「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

『中央区こども計画』へのパブリックコメント

2025-01-08 00:09:54 | 意見書提出

福祉保健部子育て支援課計画推進等担当 御中

 
お世話様になり、ありがとうございます。
子どもの意見も聴取しながらのこども計画中間のまとめの作成をお疲れ様でございました。
子ども子育て会議も、できる限り傍聴させていただきましたが、丁寧な議論がなされており、敬服いたします。

私のほうからも、こども計画へのパブリックコメントを提出いたします。
小児科医として、保護者の皆様から伺った意見をまとめました。

よろしくご査収のほど、お願い申し上げます。重要部分に下線を引きました。



        記



第1、総論



1、表紙に計画期間も明記、表紙

 細かいことですが、表紙の計画名の下に、計画期間の明記今回の場合、「計画期間令和7〜令和11(2025〜2029)年」もお願いします。

 理由は、計画期間も、非常に重要な情報であり、一目でわかるため。


2、基本理念、61頁

 「子どもも育む人も誰もが笑顔輝き、自分らしく成長できるまち 中央区」

 子ども子育て会議でかなり議論されましたが、大変よい理念であると思います。
 子育てをしてようが、してまいが、すべてのひとが、本計画の対象であることを意味しています。
 ぜひ、理念にあるように、子どもを育むひとには、さらに、その子育てへの思いが深まるように、子どもを育んでいないひとにも、子育てを見守る思いが深まるように、それぞれの取り組みがなされることをお願いします。
 計画の中に、子ども育んでいない人に向けた施策の運用がなされることを期待します



3、そもそも、児童相談所設置をどうするか?

 平成28年の児童福祉法改正で、特別区でも児童相談所を設置できるようになり、現在9区、令和9年には、12区が独自の児童相談所をもつこととなります。昨年12月に開催された日本子ども虐待防止学会第30回学術集会かがわ大会においても、「特別区・中核市新設の児童相談所が直面する課題と展望」が、熱く議論されていました。
 では、本区はどうするのか。
 しっかりと議論が行われるようにお願いします
 児童相談所設置も目標に、児童福祉の人材育成を行ってこられていることは存じ上げており、設置に向けた動きが生まれることを期待いたします。
 児童相談所の設置により、虐待対応が、包括的にできる大きなメリットがあります。
 


4、「こども家庭センター」設置の記載を「中央区の動向」内で明確に 3頁

 今回の計画では、大きな変革がなされることになります。

 法律では、努力義務である「こども家庭センター」を中央区も設置を、令和7(2025)年度、4月に行うこととなります(87頁)。

 言わずとも、この変革は、ものすごく大きなことです。

 母子保健と児童福祉の融合、すなわち、福祉分野の「子ども家庭支援センター」とポピュレーションアピローチをメインとしている母子保健をそれぞれの専門性を活かし、かつ、一体的に運用できることとなります。保健所と福祉保健部の組織の壁がなくなります。このことにより、計画策定の視点(62頁)でも謳われている「誰一人取り残されることのない、切れ目ない包括的支援」が、より機動的にできるものと、大変期待をしています。

 この整備に向け、数年前から先を見越した、中央区保健所等複合施設再編整備及びきらら中央の移転には、敬意を表します。

 この大きな変革について、【中央区における取組】(3頁)において、「子ども家庭支援センター「きらら中央」を中央区保健所等複合施設4階に移転し、子どもと子育て家庭に対する総合的な相談・支援体制の強化や育ちの相談・サポート機能の充実を図るなど」からは、記載が弱いと思います。

 保健所で行われてきた母子保健と子ども家庭センターで行われてきた児童福祉の機能を一体的に運用する「こども家庭センター」を設置する組織再編を令和7(2025)年4月に行う旨がわかる記載の充実をお願いします。

 

5、中間の見直しの令和9(2027)年度実施の明確化 6頁

 「子ども・若者を取り巻く社会状況の変化などにより、必要に応じて、計画期間中に見直しを行う場合があります。」とありますが、原則は、中間の見直しを行うとすべきと考えます。よって、表中にも、中間となる令和9(2027)年度枠に、「⚫️中間の見直し」の記載をお願いします

 理由として、ICTの進展、晴海のまちびらきはじめ区内外の社会状況の変化が大きいことは、言わずと知れたことであり、合わせて、「子ども家庭支援センター」を、2025年度に「こども家庭センター」とするという大きな変革(先述)を今回したのであるから、その取り組みの状況を5年待たずに評価すべきであると考えるからです。





6、パブリックコメント、9頁

 子ども向けの計画簡易版を作成して、子どもからのパブリックコメントを実施されました。中央区の計画策定における初の取り組みだと考えます。
 ぜひ、子どもからどのようなパブリックコメントがあったのか、その分析の記述もお願いします
 もし、子どもからのパブリックコメントが少なかった場合は、なぜ、少なかったのか、どのように集めればよいか、次に活かせる検討も、合わせてお願いします。



