岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

『午前4時にパリの夜は明ける』 映画のタイトルです。

2023-05-28 07:40:19 | 映画・DVD 

5月から6月、観たい映画が次々と岡山にやってくる。

週2回くらいのペースで観ないと見逃してしまう。

で、今日(5月26日時点)から始まる『午前4時にパリの夜は明ける』を観に出かけました。

13人くらいの観客だった。女性がほとんど。

女性の中で情報が伝わっているのだろうか。私は何も知らなかった。

なにか「ほんわか」とした映画を観たかったのです。殺伐とした映画は今の気分ではないので。

実は『聖地には蜘蛛が巣を張る』も気になっていたのだけどクライムサスペンスということなので後ほどにしました。

では、『午前4時にパリの夜は明ける』というタイトルの意味が分からない映画ついて書いてみます。

時は1980年代です。題名通りパリです。

当時のパリを再現した映像と、当時の市民が撮っておいた映像を使っています。

映像の違いは観ていてすぐわかるのだけど、当時の映像はとっても懐かしかった。

あんな街角であんな車だったんだ、当時の映像を見ているだけでほのぼのとしました。

ストーリーです。ネットより

1981年5月10日、ミッテラン大統領が誕生し、パリの街は喜びと変革への希望に沸いていた。84年、長年専業主婦だったエリザベート(シャルロット・ゲンズブール)は、突然夫に去られ、2人の子どもを養うためにラジオ局で働き始める。深夜番組のリスナーからかかってきた電話を受けて、パーソナリティーのヴァンダ(エマニュエル・ベアール)に繋ぐのが、彼女の業務だ。  ある日、タルラ(ノエ・アビタ)という少女がゲストとしてラジオに出演。帰る家がない彼女に、エリザベートが自宅の小部屋を提供すると、息子のマチアス(キト・レイヨン=リシュテル)とタルラは互いに惹かれ合うように。

突然不倫相手の元に去った夫、後に残ったのは娘と息子と3人。仕事は結婚前に少しだけしか経験がない専業主婦エリザベート。

金銭的な援助ができる親族もいない、就活もうまくいかず心折れそうになりながらも、たばことワインは手放せない(当時はあんなにタバコ吸ってたんだ)。

それに親しい人とはいつもハグしてたりほっぺを合わしたりしている(コロナ下の非接触は大変だった)。

子育てや経済的なことに悩んでいたエリザベートは深夜のラジオ番組に思いを伝えてみたら、パーソナリティに一度スタジオに来ないかと誘われ、そのまま番組に寄せられる電話の引継ぎの仕事につくことができた。

当時は電話での相談や会話を楽しむスタイルだった。

日本にも「夜間飛行」番組があったけど、この映画でも電話相手を「乗客」と呼んでいる。

この映画の日本タイトルは『午前4時にパリの夜は明ける』と意味不明だけど、原題は『夜の乗客』(仏語、読めていない)。これなら映画の内容にぴったりだ。

この1980年代の街の雰囲気、人々のやさしさがとても心地よくて映画館の暗い空間が温かさに包まれたよう。

しかしミカエル・アース監督の1970年代生まれ、この映画の登場人物の誰よりも年下です。(エリザベートの末っ子という年齢)

彼にとっての1980年代は始まったばかりの少年時代だった。その時代を大切に描いたのですね。

ミカエル・アース監督のインタビュー記事です。ネットから

「僕の映画作りは常に「場所」と「都市」から始まり、それらがインスピレーションの原動力になって物語を紡いでいきます。サン=テグジュペリが『人の根っ子は子ども時代にある。それは祖国のようなもの』と言ったように、人格は子ども時代に形成されると思っています。僕はパリの西の郊外で育ったので、パリ市内に行くときは、いつもボーグルネル地区を通っていました。あの界隈は高層マンションの合間に商業施設や公園、広場があって自然環境に恵まれています。『学生街』や『トレンド地区』『ファミリー地区』などと、一括りにはできない地区なのです。そんなところに魅力を感じます。今回の作品では、まず場所への想いと記憶を結晶させて、少しメランコリックな観点から当時の感覚や色、イメージを再構築しようと試みました」

とてもいいですね。

映像を見て思うことは、この時代からいま日本で課題になっている移民の問題、人々の多様性、女性の自立(経済社会的な)、女性の政治参加の高まりが見られているということです。深堀をしないのがこの映画ですが。

日本が遅れているのは、政治だと思います。政治の不作為(抵抗)が今の日本の停滞を招いているように思います。

そうそう、自宅に住ませるようになった18歳のホームレスのタルラは薬物依存症で苦しんでいる。これも21世紀の大きな課題。

最後に、エリザベートは愛し合っている男性と住むため家族と住処を整理し出ていく。

もう子供たちも大丈夫。

みんな、育って家を出て行くというお話でした。

 

長文、お読みいただきありがとうございました。

ウクライナに平和を!

 



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