昨夜は稚内に泊まって、夜遅くまで地元の人達のお話を聞かせてもらいました。
せっかく来たのですから、いろいろな人と会えて楽しく、嬉しかったです。
【稚内の観光】
朝一番で、地元のシーニックバイウェイ宗谷で活躍している皆さんのお話を伺いました。
昨年4月に認定を受けたシーニックバイウェイ宗谷の大きな特徴は、利尻島、礼文島も一緒に活動の連携をしているところです。道には海の道もあるのです。
昨年一年活動をしてみての感想は、やはりそれまでは非常に希薄だった利尻、礼文との連携が強化されたことだと言います。
それまでは地元の既存の観光連盟の活動も形骸化しつつあり、何か新しい脱皮を図らなくてはならなかったようですが、そこへ登場したのがシーニックバイウェイという地域運動。
しかしこれで連携をしようという声掛けを始めた頃はなかなか理解が得られなかったそう。やがていろいろな相談に際して地元の開発建設部の職員の姿が見えて、少しずつ信頼と共感を得ていったのだそうで、お金はなくても地域を勇気づけられるというお話し。
昨年は、シーニックバイウェイの延長で各市町村の役場や首長さん達にも最新の情報が伝わり、意思疎通がしやすくなったとか、国土交通省の幹部や大学の先生達が稚内を訪れてくれて、随分人脈も広がったようです。
また、利尻島と礼文島ではそれぞれ島内一週マラソンというイベントが開かれているのですが、それまではお互いに日程調整などしたこともなく、同じ日に開催ということもあったのだそうです。
それが今年からは日程をずらして両方参加できるようにもしようということになったとか。連携の結果、こうした地道な実績が積み上がってきているようです。
「北海道の銘菓『白い恋人』のパッケージに利尻富士が使われているって知っていましたか?」
「ええ?それは知りませんでした」
「今度よく見て下さいよ。それが縁で、石家製菓さんにもスポンサーになってもらえたんですよ。いろいろとやってみるものです」
※ ※ ※ ※
やがて話題は、地域の観光の現状に移りました。最近のイメージとして、観光客はやはり団体がまだ多いといいながら、団体の構成人数が減ってきている印象なのだとか。それまでは1団体が約40人くらいでしたが、最近は20~30人くらいになったという印象なのだとか。
しかしそれでもまだ団体旅行が多いというのは、ここまでやってくるのには団体を対象にした格安航空運賃制度(IIT)が有効に機能していることが大きいようです。
「稚内まで来ようと思うと、やっぱり遠いんですよ。東京で活躍されているある方などは、『一度来ようと思って五回挑戦したけれど、その度に来れなかった』と言っていました」とのこと。
飛行場はあるものの、稚内空港は欠航率が非常に高く安定性が小さいのが悩みの種なのです。飛行機はしばしば着陸できずに、旭川空港に代替え着陸するのだそうです。パイロットにも相当の経験と腕前を要求するのが稚内空港なのです。
しかしそのために、旅に余計な時間や料金が掛かったり予定が狂ってしまうというのがこの地域への旅行を思いとどまらせる要因だとすると、なにか解決策を講じたいところです。
「小樽の人から聞きましたが、小樽に着いた内地のレンタカー旅行者が、『これから車で稚内まで行ってみたいのですが、どれくらいありますか』と訊かれて、『350kmですよ』と応えると、もう半分諦めてしまうのだそうです」
「なぜでしょう」
「内地の人の感覚では、車での移動は一時間に30kmくらいという相場観があって、北海道の人はもっと飛ばしますよと言っても、それが伝わらないし、第一、速度制限を無視しなさい、なんて無理は言えませんよね」
「なるほど」
「さらに『高速道路はありましたっけ?』と訊いてくる人もいるらしいのですが『途中までしかありません』というと、もうそれで行き着く時間が計算できないんですね。交通量がすくないとか、夏は広い道路を飛ばしているんだろう、という内地の人達の声は分かりますが、高速道路のあるなしや旅の時間を約束するということが、旅行者にとっては大きな意味のあることなんですね。これからは個人旅行も増えるでしょうけれど、いろいろな意味でアクセス性ということが地域にとっては大事なことなんですよ」