7、「子どもアドボカシー」の概念、71頁
 子どもの権利条約の解説はなされています。
 そこでも述べられるように、子どもの意見表明支援、子どもの参加が重要な権利であり、それを実践することは、子どもアドボカシーという用語が普通に用いられています。
 子どもの意見表明等支援員を、アドボケイトと表現されたりもします。
 子どもの権利条約記載部分に、子どもアドボカシーの概念も入れることや、子どもの意見表明支援において、子どもアドボカシーを進める視点の記載の充実を、子どもアドボカシーの用語も用いて記載されることをお願いします




8、人材育成の記載の充実、183頁

 子どもの命を預かる計画であり、そのPDCAサイクルを適切にまわすためには、その計画を担う人材育成が欠かせません。昨年12月に開催された日本子ども虐待防止学会第30回学術集会かがわ大会においても、「特別区での児童福祉の人材育成」が、議論されていました。
 人材育成関連で、「こども家庭センター」をおく場合、「統括支援員」が必要になります。「こども家庭ソーシャルワーカー」の研修も始まります。
 庁内が、人材育成に取り組まれているのは存じ上げていますが、計画の推進体制において、「体制づくり」と述べられて終わっています。人材育成について、記載を充実させることをお願いします

 


9、教育委員会、保健所、福祉保険部との有機的な横の連携、東京都、中央区、警察など多機関との有機的な連携、183頁
 本計画を実施するにあたっては、各機関との連携は、欠かせません。
 推進体制の「体制づくり」において、連携することについての記載の充実をお願いします。
 


10、巻末の用語解説

 用語解説を巻末に入れることをお願いします。

 解説する用語の例;

 ウェルビーイング

 こども家庭センター

 地域子ども・子育て支援事業

 育ちのサポートシステム
 ヤングケアラー

 など




第2、各論



1、一時預かり保育、108頁

 一時保育の利用料金一時間800円を値下げすることをお願いします。他区では、500円の安い価格で利用できています。

 令和8年度にこども誰でも通園制度の実施されることも期待しますが、一時預かり保育の実施園を拡大し、利用をより積極的に促していくことをお願いします。



2、子どもショートステイ、109頁

 予防対策を充実させる必要があります。
 ショートステイは有用であり、その利用理由に「育児疲れ」を追加し対象を広げることをお願いします。杉並区は、理由を問うことなく、受け入れを実施しています。

 また、区でもショートステイを独自で実施し、利用枠を増加させることをお願いします。



3、ファミリーサポートの強化、または民間委託の訪問支援を実施。108頁

 親の通院・健診へ一緒についていくなどサービスの拡大をお願いします。

 ファミリーサポートの担い手不足に対しては、ペイをあげることやシルバー人材センターの利用もできると考えます。社協のファミリーサポートと同時に、民間委託によるファミリーサポートの導入も検討できるかも知れません。


4、緊急一時保育援助の対象拡大、110頁

 未就学児だけでなく、就学児も利用できないか、枠の拡大の検討をお願いします。




5、育ちのサポートシステムの3歳前の支援の充実、119頁
 乳幼児健診での、ゆりのきの連携発達相談はとても有効と思うが、3才健診前も実施しているでしょうか。

 早期発見・介入の強化の点からは、3歳前の対応の強化をお願いします。一歳半でも、神経発達症は診断できるのであって、その診断名をつけるつけないは別にしても、その子の育ちに寄り添っていく必要があります。


6、児童館・保育園・幼稚園等の巡回相談の回数・人員増加、119頁

 児童館の巡回相談もとても大事であると思います。はるみらいなどでの実施も含め、人員を厚くし、児童館など巡回相談も積極的に展開されることをお願いします。

 今回、母子保健との融合で、「こども家庭センター」を設置することからすると、これからは、母子保健の保健師も巡回相談に加わるなどで回数・人員増加ができるのではないかと考えます。


7、重心児・医療的ケア児が利用できる児童デイ・放課後デイ・日中一時支援施設、 119頁障害児支援事業

 圧倒的に支援施設が足りないため、障害児福祉計画と連携させながら、その増加をお願いします。
 知的・発達・肢体不自由児が利用できる放課後デイの数を増やすこともお願いします。


8、医療的ケア児・重心児が利用できる在宅レスパイトの時間数増加、119頁障害児支援事業
 中央区は、上限96時間であり、上限を増やすことを、障害児福祉計画と連携させながら、お願いします。江東区は年間144時間実施。


 



