北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

北海道を花で元気に、GIH

2005-05-31 23:49:07 | Weblog
 5月も今日で終わりで、札幌へ戻ってから早2ヶ月。そろそろ今年度の仕事が本格的に始動し始めてきたようです。忙しくなるぞ~。

 さて、ただいま「掛川奮闘記」から「北の心の開拓記」ブログへの移行推進運動中です。こちらへの移行をよろしくお願いします。

 
 さて今日は、

■室蘭工大を訪ねる
■ガーデン・アイランド北海道 の2本です。

【室蘭工大を訪ねる】
 我が課では今年と来年に掛けて「雪氷冷熱輸送システム検討調査」というプロジェクトを動かそうとしている。

 このプロジェクトの基本的な問題意識は、北海道と首都圏とのいわゆる「片荷輸送」の問題である。

 「片荷輸送」というのは、首都圏からは荷物を満載にしたトラックが主に船で北海道まで様々な物資を運んでくるのだが、来るときはよいけれど北海道を離れるときに首都圏に持って行く荷物がしばしばなくて、帰りの船賃を払いながら実はトラックはからっぽということである。

 北海道の場合、夏から秋にかけて農作物が実った頃には空車率も次第に少なくはなるものの、なくなってしまうわけではなく、帰りも安いながら運賃を払わざるを得ないために物流のコストが上がってしまう、という物流を考える上での不利がありのである。

 それには、首都圏に帰るときになにか首都圏がほしがるような荷物を積めばよい、ということで北海道では簡単に作ることができる氷に目をつけ、この冷たさを夏の冷房に使うことで、片荷輸送解消に貢献したいと考えたのである。

 もちろん事はそれほど簡単ではない。首都圏では単独のビルだけでなく地域が一体となって冷暖房をするシステムがすでに確立していて、夏は夜の深夜電力を利用して氷を作り冷熱を蓄え、昼にそれで電気を使わずに冷房をするエコアイスというシステムが広がっている。

 ここにそのまま氷を入れれば良さそうなものだが、敵はコストにあり。

 とにかく、深夜電力でできる氷の値段に匹敵するくらいの低コストで北海道の氷を保存して運搬しようと言うのだから、簡単な構想でできるものではない。

 また同時に、机の上の計算で「できない!」と決めつけるのも早計過ぎるというわけで、二カ年の実証実験付きのプロジェクトが認められたというわけである。

    *   *   *   * 

 このプロジェクトは委員会形式でガンガン検討を進めて行くこととしているのだが、今日はその委員に室蘭工大の先生にご就任いただこうとお願いに来たのである。

 実は室工大には私と高校、大学が同期のK君が助教授として現在勤務をしているのである。

 K君はもともと国家公務員になったのだが公務員としても主に研究畑を歩むようになり、6年ほど前からこちらで迎えられ、今では大学の助教授になってしまったのである。 

 彼に会うのは約20年ぶりくらいかも知れないが、約束の先生とのアポの前の時間に控え室を訪ねた。

 一目見た瞬間に青春が甦る思いがするが、K君は昔の面影そのままである。

 挨拶もそこそこに、お互いの近況などを話し合う。

 「今は大学も独立行政法人になってしまったけれど、公務員としての身分はどうなったんだい?」
 「ああ、昔なら『文部省に出向を命ずる』で済んだけど、今はそれは難しくなったなあ」

 「それじゃもう公務員に戻ろうという気もないのかい?」
 「僕の場合は早くから研究職という立場が長かったからなあ。それに君たちだってあと十年もすれば、この先どうやって第二の人生で食べて行こうかと悩むでしょ。僕はそれが10年早くに選択のチャンスがあったと言うことかな。」
 「なるほどね」
 
 今でもまだ大学の先生は定年が65歳ということになっているようだが、世の中の動きは速いし、成果主義が勢力を増している。

 どこの世界にも楽な安定などもうないのかも知れないけれど、新しいチャンスを逃さなかったK君の生き方には共感できるものがある。

 K君、お互いにがんばろう。

    *   *   *   * 

 そうそう、目的の先生とも無事に会えて、プロジェクトの説明をして委員の就任もご了解いただくことができた。

 北海道の氷の研究家大集合である。


【ガーデン・アイランド北海道2008】
 夜には「ガーデンアイランド北海道2008(通称GIH)」の会合に参加した。

 GIHとは、2008年を一つの目標として花と緑で北海道を元気にしようと言う有志の集いである。

 大学の先生から、園芸家、造園建設業者、お役人、コンサルタント、芸術家、市議会議員まで集まっている人のバックグラウンドは様々である。

 この会合、もともとは淡路花博のような大きな花の博覧会をしたい、というところに主眼をおいていたのだが、今さらそんなに大きな夢も非現実的だということから、現実的で実現可能なことを積み重ねようと言うことに方向転換をしたのだそうだ。

