こんにちは。稼プロ!23期生の種本淳利です。
今週初めの9月11日の東京債券市場は長期金利の代表的な指標となる新発10年物国債の流通利回りが一時、前週末終値比0.05%高い0.700%まで上昇しました。これは9年8ヵ月ぶりの高水準とのことです。前週の日銀の植田総裁も最近の物価上昇を念頭に、マイナス金利政策の解除に含みを残す発言をしており、物価上昇を目指す日銀の金融緩和策の転換が近づいているとの市場の見方が強まっていると言えます。
金利が上昇することで、真っ先に悪影響を受けることになるのが、世界でも稀にみる日本の低金利の恩恵にあずかっていた中小企業であると言えます。借入額の大きな中小企業は金利上昇への備えとして、以下の対策が考えられます。
(1) 借入の早期返済
銀行の貸出金利が低いうちに返済しておくという事です。しかし、事業を行う上で生ずる資金需要に応じて借入するケースがほとんどであるため、事業展開の見直しや会社の資産を処分するなど極めて厳しい経営判断が必要となると思います。
(2) 固定金利への切り替え
変動金利で借入を行っている企業にとっては、金利上昇が予見されるタイミング(まだ貸出金利が低いうち)に固定金利の借入に切り替える事も有効であると言えます。ただし、固定金利の借入は元々の利率が高めに設定されていることから、事業計画の綿密な見直しが必要となるでしょう。
(3) 経営戦略の見直し
上記の(1)(2)とも関連がありますが、金利上昇を前提とした経営戦略の見直しが必要となってくると言えます。特に低金利を活用した事業モデルを展開中であれば、早期に事業モデルの見直しが必要です。防衛策としては、遊休資産の処分や取引先との支払・回収条件見直しなどキャッシュフロー改善を図る必要があるかもしれません。足元では、円安の進行と物価の高騰が中小企業の資金繰りを圧迫していますが、金利上昇の度合いがそれらと入れ替わっていくと考えられます。しかし、これらを通じて右肩上がりの経済が実現されると言えますので、いずれにしても企業は稼ぐ力を向上させてこれらの環境変化に対応していく必要があると言えます。
「言うは易く行うは難し」ではあることを重々承知しております。しかし、「備えあれば憂いなし。」中小企業が早期から対策を講じられるよう、我々中小企業診断士も企業の皆様と一緒に悩み、汗をかいて経済の発展に寄与したいものです。