こんにちは。
第19期生佐々木辰也です。
わずか一週間という短い期間の人々の活動自粛による経済活動の停滞が連日報じられ、株価への悪影響もでてきました。経済がとても微妙なバランスの上に成り立っていることを、つくづく思い知らされる日々が続いています。
暗いニュースばかりが報道されているので、今日はモチベーションに関する軽快なお話と、そこから感じたことをお伝えしたいと思います。
2018年に公開された映画「億男」。すでに鑑賞された方も多いかもしれません。これまで様々なヒット邦画をプロデュースしてきた東宝の川村元気さんの原作ということで、期待通りに面白い作品でした。
未鑑賞の方、ご安心ください。
このブログはネタバレ目的のサイトではないので、直接にこの映画の内容には触れません。
今日はそのモチーフとなった古典落語「芝浜」についてです。
この作品は江戸時代末期の作といわれており、先代三遊亭円楽の生前最後の演目としても知られています。
タイトルにある芝浜は、現代でいうところの浜松町駅と田町駅のほぼ中間点にあり、当時は日本橋に次ぐ大きな河岸(魚市場)と砂浜がありました。
物語の主人公は勝(かつ)という魚行商人の男です。捌いた魚が美味いと評判でスキルが高いのですが、酒に溺れるのが弱点で貧乏暮らし。酒による失敗でモチベーションが下がって、仕事を休みがちになっていました。
ところが、ひさびさに河岸に出勤した早朝に、偶然に他人に知られず落とし主のわからない財布を拾います。こっそり家に持ち帰って、この財布の中にざくざくと金の小判が入っていることを知り有頂天。思わぬ臨時収入によって仕事へのモチベーションを失い、もう働かないぞと大酒を飲んで寝こんでしまいます。
そんなやる気のない勝ですが、スキルが高く本来は仕事には誠実な面をもっています。
それをよく知っている勝の女房は、勝が眠っているうちに財布を隠して、「お前さんは、お酒に呑まれて『夢』をみてたんだよ。」と、勝の記憶から小判のことを上手に忘れさせてしまいます。
(第一幕終了)↑
この物語では、勝を信じている女房の存在がとても良く光ります。
ひさびさに出勤する勝に対しては、勝が捌く鮮魚が優れていることやそれを待っているお得意様のこと、道具類がひとつの曇りもなくいつでもピカピカに準備されていることを伝えて、励まして河岸へ送り出します。
小判のことを夢だったと説得するときには、自分が泥をかぶってでも勝を良い方向に導くという潔さがあります。
妻であり母のようであるだけでなく、まるで会社の上司のようです。
(第二幕)↓
夢を見たのだと諦めた勝は、女房に励まされ一所懸命に仕事に復帰します。3年後には独立店舗を営み弟子をもつほどに経済的社会的に成功をおさめます。
ある年の暮れに、3年前の真実(隠した小判のこと)を女房から聞かされた勝は...
このつづきは、ぜひ寄席や動画などでご確認ください。(Youtubeは当代三遊亭円楽がおすすめで、所要時間30分くらいです。)