13期生の西村です。
DX化(Digital Transformation)の推進が叫ばれて久しい昨今ですが、コロナ禍が拍車をかけて2021年は色々な分野でDX化が進んだように思います。
小さな例ですが私の知っている会社でも
・稟議書の押印申請が電子承認になった
・手作業で行っていたデータ入力をRPA※で行えるようになった
※RPA:Robotic Process Automation
・営業マンの取ってきた注文を自動で仕入先に発注できるようになった
などの例があり、業務の電子化/デジタル化が進んでいるようです。
一方、日本国内のEC(Electronic Commerce)の市場規模を調査している経済産業省「電子商取引に関する市場調査」の中では、
BtoBの電子商取引市場規模:334.9兆円、EC化率33.5%となっております。
https://www.meti.go.jp/press/2021/07/20210730010/20210730010.html
EC化率とは全ての商取引に対しその中でEC(EDI取引なども含む)での取引が行われた割合のことです。
この数値から逆算すると、全取引が約1000兆円あり、そのうち約665兆円はまだ電子的取引ではないということになります。
電子化されていない取引というと電話やFAX、対面営業などの取引がまだ665兆円あるという類推できます。
このように考えると、受発注の業務だけ見てもまだまだDX化が進んでいなさそうだな、とも思えます。
また他の知人の会社で「会社から紙媒体資料をなくしたら業務上どのような影響がでるか?」というアンケートを行ったそうです。
色々な意見が出たみたいですが、
・お客様からの商品問い合わせに回答するために、双方が見ている紙カタログで確認するやり方がやりやすい
・現場にはPCやタブレットがなく、持ち込みも禁止(紙の資料ならOK)
・設計する際には商品の仕様やスペックを確認しながら図面化していくが、紙の資料の方が見やすい
などの意見が挙がってきたそうです。
このような話を聞いてこの意見の裏には
「今の業務のやり方を変えない前提で考えている」
という意識があると思います。
先に書きました例も今の業務の中で自動化・電子化できる部分を進めた、という点は否めません。
一方、本当にDX化を進めるなら業務フローを変更することまで考える必要があります。
この点がなかなかDXが進まない一因なのかと思います。
このようなDX化ですが、なぜ進めなければならないのか?とそもそも考えました。
経済産業省のDXレポーの中にもDXの定義として、以下の文章が紹介されています。
「企業が外部エコシステム(顧客、市場)の破壊的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネス・モデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_03.pdf
つまり
DX化=競争上の優位性を確立すること
このように考えれば、変化の激しい昨今に競争優位性を確立する手段のひとつとしてDX化を進める必要があります。
DX化を考える時には、この「競争優位性の確立」というキーワードを念頭に置き、考えていきたいと思います。