ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

高岡福信 @大阪市中央区・肥後橋

2022年08月16日 | 大阪府

大阪船場の道修町(どしょうまち)は江戸時代から薬の町として知られていて、薬問屋や薬品会社が150軒もあるのだとか。そんな会社の立ち並ぶ地域でひっそりと店を構える和菓子の「高岡福信」。創業は寛永元年(1624年)というから400年近い長い歴史を持つ店。店の紹介には”大阪城内の寄人として豊臣秀吉公の御膳預りを勤めその経験を元に、寛永元年(1624年)土佐堀船町(現江戸堀)の北船場の地で菓子業を開始し、五代目文左衛門に至り京都禁裏の御用を承るに及び… ”とある。す、凄い…。その歴史とは裏腹に小さな店には寛永通宝が掲げられ(写真下2枚目)、屋号の看板には「浪花最古の創業」とある。

ガラス木戸を開けて中に入ると小さいガラス・ケースがあるのみ。その中や上にこちらの菓子がぎっしりと並べてある。酒饅頭が有名と訊いたので探すが見当たらない。年配の主人に尋ねると酒饅頭の販売は6月までで(訪問7月)、次は10月から作り始めるのだとか。残念。そこで別の品をと思案するも、あまりありきたりな品をわざわざ持ち帰っても仕方がない。すると「鶏卵素麺」と書かれた細長い箱に目がいった。「鶏卵の…、素麺?…」。1棹お願いする。

2週間程日持ちするので家に持ち帰り、開封して妻と賞味。箱の中には黄色く長い麺が入っている。原材料は鶏卵と砂糖のみ。包みから出して短くカットしていただく。しっかりと甘いが素朴な味。そりゃ原材料が2つだけだものな。少しジャリッとするような食感があるのは砂糖が結晶化しているのだろう。麺状なので口当たりが面白い。和菓子という認識で食べていて「コーヒーとかの方が合うかもね」なんて話していたのだが、後から調べてみて納得がいった。この菓子、元々は安土桃山時代に南蛮貿易でポルトガルから伝わった菓子だという。砂糖蜜の中に卵黄を流し入れて麺状にするのだとか。現在では近くの「鶴屋八幡」の他、京都で1軒、福岡で2軒ほどが扱っているだけだという。そんな歴史的な菓子をいただけて良かった。(勘定は¥1,100)

 

 


 

↓ 国の登録有形文化財に指定されている「北野家主屋」(昭和3年・1928・建造)。探して行った訳ではなく、店に向かう途中で偶然見つける幸運。御堂筋近くの路地にあり、木造3階建て。両側に”うだつ”も上がっているし、各所に銅板が使ってあるので防火に苦心して建てられたのだろう。元々は商家だったそう。

 

 

↓ 現代的なビルの間に忽然と現れる「日本基督教団 浪花教会」(昭和5年・1930・建造)を再訪。ヴォーリズ建築事務所による設計。残念ながら今回も中を観ることは叶わず。

 

 

↓ 「浪花教会」に並ぶのは辰野金吾設計の「旧・大阪教育生命保険」(明治45年・1912・建造)。昨年まで「オペラ・ドメーヌ高麗橋」という結婚式場として使われたが閉業したそうだ(まだ看板は残っている)。この奇跡の並びは残ってほしいなァ…。

 

↓ 歩いていて「塩野義製薬(SHIONOGI)」の本社前を通ったら、前代の建物の一部が残されているのに気付いた。朝鮮総督府等を設計した野村一郎が設計したもので大正13年(1924)に竣工したものだそう。よく見ると後ろの現在のビルも柱のデザインは以前のデザインを踏襲しているのが分かる。

 

 


 

 

御菓子司 高岡福信

大阪市中央区道修町4-5-23

 

( 大阪 おおさか どしょうまち 高岡 たかおかふくのぶ 和菓子 おんかしつかさ けいらんそうめん フィオス・デ・オヴォス 玉子素麺 ヴォーリズ建築 ウイリアム・メレル・ヴォーレル )

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In Concert / The Rolling Stones

2022年08月15日 | クラシック・ロック

In Concert / The Rolling Stones (2020)