今日なお、距離というハンディを背負った地域が、それに打ちひしがれずに、負けないために、国も地域も、住民一人ひとりも、自分たちには何ができるのかをもう一度じっくり考えて、こういう地域の声を外に向かって発信して行かなくてはなりませんね。
※ ※ ※ ※
打ち合わせが終わって、帰るまでの時間を利用して、稚内からほど近い抜海漁港でアザラシの群れが見られるというので行ってきました。
ここには港湾の施工業者と稚内観光協会が協力して、この時期観察小屋を提供してくれてアザラシ見物がしやすくなっているのです。
漁港につくと、なるほどいるわいるわ、港の中を浮いたり沈んだりするものもいれば、浅瀬で寝そべっているのもいます。
観察小屋には管理委託されている男性がいて、いろいろと話を伺いました。
曰く、今はざっと250頭ほどのアザラシがいますが、年々増えており、また見物の人間との距離が近づいているとのこと。
地元の漁師も、漁業被害額を特定できないものの、餌として相当の魚類が食べられているはずで、問題だと思い始めている。
アザラシは、昔はアイヌの人達が狩猟の対象にしていたくらいで保護獣ではないものの、狩猟する人もいないしメリットも少ないのでだれも手を出さない状況。
観光客も、あまり数が多いと希少価値を感じないのか滞在時間が短いもので、数が50頭くらいだと探しながら割と長く見ているのだそうです。
バスでのツアーの立ち寄りポイントとしては認識されてきたので、結構な数のバスが立ち寄るのですが、これを上手にビジネスの対象とするような活動はまだないようで、ちょっと残念です。
しかしいずれ漁業との共存を図る上では、人間の側から生態を管理する動きが必要になるのかも知れません。
日本人は、保護の必要を感じると当たらず触らず、増えすぎても放ったらかしになり、逆に狩猟することにメリットを感じると、今度は絶滅近くまで捕りすぎるという、ヒステリックな行動を取りがちです。
冷静で理性的な共存を図るためにも、科学的なデータを積み上げて行く必要がありそうです。
観光にもいろいろな側面があるのですね。
ひさびさの稚内でしたが、日中は風も穏やかで道路の雪が溶けてぐちゃぐちゃの状態。とても真冬とは思えませんでしたが、いろいろな人に会えると心が温かくなります。
またいつか来ますよ。
せっかく来たのですから、いろいろな人と会えて楽しく、嬉しかったです。
【稚内の観光】
朝一番で、地元のシーニックバイウェイ宗谷で活躍している皆さんのお話を伺いました。
昨年4月に認定を受けたシーニックバイウェイ宗谷の大きな特徴は、利尻島、礼文島も一緒に活動の連携をしているところです。道には海の道もあるのです。
昨年一年活動をしてみての感想は、やはりそれまでは非常に希薄だった利尻、礼文との連携が強化されたことだと言います。
それまでは地元の既存の観光連盟の活動も形骸化しつつあり、何か新しい脱皮を図らなくてはならなかったようですが、そこへ登場したのがシーニックバイウェイという地域運動。
しかしこれで連携をしようという声掛けを始めた頃はなかなか理解が得られなかったそう。やがていろいろな相談に際して地元の開発建設部の職員の姿が見えて、少しずつ信頼と共感を得ていったのだそうで、お金はなくても地域を勇気づけられるというお話し。
昨年は、シーニックバイウェイの延長で各市町村の役場や首長さん達にも最新の情報が伝わり、意思疎通がしやすくなったとか、国土交通省の幹部や大学の先生達が稚内を訪れてくれて、随分人脈も広がったようです。
また、利尻島と礼文島ではそれぞれ島内一週マラソンというイベントが開かれているのですが、それまではお互いに日程調整などしたこともなく、同じ日に開催ということもあったのだそうです。
それが今年からは日程をずらして両方参加できるようにもしようということになったとか。連携の結果、こうした地道な実績が積み上がってきているようです。
「北海道の銘菓『白い恋人』のパッケージに利尻富士が使われているって知っていましたか?」
「ええ?それは知りませんでした」
「今度よく見て下さいよ。それが縁で、石家製菓さんにもスポンサーになってもらえたんですよ。いろいろとやってみるものです」
※ ※ ※ ※
やがて話題は、地域の観光の現状に移りました。最近のイメージとして、観光客はやはり団体がまだ多いといいながら、団体の構成人数が減ってきている印象なのだとか。それまでは1団体が約40人くらいでしたが、最近は20~30人くらいになったという印象なのだとか。
