コロナ禍、医師と行政の現場との連携がとても重要です。
医師である高山義浩先生が書かれたもの、
医師としての専門家と行政との連携のありかたについて。
とても重要な内容が、詳細に書かれています。
私自身を振り返り、大いに反省すべき点が多々あります。
以下、➨で反省を述べます。
***********高山義浩先生(下線は、私が引きました。➨小坂の一言)***********************
ある学会のシンポジウムにて、新興感染症対策における地方行政との連携について話すよう求められました。抄録を作成するにあたって、ざっくり思うところを箇条書きにすると、ほどよく15の心得となりました。
抄録は800文字なので、3分の1ぐらいに減らさなければなりません。ただ、せっかく書いたので・・・ こちらで紹介させていただきます。まあ、私も失敗ばかりで、講釈を垂れるような立場には決してないのですが、行政と連携される医療者の皆様には、いくらか参考となりましたら幸いです。
■ 新興感染症対策
■ 自治体行政と連携する医療者に求められる15の心得
1)現場は多様である。自分の現場感覚がすべてと僻見せず、知っている気になって行政担当者に押しつけない。専門家であれども、専門性が現場を総攬することはない。自分が限られた殻の中にいることを理解する。
➨ 無知の知。なんでも、そこからスタート!
2)ホットな現場の取り組みを行政に提案するとき、行政はクールなシステムへと転換しなければならないことを理解する。行政には普遍性が求められ、「誰かに特別に〇〇する」はできない。一方的に現場から主張するのではなく、現場と行政とでアイデアを持ち寄り、一緒に制度を作っていくのが望ましい。
➨医師としては、クールなシステムが慣れてない、反省。
3)行政に何かを提案するのであれば、関連する法律には目を通しておく。理解できなくとも構成は把握しておき、自分は分かってないことを認識する。そして、大事なポイントは行政担当者に質問する。法律を理解しないまま、「どうして〇〇しないんだ」と担当者を糾弾しない。
➨法律は、行政との共通言語。
4)自分が困っていることは、全国でも困っている人がいるはず。いないのであれば、困っているのは自分の問題かもしれない。困っていることを担当者に訴えるだけでなく、他の地域における取り組み事例を自分のネットワークで確認する。地域医療に関しては、役所経由より現場のネットワークの方が迅速かつ正確なことが多い。
➨他自治体の成功事例を知る。
5)全国で困っていることは、すでに中央(厚労省など)でも認識されていることが多い。規制の撤廃や支援が検討されている可能性があるので、自分の有する非公式ライン(医師会の担当役員、政府会議の委員、名刺交換した医系技官など)から確認してみる。新興感染症の対策は刻々と変わるので、すでに解決のための事務連絡が出ていることも珍しくない。自治体の担当者でも、最新の事務連絡までは読めてないことが多い。
➨国からの「事務連絡」、要参照!
6)行政が提案してくる解決策について、自分のアイデアと異なるからと、現場を知らないからだと嘲笑しない。多くの現場や専門家との調整の末に取りまとめられた試案であることも多い。自分の現場で使いやすくなるよう、どこまでカスタマイズが許されるかを確認する。あるいは、カスタマイズできるように提案する。
➨カスタマイズで、クールなシステムを住民側が使いやすいようにしていこう!
7)施策の試案が取りまとめられた段階で、担当者から相談される関係を作っておく。要求や批判ばかりする専門家は敬遠され、施策が決まってから知らされ、さらに批判するという悪循環に陥っていく。行政担当者から、相談して良かったと思われる専門家であるよう心がける。
➨関係、大事!!!
8)行政担当者は、過去の成功体験にこだわる傾向がある。しかし、新興感染症対策は、変異株の出現や新たな技術開発(ワクチンなど)で刻々と変化する。こうした変化を真っ先に肌感覚で知れるのは、臨床現場に他ならない。この感覚をデータで明示するなどして、臨機応変に施策を組み替えるようアドバイスする。
➨ 肌感覚を、データで裏付けして、提示すること。
9)新たな施策を提案するとき、期待される成果しか言わない専門家は信頼されない。どのような施策にも副作用がある。それを見抜くのが現場の専門性である。生じうる副作用を明確に説明したうえで、そのリスクを誰が管理し、どのように負担するのかを事前に決定しておく。
➨ なんでも、もろ刃の刃。長所もあれば、短所もある。両方の提示を。
10)予算や人員の大規模投入が求められる施策については、経済、文化、教育、倫理などとの優先順位に基づき決定される。感染対策のみを前面に出しても、協力が得られにくいことを理解する。他分野との統合的戦略のためには、経済や文化までもをサポートするようなデザインをめざす。
➨ 学際的に、異分野融合で。それには、幅広い、ネットワークが大事。どの分野でも気軽に聞ける友達を持つこと。
11)専門家に限らず、人間は、利用可能な資源をはるかに超える要求をするという憂鬱な特性を有する。よって、限りある資源の分配をするために行政があることを理解する。その資源投入による成果として、十分な効果と効率が期待されるかを行政は重視する。一般に、ハイリスク・ハイリターンの施策は受け入れられない。
➨ クールなシステムにおいては、限りある資源を有効活用するしかない。夢描いた100点狙いより、まずは、20点、30点から。
12)施策が前進しない障害要因は、ときに地域の有力な人物や事業者などにある。行政担当者が説得できないでおり、施策が停止していることも少なくない。このようなときは、行政担当者を叱責しても意味がない。専門家から説明することで障害が取り除かれることも多いので、必要に応じて対話の場に出席して支援する。
➨ なんで、うまくいかないの。角度を変えて眺めてみると、見えてくる風景。その風景が見えたら、急所も見えてくる。
13)関係者(とくに利害関係者)の意見を聞くことは、科学的な真実を述べるよりも、理解を深める効果がある。非科学的な意見を述べる関係者を排除することは、さらなる対立や疑念を拡げることになりかねない。専門家からみて正しくない意見も公平に傾聴することが、政策プロセスの正当性を高めることを理解する。
➨ 公平な傾聴、そこに気づきも多い。
14)専門家を主体とした施策立案では、ソーシャル・マーケティングで行われるような住民志向の検討がないがしろにされがちである。しかし、これでは行動変容のための効果的なプログラムに到達できない。質的および量的の両面から住民意識を把握することは、専門家が介在すればするほど重要になる。
➨ 住民意識の把握、ソーシャル・マーケティング、私も学ばねば…
15)公務員も人間である。批判ばかりでは萎縮していく。施策の良い面を見出し、肯定的な評価もしっかりフィードバックする。行政担当者がチャレンジを恐れない雰囲気とは、現場との一体感から醸成される。チャレンジには失敗がつきもの、そのとき行政担当者だけが孤立すると感じさせないこと。
➨ はしごははずされる覚悟はいつもしていても、はずすようなひとにはならない。
以上