一昨年、とんでもない音源がネット上に出回った。ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)の69年マジソン・スクエア・ガーデン(以下MSG)における2公演分のオンライン音源。このツアーではいくつかの公演を編集したものが1970年にライヴ・アルバム「Get Yer Ya-ya's Out!」(ジャケ写真下左)として発売され、2009年には40周年記念として3枚組+DVDのボックス仕様(ジャケ写真下中)で発売され、前座のBBキング(BB King)やアイク&ティナ・ターナー(Ike & Tina Turner)の演奏部分も含めた当初予定されていた形での発売が叶った。映像としては映画「Gimme Shelter」(ポスター写真下右)の主要演奏部分がこのMSG公演で撮影されたもの。

  

自分は数あるストーンズのライヴ・アルバムでもこの69年公演が一番好きで、玉石混交のこのツアーのブートレグも沢山集めていたが、50年の月日を経てとうとうMSGでの11月2公演のライン音源が出回ってビックリ。もちろんライヴ・アルバムや映画を作成したのだから存在を疑ったことは無かったが、こうして出てくるとその素晴らしさに感動。早速オンラインで音源を手に入れむさぼり聴いた。惜しむらくは何かの信号音が途中でいくつも入るところ(ブートレグ対策音かな)。

すでに聴いていたのでフィジカルを手に入れる予定は無かったが、ネット上で安価に見付けたのでついポチッと。ブート各社が色々なタイトルで出したが元の音源は同じ(はず)。こちらは「Moonchild Records」という定番音源を中心とした、特に良くも悪くもないレーベル。ま、元の音源が同じなのだから大差ないだろうと安価な物で様子を見た。ネットで出回った音源と詳しい聴き比べはしていないが、音の輪郭を若干はっきりさせつつ、件の信号音はやや聴こえ辛く修正されているだろうか。何にしてもここでのシンプルでいてねちっこい演奏は最高にカッコイイ。ミック(Mick Jagger)のヴォーカルもわざとそう唄っているのかドープでもキメていたのか、色っぽさと艶がある。新入りのミック・テイラー(Mick Taylor)の流麗なギターも、どんどん上手く溶け込むようになっていてキース(Keith Richards)との役割分担も自然になっている。全体的にBPM遅めなグッと腰を落とした演奏が、当時サタニック(悪魔的)なイメージを振りまいていたストーンズの真骨頂という感じ。こういう音源が表に出る時は大抵オフィシャルにリリースの動きがあった時だが、何か予定されているのかな。あるなら早くしてくれェ…。

※ストーンズに関してはこの後、もっと驚く音源が出回ることになる…

ネットにて購入(¥1,200)

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すずや (2) @愛知県犬山市

2022年08月15日 | 愛知県(尾張・老舗)

コロナ禍になって食堂の営業を止めてしまった愛知県犬山市の桃太郎神社参道の「すずや食堂」。感染者が減ってどうなったかと様子を見に車を走らせる(訪問は第6波終息後)。駐車場に車を停めて境内に入っても、やはり店はだんご等の一部を除いて食堂としての営業はやっていない。主人が1人で店先に出ていたので、とりあえず”おばあちゃんの味””かりっと香ばしい”と書いてあった「みたらしだんご」をお願いする。その場で主人が焼いてくれるので(写真下)、出来上がりを待つ間に世間話。

主人曰く、今は1人だけなので食堂の営業は無理なんだとか。日曜だけ奥さんが手伝うので品を増やしているそう。その時も食堂として営業しているのかは分からなかった。

焼き上がったいい匂いの「みたらしだんご」は5本入りで、透明プラ容器に入れて渡してくれる。折角なので熱々をとすぐに包みを開け、串を取り出した。いい色の焼き目がついただんごを口に放り込む。宣伝文句に偽り無く、本当にかりっと焼けていて、どろっとしたたれを絡ませているのではなく、スッキリとしたタイプ。味付けも甘過ぎず、何本でもいけてしまいそう。これは旨いなァ。車に戻るか家に帰ってからと思っていたのに立て続けに3本食べてしまった。次は日曜にどんな様子か寄ってみようか。(勘定は¥400)

以前の記事はこちら


 

↓ コンクリート像の第一人者、岐阜県中津川市出身の浅野祥雲作のキャラクターがあちらこちらに建っているちょっとシュールな桃太郎神社。像は定期的に塗り替えられているようで色鮮やか。

 


 

お食事処 すずや食堂

愛知県犬山市栗栖古屋敷19-2

 

