北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

小さな古書店の心意気

2007-08-17 23:28:58 | Weblog
 石屋製菓の社長が辞任を発表。これまでの対応を社長も知っていたということではもう世間にいいわけはできませんね。
 旧弊を断ち切り、質の高い製品を世に送ることで立ち直って欲しいものです。

    ※    ※    ※    ※

 さて、我が家の近くの小さな駅前商店街のビルには「●ニマ書房」という古本屋の看板が掛かっています。ビルの二階へ案内するその看板は、どう見てもちょっと怪しげな雑誌ばかりが置いてありそうな名前で、いままでは無視して入らずにいました。

 しかし今日はどういう弾みか、少し覗いてみようと思い暗い階段を上がってみました。

「いらっしゃいませ~」姿の見えないおじさんの声。

 すると、「…ん?」並んでいるのは古書や全集もの、岩波文庫、平凡社ライブラリーなど質の高い古本が多いではありませんか。一般の推理小説や売れ筋の軽い読み物などがほとんどなくて、これで売れるのかなと逆に心配になるほど。

 本棚を物色するうちに、宮本常一さんの全集の一部など普段はなかなかお目にかかれない本が並んでいるのに感動して、思わずお店のご主人に声をかけました。

「並んでいる本の質が高いですね。店構えがビルの奥なので変なお店かと思っていたのですが、すみません、感心しました」

 するとご主人は「そうですかねえ」と言いながらちょっとうれしそう。
「うちは神奈川古書組合に加盟していて、そこと神田の市から本を仕入れているんですよ」
「私は探せない古本をネットで探して買ったりしています。中には送料が340円で、本は1円というものもあるんですよ」

「古本をネットで売っている古書店は全体の2割にも満たないのではないでしょうか。1円の本というのはどんなものかよく分かりませんが、配送業者と契約をすればその値段で元が取れるんでしょうね」

「こちらの本には値段がついていませんけど…」
「本の裏にとれるような値段表が折り込んであるはずです。本はどんな形でも汚すべきではないと思うので、値段のシールを貼ることもしないようにしているんです」

 ううむ、本に感動したところにはガシガシと鉛筆で印を付ける私のような読み方は本には申し訳ないのかもしれません。

「作家順に並んでいるということもないんですね」
「本は出会いだから、少しお客さんも苦労して探した方がいいんですよ、ははは」

  

 こんなに店は小さくても、こんなに本に対する思い入れのある古書店が身近にあったとは。やはり都会ゆえなのかな。

 古書店で塩野七生さんのローマ人の物語の文庫版が1巻から28巻までそろっているのは初めて見ましたよ。
コメント
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