 そこで、一つの会場でドカンと華々しく行うのではなく、北海道中のどこでも花と緑で周りの人たちを元気にしようと言う道民運動に展開しようと言うことになった。

 ここでのガーデンという単語は、もう庭だけではなく、農村風景から大自然のお花畑までも含めた大きな緑の空間を意味している、ある意味壮大な計画でもあるのだ。

 まずはホームページの解説あたりから情報発信や情報収集に努め、平行して様々な同志を募ることから始めようというものだが、2008年というのもスケジュールを組んでみるともうすぐ目の前に迫っているようである。

 今日は約40人ほどの人たちが集まって意見交換をしたが面白かったのは某市の市議会議員のNさんの発言。

 「北海道がこれだけ大きな可能性のある土地を有していながら、市街地の住宅地はやはり70~80坪しかない。これではガーデニングなどはとうてい無理で、植物に囲まれて美しい住宅地などはできはしません。一軒分の土地が150~200坪くらいの住宅地で、そこに住む人は必ずガーデニングでその土地を飾ることを義務付けるようなことをすれば、全国から見学者だって訪れると思うんです」

 Nさんの主張はそこで農地の転用と住宅地開発を当局が決定すればよい、ということになるのだが、市役所もなかなかそこまで踏み切れていないようだ。

 私などは逆に、都市公園のあり方とセットで語ればそれもできそうな気もする。

 つまり、四方を道路に囲われて住宅地から引き離された公園ではなくて、住宅地の後ろがすぐに公園に隣接するような作り方をすればよいのではないか。

 管理は公園内に遠路を作れば良くて、公園を管理することと家が公園と隣接すると言うことは矛盾しない。

 おまけに、公園に隣接する家の家主には家に隣接する一定の面積の公園をアダプト(管理の養子縁組)制度で、自由にガーデニングをしてもらえば良いのではないかと思うのである。

 住宅地は無秩序に売られたりして地域を壊さないようにするために、その権原は公共が保持して定期借地権で貸すというやり方だってあるだろう。

 地区計画や住民協定などの既存の制度を縦横に駆使することだけでも、花と緑にあふれたすばらしい住宅空間ができそうだ。

 公共的緑地はこうして地域に貢献できるという見本にもなりはしないか。北海道という、霞ヶ関とは違った現場における公共的オープンスペースが地域に貢献するあり方について、北海道からの発進が不足している。

 現場の悩みを現場で解決するという思考マインドを高めて、今それをしておくことで明日の子孫に豊かな社会を残したい。

 それが公共事業の存在意義だ。思考停止している様な暇はないのである。

    *   *   *   * 

 Nさんによると、誰でもが見て歩けるような家の庭を言うオープンガーデンの中でも有名なところになると、年間に10社以上もツアー客が訪れるのだという。

 ところがそれだけの来客圧力を想定した作りにはなっていないので、庭が荒れたりツアー客のマナーが地域問題になったりしているところもあるらしい。

 「それだけのことを最初から想定して、元々見られるために作られたオープンガーデンとして作ればよいのですよ」とは先のNさんの弁。

 北海道ならではの幸せな花に囲まれた住宅地が実現すれば、移住希望者も殺到するかも知れない。なにしろ土地が安い北海道ならではの地域の魅力となるかもしれない。

 さあ、北海道の可能性について知恵を出そう。

    *   *   *   * 

 大きな話から小さな話まで、花と緑が好きな連中が集まって懇親会でも大いに盛り上がった。

 道内では有名なガーデンをお持ちのSさんに「3月まで掛川にいました」と自己紹介したら、「掛川ですか!?じゃあ加茂さんの…」というのでびっくり。

 加茂さんとは地元で花菖蒲園や花鳥園という観光施設を経営している掛川の有名実業家である。

 「良く存じ上げています。大変お世話になりましたよ」と言うと、Sさんとのおつきあいもなかなかのものらしい。

 ここでも繋がった。やはり何でもなだれ込んでみるものである。

 さてGIH、多くの皆さんの参加とご協力をお願いしたいと思います。ホームページはもうすぐ立ち上がる予定です。

 そのときはまたお知らせしますよ。  

  

コメント
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