( 犬山 いぬやま 桃太郎神社 すずや 鈴屋 大衆食堂 麺類食堂 茶店 茶屋 花見 だんご でんがく )

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ハレの日 @岐阜県各務原市

2022年08月14日 | 岐阜県(岐阜)

我が家にとって記念日ラッシュのある月。自分の家族のみならず、父母の記念日、近い親戚連中の記念日が目白押し。そのうちのいくつかをまとめる口実で席を予約し、母と妻を連れて岐阜県各務原市の「ハレの日」へ。店が出来た頃からブックマークしていたが、やっと訪れる機会が出来た。店はいちょう通りを少し南に入ったところにあるテナントに入っている。窓が大きく洒落た意匠。店に入ると用意されてあった席に案内される。調理場の様子は見えないが中に主人、給仕は奥様かな。料理はコースでお願いしてあったので、まずは「壜ビール」(プレモル中瓶)をお願いする。こちら日本料理の店なので、コースも会席料理の流れに則って運ばれるようだ。

先付けは長芋豆腐とミズダコ。ここで早くも日本酒を追加。美濃「小坂酒造場」の「百春・金盃」をぬる燗で。碗物は枝豆の真薯。酒を呑んでいる時のしんじょって本当に旨い。向付はキハダマグロ、帆立、剣先烏賊の刺身。どの刺身も調子がいい。後から大きな岩牡蠣も出てきた。口いっぱいに磯の旨味が(妻は生牡蠣が苦手なのでさらに倍)。鉢肴は鰆(サワラ)、銀鱈など。そしてアマダイの天ぷら。酒のお代わりは地元各務原「林本店」の「百十郎」。キンキンに冷えた冷蔵酒で山廃とあったので「時代」という名前のやつだろうか。止め肴として稚鮎やもずくが出て、食事は土鍋の「とうもろこしご飯」と味噌汁。とうもろこしの甘味がしっかりと出て滅法旨いので、勧められるままついお代わりまでしてしまった。最後は胡麻プリンが出て了。たまたま他の客が少なかったこともあって皿出しも順調で、最後まで美味しくいただいた。また季節を変えて寄ってみよう。(勘定は¥28,000程/3人)

 

ハレの日

岐阜県各務原市那加前洞新町1-54

 

( 各務原 かかみがはら かがみはら はれのひ 和食 創作和食 会席料理 懐石料理 酒 日本酒 )

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頬頬 @岐阜県大垣市

2022年08月13日 | 岐阜県(西濃)

以前から車を停めようとしても店前の駐車場が中途半端な広さで、他の車が停まっていると停め辛いので見送ってばかりいた大垣市南頬町(みなみのかわちょう)の喫茶「頬頬(ほほ)」。やっと訪れる事が出来た。ずっと変わった名前だなァと思っていたが、もしかして町名から採られたのだろうか。大垣市民病院への入り口に店があって、そちらの表側の入口にはオレンジ色のテント庇とサンプル・ショー・ケースがある。幹線道路側の入口に自転車を停めて中に入ると、外観のかなり年季が入ってくたびれたイメージと違ってすっきりとしていて綺麗。窓も大きく店内は明るい。オレンジ色の椅子にシェードランプが下がるテーブル席に腰掛けた。高齢の主人夫婦の他に調理を担当する若い衆が居るのも意外。注文したのは「イタリアンスパゲッティ」。

まずはフレンチドレッシングのかかったミニ・サラダが供さた。しばらくして「イタリアンスパゲッティ」も鉄板に盛られて登場。一般的な鉄板のステーキ皿よりも面積が大きい。粉チーズ、タバスコ、それに紙ナプキン巻のフォークが用意されている。紙ナプキンを解き、早速フォークを入れていく。具材は赤ウインナー、ピーマン、玉ねぎ、マッシュルームと定番が揃い、玉子敷きタイプ。玉子液は縁から流し入れてあるようだ。スパゲッティをクルクルと巻き付け、熱々を口に放り込む。ケチャップ味で濃いめの味付け。これは玉子と絡めてちょうどいいくらい。火が通って固まってしまわないうちに軽くスパゲッティと玉子部分を混ぜておきいただく。途中で粉チーズは振ったが、タバスコはほとんど使わず平らげた。スパゲッティの他にも「焼きそば」「焼きうどん」「中華そば」などの麺類、「オムライス」などの洋食、そして各種定食も揃っている。次は何を頼もうかな。(勘定は¥570)

