岐阜市の柳ヶ瀬商店街。最近はイベントも盛んに行われていて人通りも多く、この日も老舗中華そば屋「丸デブ」や最近大名古屋ビルヂングにも出店した「ツバメヤ」には長い行列が出来ている。高島屋のすぐ南にある中華料理の「北京」へ。創業は昭和22年(1947)の戦後すぐと歴史は長い。ずっとこの場所にあるはずだが店に入るのは初めて。いかにも古い中華料理店といった造りからいくと2階に広間があるのだろうが、案内された1階は円卓が5つ程並ぶスペース。1人で円卓は何だか申し訳なかったが、昼時は相席になるようで、すぐに前の席に2人の女性客が座ってくれた。開店したばかりの時間なのに次々と入って来る客で埋まる。さすがに年季の入った店とあって年輩の客が多いが、しっかり人気があるようだ。何にしようか迷ったが「名物」とあればそれを食べてみたくなる性。ランチメニューの中からDランチ「名物北京式げんこつ肉のすぶたランチ」を注文。昭和中華クラシックな調度品が散りばめられた店内を眺めながら待つ。
厨房は見ることが出来ないが、いち時に注文が集中したようだし、給仕は年輩の女将さんひとりだったので皿出しはゆっくりめ。ランチにはサラダやスープも付いているのでそちらを先に出せば、と思いつつもなかなか運ばれない。しばらく待ってやっとサラダとスープが出された。サラダはマヨネーズしか付いていなかったが、相席の常連客がドレッシングをオーダー。こちらにも回してくださったので手作りっぽいドレッシングで味わう。スープはやさしい味だったので、こちらでしっかりひいたものだろう。その頃には、かなり後からの客へ先にメイン料理が給仕されたので”いぶかって”いたのだけれど、やっと「お待たせしました」の声と共に自分の「すぶたランチ」が運ばれた。
出された料理を見て納得。子供の握りこぶし大とそれよりやや小さめの真っ黒な丸い塊がのっている。これを丸ごと揚げるのは時間かかるわ。先に言ってくれれば落ち着いて待っていられたのに(笑)。その姿はいわゆるその辺の「酢豚」とは完全に別物。他には太さを合わせてスライスされて揚げた茄子、長芋、蓮根が積み重ねられている。黒く濃い色の餡はどちらにも絡まっていて、味付けも濃いめ。盛り付けも斬新で洒落ていて、他の客に運ばれた料理を見てもその辺の街場の中華料理屋とは全然違う。肉の塊の外側は硬くて箸で割るのは無理。行儀が悪いがかぶりついた。そしてまた驚いた。中身は味のついた煮豚だ。少し五香粉の風味もして、それが硬い衣に包まれて揚げてある。こんなの初めて。旨い。ご飯が止まらない。するつもりはなかったのに勧められてご飯をお替りしてしまった。いやぁ、旨かった。締めに杏仁豆腐をいただいてごちそうさま。名物と名乗るに恥じない一品だった。この店の区画は再開発計画の中にあるはず。行く末が心配だけれど…。(勘定は¥1,100)
※残念ながら2018年7月13日を以って閉店されました。
↓ 店の外壁に掛かるデザイン看板とマッチ
↓ 店の向かいにあった何となく雰囲気のある建物。窓や豆タイルからすると理容店だったのだろう。この辺りは空きになった建物が多いが、再開発計画のためだろうか。
中華料理 北京
岐阜県岐阜市神室町2-23
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