しかしそれでもまだ団体旅行が多いというのは、ここまでやってくるのには団体を対象にした格安航空運賃制度(IIT)が有効に機能していることが大きいようです。
「稚内まで来ようと思うと、やっぱり遠いんですよ。東京で活躍されているある方などは、『一度来ようと思って五回挑戦したけれど、その度に来れなかった』と言っていました」とのこと。
飛行場はあるものの、稚内空港は欠航率が非常に高く安定性が小さいのが悩みの種なのです。飛行機はしばしば着陸できずに、旭川空港に代替え着陸するのだそうです。パイロットにも相当の経験と腕前を要求するのが稚内空港なのです。
しかしそのために、旅に余計な時間や料金が掛かったり予定が狂ってしまうというのがこの地域への旅行を思いとどまらせる要因だとすると、なにか解決策を講じたいところです。
「小樽の人から聞きましたが、小樽に着いた内地のレンタカー旅行者が、『これから車で稚内まで行ってみたいのですが、どれくらいありますか』と訊かれて、『350kmですよ』と応えると、もう半分諦めてしまうのだそうです」
「なぜでしょう」
「内地の人の感覚では、車での移動は一時間に30kmくらいという相場観があって、北海道の人はもっと飛ばしますよと言っても、それが伝わらないし、第一、速度制限を無視しなさい、なんて無理は言えませんよね」
「なるほど」
「さらに『高速道路はありましたっけ?』と訊いてくる人もいるらしいのですが『途中までしかありません』というと、もうそれで行き着く時間が計算できないんですね。交通量がすくないとか、夏は広い道路を飛ばしているんだろう、という内地の人達の声は分かりますが、高速道路のあるなしや旅の時間を約束するということが、旅行者にとっては大きな意味のあることなんですね。これからは個人旅行も増えるでしょうけれど、いろいろな意味でアクセス性ということが地域にとっては大事なことなんですよ」
今日なお、距離というハンディを背負った地域が、それに打ちひしがれずに、負けないために、国も地域も、住民一人ひとりも、自分たちには何ができるのかをもう一度じっくり考えて、こういう地域の声を外に向かって発信して行かなくてはなりませんね。
※ ※ ※ ※
打ち合わせが終わって、帰るまでの時間を利用して、稚内からほど近い抜海漁港でアザラシの群れが見られるというので行ってきました。
ここには港湾の施工業者と稚内観光協会が協力して、この時期観察小屋を提供してくれてアザラシ見物がしやすくなっているのです。
漁港につくと、なるほどいるわいるわ、港の中を浮いたり沈んだりするものもいれば、浅瀬で寝そべっているのもいます。
観察小屋には管理委託されている男性がいて、いろいろと話を伺いました。
曰く、今はざっと250頭ほどのアザラシがいますが、年々増えており、また見物の人間との距離が近づいているとのこと。
地元の漁師も、漁業被害額を特定できないものの、餌として相当の魚類が食べられているはずで、問題だと思い始めている。
アザラシは、昔はアイヌの人達が狩猟の対象にしていたくらいで保護獣ではないものの、狩猟する人もいないしメリットも少ないのでだれも手を出さない状況。
観光客も、あまり数が多いと希少価値を感じないのか滞在時間が短いもので、数が50頭くらいだと探しながら割と長く見ているのだそうです。
バスでのツアーの立ち寄りポイントとしては認識されてきたので、結構な数のバスが立ち寄るのですが、これを上手にビジネスの対象とするような活動はまだないようで、ちょっと残念です。
しかしいずれ漁業との共存を図る上では、人間の側から生態を管理する動きが必要になるのかも知れません。
日本人は、保護の必要を感じると当たらず触らず、増えすぎても放ったらかしになり、逆に狩猟することにメリットを感じると、今度は絶滅近くまで捕りすぎるという、ヒステリックな行動を取りがちです。
冷静で理性的な共存を図るためにも、科学的なデータを積み上げて行く必要がありそうです。
観光にもいろいろな側面があるのですね。
ひさびさの稚内でしたが、日中は風も穏やかで道路の雪が溶けてぐちゃぐちゃの状態。とても真冬とは思えませんでしたが、いろいろな人に会えると心が温かくなります。
またいつか来ますよ。