 

 


 

↓ 店のすぐ近くの禾森交差点にある「古坂商店」(建築詳細不明)。なかなか渋い年季の入った佇まいの店舗。老主人が居たけれど、煙草以外にも何か扱っているのかな。

 

 


 

 

喫茶・軽食 頬頬 (ほほ)

岐阜県大垣市南頬町4-84-1

 

( 大垣 おおがき ほほ 喫茶ほほ 喫茶・軽食ほほ 喫茶レストラン 喫茶レスト 洋食 定食 近代建築 )

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The Greatest Hits / Cheap Trick

2022年08月12日 | クラシック・ロック

The Greatest Hits / Cheap Trick (1991)

ふと気まぐれで聴いてみた「at Budokan」が思いのほか良く、スタジオ音源も聴いてみようと思うに至ったチープ・トリック(Cheap Trick)。オリジナル・アルバムを集める前に、ざっと俯瞰してみようとベスト盤を探すも色々あってよく分からない。その中で2枚組のヴォリュームのタイトルを中古で値打ちに見つけたので購入してみた。この「The Greatest Hits」、実は世界的には1枚物で、2CDのうち2枚目がそれに当たる内容。では1枚目はというと当時日本限定発売でヴォリュームをアップして付け足された物らしい。”彼らをビッグにしたのは私達日本人だ!”という自負のなせる業か。という訳で自分が買ったのももちろんライナー付きの日本盤。

前から知っている曲もいくつかあるが、全年代に渡って小気味のいいロックンロールが並ぶ。そうか、こういうバンドだったか。”日本人の女性ファンの黄色い声援を浴びるアイドル・バンド”的なイメージや、実際に映像で見るリック・ニールセン(Rick Nielsen)のコミカルな動きがずっと邪魔して遠回りしてしまったが、なるほどかっこいい(特に初期は)。80年代以降の曲でちょっとバラードっぽい曲で好みでないのに当たるのは他の大物バンドでも一緒。自分がそういう音が苦手なんだろう。メンバーは色々と変遷があった後に、現在はオリジナル・メンバーからドラムのバン・E・カルロス(Bun E. Carlos)が抜けているようだ。世知辛い世の中で、ロックの殿堂入りまで果たしたこんな高名なバンドでも、現在はメジャー・レーベルとの契約では無いとのこと。

ネットにて購入(¥580)

  • Label‏ : ‎ エピックレコードジャパン
  • ASIN ‏ : ‎ B00005G3V8
  • Disc ‏ : ‎ 2
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夫婦善哉 @大阪市中央区・難波

2022年08月12日 | 大阪府

以前に大阪の中心部を歩いた時にも入ろうか迷って結局見送っていた法善寺横丁の「夫婦善哉」へ。今にも雨が降りそうな蒸し暑い中を歩いて、狭い横丁を東側から「前も通ったなァ」と通り抜け、境内の西の入口にある店へ。前に来た時もこんな新しい雰囲気の店だったかしら。創業は明治16年(1883)。元々は「お福」という名の店だったそう。でも履歴を調べてみるとずっと一子相伝という訳でなく幾度も経営者は変わっており、現在はなんと「和食さと」の「サトフードサービス(株)」が経営しているようだ。なんでも創業者が昭和39年に暖簾を継いだのだとか。知らなかった。店内は小さなテーブル席が5つほどとこじんまり。壁には訪れた芸能人のサインや写真が所狭しと飾られている。女性店員が1人だけでやっているようだ。最初は当然「夫婦善哉」をお願いしようと思っていたが、蒸し暑い中を歩いて来たので「冷し善哉」に変更してお願いした。

熱いお茶の後に「冷し善哉」が運ばれた。こちらの定石通り2椀に同じ白玉の浮いた善哉が盛られている。”2杯のお椀に分けた方がたくさん入っているように見える”と考えたのだそう。そういえば閉店してしまった東京・根岸の老舗「笹乃雪」も名物の「あんかけ豆富」は同じものが2つ出てきたな。さっそく口にすると予想していたよりも甘さは控えめですっきりとした口当たり。旨い。べとつく汗をかいた不快指数の高い中、するっと口に冷たい善哉が入るのが気持ちいい。甘さは温かいものも同じなのかな。添えられた口直しの塩昆布もいい感じ。1椀の量は控えめなので、食べられるかなと心配した2杯も軽くお腹に収まった。(勘定は¥815)