9、医療的ケアの看護師、119頁障害児支援事業
 医療的ケアを希望する保育園・幼稚園・学校・学童保育等に看護師を派遣する体制の構築をお願いします。

 明石町保育園には、医療的ケア児の受け入れ施設の整備が進みましたが、どの園での受け入れも、たとえば、兄弟児と同じ保育園の希望があるなど、考えられます。

 それに対応できるようにするためには、看護師を派遣できる体制の整備も重要になってくると思います。

 派遣できるようになると、今後、医療的ケア児が、地域の学校に通う場合にも対応ができるようになります。


10、民間の児童デイ、119頁障害児支援事業
 民間の児童デイの数が増えているが、ゆりのきとの連携が就学健診・就学後フォローのために必要と考えます。

 その連携が、きちんとできるように、お願いします。

 ゆりのきがハブとなって、学校、地域、民間をつなげるようにお願いします。

 

11、学童保育の障害児枠の確保・延長利用の検討、119頁障害児支援事業

 学童保育の障害児枠があることを周知すること。
 放課後デイが一杯であることから、学童保育で預けられるように、できれば、障がいのある中学生が学童のような場を利用できるように、お願いします。


12、不登校児対策を強化、120頁適応教室

 適応教室や通室できる場所の数を増やすことをお願いします。

 希望者には訪問支援を実施することもお願いします。生徒とのコミュニケーション・学力・体力促進、保護者支援などに有効です。



13、子どもの学習・生活支援事業、129頁

学習会の対象を小学1-3年生への拡大もお願いします。



14、ひとり親への優先利用、130頁

 保育園、学童保育、病児保育、ファミリーサポート、訪問支援事業等を優先利用できるようにお願いします。

 病児保育を利用できないために、離職につながることが今でも起きています。


15、ひとり親世帯住宅、130頁 

 区営住宅の数を増やし、優先利用できるようにすること、増やせないなら、家賃補助をお願いします。

 古民家、空き家の再利用など含め、ひとり親世帯住宅を設置するなど、さらなる拡大をお願いします。


16、企業への働きかけ、130頁
 ひとり親・貧困に理解のある就職先を開拓・確保していくことをお願いします。


17、住居支援を、若者の支援での記載の追加、方向性4 基本施策2 138頁〜

 養護施設出身者、ケアリーバーの住居支援の記載もお願いします。

 行き場がないことの問題が生じています。



18、「一時保護ガイドライン」に沿った一時保護施設の環境改善への区の対応、121頁あたり

 一時保護所から学校に通学することが可能なことは、「一時保護ガイドライン」でも記載されています。
 一時保護施設から、登校やオンライン授業実施の依頼が在籍校に来た場合、教育委員会は、その実現に向け柔軟な対応をとるようにお願いします


19、意見表明等支援事業の充実、121頁あたり

 意見表明等支援員の養成の機会があるなら、積極的に区民が参加するように周知をお願いします。
 また、子どもの意見表明等支援は、子どもの権利を守る上で基本であり、社会的養護にある子どもだけでなくすべての子どもにとって支援が必要です。

 その点からは、子育て支援を考える方々への講座として、子どもアドボカシーや子どもの意見表明等支援についての内容の実施を、積極的にお願いします



20、病児・病後児保育事業の利用者の条件、109頁
 病児・病後児保育の利用者の条件には、就労条件はなく、親が働いていようがいまいが、利用できると、私は、2001年に中央区と同事業を構築したときに設定した覚えがあります。
 現在、同事業の利用にあたり保護者の就労条件が付けられたのでしょうか。


21、「学校施設の量の見込みと確保方策」、第5章156頁以降

 現在月島地域で建設中のタワマン4棟が完成するとさらに4595戸分の人口が増加します。幼稚園や保育園の量の見込みと確保方策だけでなく、小学校、中学校の教室のほうも、地域を分けて、量の見込みと確保方策をすべきではないかと考えます。

22、幼児期の教育・保育施設における提供区域、158頁
 特に保育園では、人口急増である月島地域で不足することが考えられるため、中央区全域で見るのではなく、3区域で分析すべきと考えます。



23、KPI 185ー186頁

 方向性5に、KPIとして、「地域住民による子ども・子育て活動に将来的に携わってもよいと思う保護者の割合」(子育て支援に関するニーズ調査)とあります。

 携わってもよいと思う保護者が6−7割も現状でおられることに、中央区の区民が、子育て支援に高い意識を持たれていることを確認できます。

 KPIとしては、さらに一歩進めて、「地域住民による子ども・子育て活動に実際携われている保護者の割合」としてはどうでしょうか

 理由としては、「携わってもよいと思う」こともとても大切なのだけれど、思うことと「実際に携わる」行動に移すことには、大きな差異があります。その実際に行動する人が増えることこそ、見える形で、地域・社会全体で子育てを育むことにつながります。思うだけでなく、行動できる人をいかに増やすか、区が知恵を絞るべきところです。


24、KPIに、被虐待相談件数の減少
 中央区における被虐待件数が、コロナ前から200件以上心理的虐待を中心に増加し2023年度424件となっています。
 予防が行き渡り、結果、この数を減らすことをKPIに入れることはできないでしょうか。


以上

 
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