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広告稼業の棚卸 その10「バレンタインと販促」

2019-02-14 12:00:00 | 18期生のブログリレー

稼プロの関係者の皆様。18期の市原です。

しばらく広告から離れていましたが、改めて広告視点で、バレンタインデーと販促の関係についてお話しします。

ご存知のように海外のバレンタインデーは、必ずしも女性が男性にチョコを贈るものではありません。むしろチョコ以外のものの方が多く、男性からも贈られます。そして、ホワイトデーという風習もありません。現在のバレンタインデー「イベント」は日本における独特のものなのです。

ことの起こりは、昭和初期、神戸のモロゾフの広告と言われています。

http://www.morozoff.co.jp/quality/valentine/ (サイトの中ほど)

しかし、この時からイベントが定着したわけではありません。これ以降、メーカーや流通があの手この手で盛り上げようと試行錯誤して来ました。

そして定着は70年代の高度成長期と言われています。では、高度成長期に自由を謳歌する大人の女性から広がったのでしょうか。実はそうではなく、子供たちからの普及といわれています。

好きな人にチョコをあげるというイベントが、子供たちに「告白が許される日」という解釈を生んだと考えます。つまり、普段なら告白に躊躇する子供たちにとっても、この日だけはそれが許される、むしろ告白を後押しする雰囲気が学校に生まれるのではないでしょうか。この文脈の付加が子供にとっての普及の本質だったと考えます。このように、周辺に作られる文脈は非常に重要です。広告コミュニケーションの多くは、この文脈作りないし文脈強化なのです。

 

また、他にも大切な視点があります。それはコーホートです。

子供の頃の原体験は大人になっても大きく変わりません。バレンタインデーイベントを経験した彼女たちは、大人になってもこのイベントを継続する可能性が高いということです。これによって、一定の市場規模が毎年生み出されることとなります。

 

さらに、販拡戦略としても優れたマーケティングがありました。

本命チョコだけでは市場が限定的です。そこで、義理チョコという市場が考え出されました。これは本命の高級価格帯と義理の普及価格帯という、商品戦略も可能にしました。さらに、このお返しという意味でホワイトデーが作られました。これによって、女性だけの市場に男性市場が生まれました。

以上のように、バレンタインデーというイベントはマーケティングの成功事例の宝庫といえます。

 

ちなみに、近年のバレンタインデーの広告で、抜群のインパクトを誇ったものといえば、こちらでしょうか。

https://adgang.jp/2016/03/119475.html

さて、今年はどんな盛り上がりを見せてくれるのでしょう。

コメント (3)
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