 


 

↓ 今にも雨が落ちてきそうな「天龍山 法善寺」(寛永14年・1637・開基)の入口。境内の細い横丁の石畳の通りには飲食店がひしめきあう。

 


 

 

法善寺 夫婦善哉

大阪府大阪市中央区難波1-2-10

 

( 大阪 おおさか なんば ほうぜんじ ほうぜんじよこちょう めおとぜんざい ぜんざい 甘味 甘味処 織田作之助 )

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千成壽司 玉姓町支店 @岐阜県岐阜市

2022年08月11日 | 岐阜県(岐阜)

ある日の昼、岐阜市玉姓町の寿司屋「千成壽司・玉姓町支店」へ。もちろん長住町の本店の暖簾分けだろう。現代的なビルになった本店と違い、いかにも町の寿司屋という佇まい。なんだか懐かしい雰囲気。瓢箪が重なった意匠の看板がかっこいい。水が打ってある店先から暖簾をくぐる。カウンターの上に冷蔵ケースがあるのも最近の寿司屋ではあまり見なくなってきた。まだほぼ口開けの時間だったので先客はおらず、カウンター席に腰かけさせてもらった。年配の主人はまだ下準備で忙しそう。お茶を持ってきてくれたのは女将さんかな。まず酒をひや(常温)でお願いした。銘柄は「菊正宗」。徳利と猪口で供された。つまみは無しで昼の1人前「にぎり寿司」を握ってもらう。

たまり醤油のような濃さのある醤油と甘酢生姜が用意され、握りが始まる。握りは漬け台に3貫づつ置かれるようだ。最初は鮪、はまち、サーモン。タネが大きめなのはこの系統の特徴なのだろう。次は海老、イカ、玉子。玉子がデカい。海苔の帯がしてあるが、その上から食べ易いように半分に包丁が入れてある。もうこの辺りで熱いお茶を淹れてもらっている。最後はかっぱ巻きと鉄火巻きが2つづつ。うずら玉子を落とした濃いめの赤出汁も出てきた。これで1人前。1貫が大きいので量としては十分だろう。上に掛かった木札のタネが気になって「こはだ」を追加。古い店の定石通り2貫で供された。このこはだの長姉がなかなか良く、口当たりも酢締めの加減もいい感じ。旨い。次は”お好み”で光物や貝類を好きに頼んでみたいナ。(勘定は¥2,200程)

 

 

千成壽司 玉姓町支店

岐阜県岐阜市玉姓町1-21

 

( 岐阜 ぎふ ぎょくせいちょう せんなりずし 千成寿司 せんなりずしぎょくせいちょうしてん 寿し 鮨 握り寿司 小肌 )

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入船 @岐阜県関市(8)

2022年08月10日 | 岐阜県(中濃・老舗)

表からではなかなか分からない店内の渋い佇まいが気に入って、機会があれば通っている岐阜県関市の麺類食堂「入船」。店の横の駐車場に車を停めて暖簾をくぐると珍しく先客無し。土間の長テーブルには透明な仕切りが用意され、消毒液もあちらこちらに置いてのコロナ対策。壁に貼った告知を見ると日曜も休むようになったようで日・月・木曜休日ということになる。奥の壁に貼ってあった年季が入って色褪せた品書きも取り外されて、ラミネートされた品書きだけになった。女将さんにそこには載っていない「冷し中華」が出来るか尋ねると「今なら混んでないから出来るよ。」とのこと。「冷し中華」と書いた紙短冊も「本当はあるんやよ。」と見せてくれたが、忙しいと受けられないので貼らないのだとか(笑)。居間のテレビに映し出されたMLB中継の大谷翔平のピッチングを観ながら出来上がりを待つ。作り置きはしないとのことで玉子を溶くところから始めているので、そりゃ他の注文で忙しいと出来ないわな。

しばらくして「お待たせしました。」と龍の絵柄が入った皿に盛られた「冷し中華」が完成。具材は錦糸玉子、きゅうり、チャーシューが3枚、プチトマトが2個分。そしてマヨネーズと辛子が添えられている。つゆの色は濃いが酸味は抑えられていてマイルド。中華そばでも使われるストレート麺が適度に冷やされていて、つゆが絡んで旨い。濃くない味付けのチャーシューがまたいい感じ。箸の先に辛子をつけたり、普段はあまり使わないマヨネーズをつけたりしてあっという間に平らげた。お代わりしたいぐらい。

