北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

これからのまちづくり~村格と都市格

2007-02-20 23:08:29 | Weblog
 小雨降る東京を後にして、午後には新千歳空港に降り立ちました。今夜は榛村さんが札幌に来ることになっているので、夜は最近の話題についてお話を聞くことになっています。

【村格と都市格】
 ところが、なんと空港で今夜お話を聞くはずの榛村さんとばったり会いました。どうやら同じ飛行機だったようなのです。

 榛村さんは、明日こちらで開催される、あるまちづくり委員会の委員として札幌まで来て下さったのですが、どうやら今日泊まるホテルを勘違いしていたよう。私の方がどこに泊まるか知っていたので、まずはそこまでお連れしました。

 やはり、ばったり出会うにはそれなりの意味があったようです。あぶないあぶない。

    ※    ※    ※    ※

 夜に市内のある部屋を借りて、こじんまりと勉強会をしました。普段から榛村さんに会いたいという人、私が会わせてみたい人を集めての少人数の勉強会です。

 まずは最近榛村さんが関心を持っていることについて話題を提供して頂きました。今日のお題は「村格・都市格のめざすもの」ということです。

 まずはお得意の数字から。榛村さんは平成の大合併によって、市町村の構造がどう変わったか、ということを言います。まずは下記の表を見て下さい。

総人口に
             数   人口(千人)  対する割合(%)
 特別区         23     8,274      6.5
 政令指定都市        15     22,355     17.6
 中核市 37     16,621 13.1
 特例市+20万人以上の市 60   17,530 13.8
【20万人以上の市の合計】135 64,780 51.0

 5~20万未満の市 426 39,843 31.4
 5万未満の市 241 8,664    6.8
 【20万未満の市の合計】 667 48,507 38.2

 町・村の合計 1,038    13,768     10.8

 【上記の合計】       1,840 127,054 100.0

 【5万未満の市と
   町村の合計】      1,279 22,432 17.6


 つまり、①日本の半分の国民は20万人以上の都市に住むようになったということ、②しかしそれらの自治体の数は135にすぎない、③今日1840という数になった日本の地方自治体のうち、1279が5万人未満の自治体であり、総人口に対する割合は17.6%でしかない、ということなのです。

 そこで榛村さんは、「この5万人未満の自治体がどうなるかで、日本という国が、地方が豊かで幸せな国になるか、そうでないかの分かれ目になる」というのです。

「どうなる可能性がありますか?」と訊いてみました。すると榛村さんの答えは
「可能性は三つある。一つは『籠城』ということで、ひたすら緊縮財政をし続けるというもの。二つ目は『開城』ということで、どうにもやりきれなくなって近隣市からの合併の圧力に屈して合併をしてしまうという道筋だ」

「面白いですね。すると三つ目はなんですか?」
「三つ目は『白兵戦を挑む』というものですよ。これで駄目なら町は潰れる、という覚悟で思い切った手を打って生き残りを図るというものですよ」

 籠城、開城、白兵戦とはいかにも榛村さんらしい面白い表現です。こういうセンスがきらりと光るんですなあ。

    ※    ※    ※    ※

 さて、そこでこうした町や村をなんとかするための方策に話が移りました。榛村さんは最近「村格・都市格」ということを言い出しています。

 昨年は随分と「品格」という単語が流行し、併せて武士道などももてはやされました。私は「村格・都市格」とはそういう品格に便乗した単語なのかと思っていました。しかし榛村さんはそうではない、と言います。

「村格というのはね、柳田國男がそう言っているんですよ。『農地改革で村格は失われる』とね。しかし彼は、だからどうすべきか、という事は言わずに終わってしまったんです」

「そして、都市格の方は大正14(1925)年に、中川望大阪府知事が言っているんだ。『関西の人は皆京都は尊敬するが、大阪は尊敬しない。大阪も尊敬されるような町にならなくてはならない。そのためには都市格だ。都市格とは、知識、道徳、趣味、信仰・信念の四要素だ』とね」

 なるほど、既に「村格・都市格」という言い方をしている方がいたとは。不勉強でした。

    ※    ※    ※    ※

 そこでさらに榛村さんは、そうした村格・都市格を表すための指標についての試論も披露してくれました。

「今は10種類の分類を考えていて、それぞれに、全くない→少しある→ふつう→かなりある→すごくある、という五段階で評価をして、自分の町の立ち位置を押さえるんです。そのうえでウリは伸ばし、足りないところを補うように努力する。そういう指標だけど、どうかな」

 その指標とは、下記の10項目です。

①歴史、史跡・名勝、文化財、古戦場、歌枕、名所、名産、名物、伝統行事など
②自然、森林、緑の豊かさづくりとそのプログラムの立派なまち

③食と農の文化を通じ、幸せや徳を追究するプログラムの立派なまち
④清潔・安心、安全・安定性の高い健康長寿のまち

⑤土地利用の秩序と公園、みち、川、池のたたずまいの美しいまち
⑥面白い人間像と一角の人、できた人、徳のある人の大勢いるまち

⑦女性が美しく活躍し、家庭教育も男女共同参画もよく行われているまち
⑧都市の主体性が多様に育ち、住民参加と情報公開が徹底しているまち

⑨自治体の行財政力が優れ、環境・福祉のシンクタンク機能の豊かなまち
⑩極め付きの特記事項があり、あとは美しいコンパクトテーマパークのまち

 榛村門下としては、かなりよく目にする単語が多いのですが、それを村格・都市格の指標として改めて打ち出したところが今回の新味のあるところです。

 皆さんの住んでいる町はどういう評価になるでしょうか?

 皆さんのまちには、村格・都市格と呼ぶような風格があるでしょうか?

 まちを、数字で言い表せない特徴の集まりとしてみる、そんな試みがあっても良いのかも知れませんね。

 話題提供の後の意見交換も随分盛り上がりました。榛村節はまだまだ健在です!
コメント
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