・リーダー(社長に次ぐNO.2)は35歳の女性。会社はNO.2が大切。
等々、社内改革の内容を語っていただきました。
老舗のネームバリューに頼ることなく、先進の企業改革を行った社長の勇気・行動力には十分敬意を払いました。このような事業存続のための変革を惜しまない企業が多いことが、日本に老舗が多い理由の一つなのでしょう。
しかし、以下の2つのことをどのように考えられているか、気になりました。
1つは、今後ダイバーシティ化が進展すると、多様化はさらに進むと考えられます。社内のベクトルを合わせると同時に、多様性をどのように経営に取り入れようとされているかについて、であり、次に、働きアリの原理(パレート原理)が本当に摘要除外された会社なのか、についてです。しかし、この点については私の杞憂なのでしょう。なぜなら、現在、学生の応募数は1万人を超えるそうで、このとてつもない就職希望者の数は、若い人たちに船橋屋の魅力的は十分に伝わっている証明になるからです。
また、私は船橋屋のくず餅を食べたことがないので、その魅力を語れないことが残念です。
皆さんは「船橋屋のくず餅」食べたことがありますか?