普段は食べたらさっと店を出るが、後客も来ず自分1人だけだったので女将さん(実は話好き)と久しぶりに世間話。何でも2、3日前に、もう歳だし、えらい(=疲れる)ので店を畳もうとしたら、息子さんや娘さんに反対されて喧嘩したのだとか(笑)。「(あの子らは)何にも手伝わへんのに、ボケるからダメやって…(怒)。」と女将さん。「大変なんやよ。」と。そりゃそうだ。全部自分1人だもの。出汁だって京都の乾物屋から取り寄せる鰹節と鯖節を2時間かけて引くらしい。今は削ってもらっているが以前は自分で削っていたそう。ついでに店内に掛かる古い看板(写真下2枚目)のことを尋ねると、祖父が創業した当時からの物だから100年以上経っているそうだ。天井は以前は平板だったものを女将さんが網代(あじろ)天井に替えてもらったのだとか。店の端に残るブース(写真下4枚目)は、現在は昔の岡持ちとかの物置になっているが、以前はもっと道路側に出っ張っていて麺打ち場だったのだそう。でも広さは変わっていないそうなので「あんな狭いとこで打っとったんやね。」と。普段は店内で写真は撮らないが、たった2、3日前に辞める決意をしたというのだから、お願いして写真も撮らせてもらった。もっと続けてよ、なんて無責任なことは言えないが、どうか1日でも長くお店を開けていただけますように。(勘定は¥650)

以前の記事はこちら (1)(2)(3)(4)(5)(6)(7

この後の記事はこちら (9)(10

 

 

 

入船

岐阜県関市大平町2-6

 

( 関 せき たいへいちょう 太平町 いりふね 麺類食堂 大衆食堂 中華そば 冷やし中華 冷し中華 ひやしちゅうか )

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The Great Deceiver (Live 1973 - 1974) / King Crimson

2022年08月09日 | プログレッシヴ・ロック

 

The Great Deceiver (Live 1973 - 1974)  / King Crimson (1992)

キング・クリムゾン(King Crimson)どハマりの昨今。次々と彼らの作品を買い込んでいるがが、次に購入したのは1973年と1974年のライヴを集めた4枚組ボックス・セット「The Great Deceiver」。なんでもフリップ翁(Robert Fripp)によると、クリムゾンのブートレグ(海賊盤)の大半がこの時期のライヴ音源に集中しているそう。もちろんブートレグ潰しの先鋒フリップ翁がそれをそのままにしておく訳がない。ブートレグに対抗して、状態の良い音源を選んでひとまとめにして発売したということらしい。ここに収録されている音源の中にもブートレグを基にした音源があるのだそう。もちろんオフィシャル発売に合わせて音質は改善されている。

この時期のメンバーは、ロバート・フリップ、デイヴィッド・クロス(David Cross)、ジョン・ウェットン(John Wetton)、ビル・ブルーフォード(Bill Bruford)の4人。オリジナル・アルバムでいうと「Larks' Tongues in Aspic(邦題:太陽と戦慄」「Starless and Bible Black(邦題:暗黒の世界)」の頃。うーん、なるほど評判の時期のライヴとあって全編緊張感の高い演奏で人気が出るのも分かるかっこよさ。中でもジョン・ウェットンのベースは歪みまくりのぶっとい音出しでかなり目立っている。でもハードな音とソフトな音の緩急もあって聴き飽きない。レッテル上のジャンルは違えど、これらの演奏を聴いて自分がすぐに頭に浮かんだのが同時期のマイルス・デイヴィス(Miles Davis)の演奏。かなり近いベクトルでライヴ演奏を繰り広げていたんじゃないかな。当人達はどう感じていたんだろう。ライヴらしいインターバルもあるものの、流石に4枚のライヴ音源を聴き通すとグッタリ(笑)。今は以前に使っていた大型スピーカーは稼働させていないのでチンケなオーディオでしか聴けないが、もっと低音をしっかりと再現出来るちゃんとしたオーディオで聴いてみたくなってきた。

amazonにて購入(¥980)

  • Label ‏ : ‎ Imports
  • ASIN ‏ : ‎ B00004UDT2
  • Disc ‏ : ‎ 4
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