皆さんこんにちは。稼プロ!18期生の小野澤です。前回日本の観光産業に触れましたが、伸びているものの地方の観光資源開発が課題になっています。私の住む千葉県も成田空港と言う絶好の観光資源がある割に、Inboundの観光客は千葉を素通りして東京など他の地域に行ってしまう、いわゆる千葉Passingが問題になっています。
そんなおり先日千葉の観光資源になりそうなお寺に行ってきましたので、そのご紹介をしたいと思います。2月の初め、妻が何を思ったのか、昨年結婚したばかりの末娘のために、突然子授祈願に笠森観音に行きたいと言い出したので、ドライブがてらに笠森観音堂に行ってきました。笠森観音(http://kasamori-ji.or.jp/)と言うのは房総半島の真ん中の内陸部にある小高い観音山と言う小さな山の上にある笠森寺と言うお寺で、最近子授のご利益があるとかで、若いカップルに人気があるそうです。このお寺の観音堂は「四方懸造」と呼ばれる独特の建築様式で有名で、崖の上に清水寺のように60本以上の柱で堂を支える構造になっています。地面からお堂までは20m近くあるでしょうか。 木製の急な階段を上がってお堂まで行くと妙に高く感じられ少し怖いです。頼むから自分がここにいる間は地震が起きないで欲しいと祈りたくなる高さです。
なんでこんな建物をこんなところに建てたのかなと思いながら、お寺のパンフレットを見ると、このお寺結構古くて、いわゆる伝教大師、最澄上人が782年に十一面観音像をここに安置して開基したのが始まりとか。その後、1028年に後一條天皇がこの観音堂を建立したのだそうです。道理であちこち菊のご紋が目に付くお寺でした。それにしてもあの時代はこの辺りはジャングルだったと思うのですが、良く超エリートの最澄上人がこんなところまできたものだと思います。昔から神社仏閣の建つところは、大地のパワースポットがあるところだったということを言う人もいますが、ここもそんなところだったのでしょうか。
たまたま我々が行った日は節分の日で、ちょっとした伝統セレモニーに遭遇しました。境内をぷらぷらしていると、なにやら厳かな雅楽の音色が聞こえてきたかと思うと、小学校の運動会のような花火のどんどん言う音が聞こえてきました。なんだろうと思っていると、お堂のある山頂から下った麓の別棟から観音堂で節分の儀式をするために、お坊さん達が上がってくるのだとか。しばらく待っていると長い鉄の杖をしゃらしゃら引きずっては、どんと地面に打ち付けながら歩く二人の先導者に続いて紫だの黄色だのきれいな衣装を纏った偉そうなお坊さんの一団があがってきました。お堂の上から地上の我々に節分の豆まきをしてくれるのかと思ったら、残念ながら、お堂の上で予めエントリーしていた特定の人にのみ豆が振舞われたとのことでした。でも、儀式が終わってお堂から降りてきたお坊さん達をを物欲しそうに眺めていると気の毒に思ったのか、大きめの桝に入った豆をお裾分けして頂きました。豆をぽりぽり頬張りながら麓の駐車場に戻ってゆくと途中に古色蒼然とした松尾芭蕉の句碑がありました。曰く『五月雨やこの笠森をさしもぐさ』
さしもぐさとはヨモギのことだそうで、モノの本によれば、この句は『森が笠となってよもぎを五月雨から守っているように、人々もまたこの笠森に守られている』 と謳ったものだそうです。当時多忙を極めていた芭蕉が本当にこんなジャングルまで足を運んだのか怪しいと言う説もあるようですが、国定天然記念物に指定されている笠森寺の自然林の中で読むとなんとも風情のある句のような気がしてきます。
日本もこれから地方の観光資源をもっと開発して、観光立国を目指すなら、こういう貴重な文化遺産をもっと大切にして、観光資源として活用して行くべきではないかと思います。