北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

マイナスを前面に出せ

2010-01-30 22:35:34 | Weblog
 人間誰しも自分をよく見せたいものです。たとえそれが真実とは少し違っていても、嘘でさえなければ良いと思うでしょう。

 しかしよく見せることだけが人々の共感を得る手段ではないようです。時にはズバッと厳しい真実を語るその方が誠実に写り、辛い共感を得ることが出来るのかもしれません。

---------- 【ここから引用】 ----------
【プレジデント・ロイター】広告は「夢物語」より「負の部分」を語るべし
 耳当たりのいいフレーズや、美しいだけのイメージはもう時代遅れだ
プレジデント 2007年2.12号
  http://president.jp.reuters.com/article/2010/01/29/4EE216DE-03DC-11DF-B2F8-C3C73E99CD51.php


 人材募集のコマーシャルで「辛くて厳しい仕事」と打ち出して大成功した例がある。現在の消費者は、ハートウオーミングな虚像よりも「真実」を広告に求めるようになった。

 アイボリー社の石鹸は、125年以上にわたって、家庭に「good, clean fun(心地よい清潔な喜び)」を届けてきた。シアーズ、クラフト、トロピカーナといったほかの由緒あるブランドとともに、アイボリーは優しさと明るさに満ち溢れた暮らしのビジョンを何十年も提示し続けてきたのである。しかしそのビジョンは単純で甘ったるく、人々を引きつける魅力をすぐに失ってしまうものでもあった。

 ロンドンに本社を置くマーケティング・サービス会社WPPが行っているグローバルな調査、ブランドZでは、アイボリーやシアーズのような、かつて偉大だったブランドを「消えつつあるスター・ブランド」に分類している。これらのブランドは、かつて愛されるブランドになるうえで最大の推進力となった、「イメージに基づく強み」を失っているのである。


【「きれいごと」ではなく「リアリティ」に反応】
 今日の消費者は、広告でかつては効果的だったつくりもののイメージを信用しなくなっている。残念ながら多くのブランドマネジャーがそれを理解していない。リアリティが重視されるようになったテレビの世界において、彼らは依然として「完璧な暮らし」のイメージをつくり上げ、それを売ることを続けている。

 欠点が逆に大きな魅力の源になる場合があるということを、ブランドマネジャーたちは往々にして理解していないのだ。これは人々が製品の欠点に魅力を感じるということではない。そうではなくて、完璧すぎると思われるものを疑いの目で見るようになっているということである。

 強力なブランドになるためには「本物らしさ」が必要なのであり、それはブランドの負の部分、つまりあまり好ましくない特性に見出すことができる。それは、通常、マーケット・リサーチ会社が「ネガティブ・エクイティ」と呼び、ブランドマネジャーたちが必死に隠そうとするものだ。


 (…中略…)


【「辛く厳しい仕事」に志望者が殺到した理由】
 ブランドの負の部分を強みに変える戦略の最も見事な例は、おそらく2000年に行われたロンドン市警の印象的な人材募集キャンペーンに見ることができる。

 このキャンペーンでは、人材募集広告の伝統的なうたい文句を意図的に避けて、「刺激的な仕事ができる」とも、「役に立つ技能が習得できる」とも、「子どもたちの尊敬が得られる」とも約束しなかった。逆に、この仕事がどれほど厳しいものであるかを率直に訴えかけたのである。

 あるコマーシャルは、顔にひどい火傷の痕があるフォークランド戦争の英雄、サイモン・ウェストンを登場させた。乗っていた戦艦が爆撃されて大やけどを負いながら、奇跡的に生還してイギリス国民を奮い立たせたこの元兵士が、涙を流しながら視聴者に語りかけたのだ。

「『自動車事故で奥さんと子どもさんが亡くなりました』と誰かの家に伝えに行かなければならない状況を想像してみてください」と。

 別のコマーシャルは、赤ちゃんが眠っている間に死んでしまったという電話を受け、悲しみにくれる母親の目の前でその子のテディベアを証拠品の袋に入れて持ち帰らなくてはいけない辛さを想像してみてくださいと、視聴者に訴えかけた。これらの広告は警察の仕事を辛く厳しいものとして描き出していたが、それでも多くの応募者を引きつけた。

 キャンペーンの有効性を測定するため、これらの広告には専用の電話とウェブサイトを示して、「問い合わせや応募はこちらまで」と呼びかけた結果、10万件を超える問い合わせが採用担当部署に殺到し、ロンドン市警はそれらの熱意ある人々の中から、6000人の新しい警察官を選抜・採用した。イギリス内務省によると、これは前年を50%上回る人数だった。

 これらの広告の魅力は、ひとつには大きな職業的挑戦──「君は警察官になるだけの勇気があるか?」──を突きつけたことにあった。しかし、もっと深い力も作用したのである。

 TNSギャロップが行った調査で、これらの広告を見た人の間では「警察を尊敬している」人の割合が見なかった人の2倍であることが明らかになった。警察官の仕事の辛い部分、その暗く悲惨な負の部分を出したことにより、ロンドン市警というブランドをより本物らしく、したがってより魅力的にしたといえるだろう。


【人は完璧なものを愛するとは限らない】
 この例からわかることは何だろうか。100%すばらしいものは、100%退屈だということだ。われわれは私生活でも、非の打ちどころのない美徳にはあまり魅力を感じず、欠点や矛盾だらけの人間を好きになる。ブランドでも同じことがいえる。負の部分を認めるとき、ブランドは正しいセグメントの人々を対象にすることができ、しかもそれらの人々に力強く訴えかけることができる。

 負の部分はブランドをより強力にしてくれるのだ。

   文=マイケル・J・ファヌエル 翻訳・ディプロマット
---------- 【引用ここまで】 ----------

 実際欠点を隠して取り繕ってしまうと、これから改善し前向きに取り組むべきことが何か見えなくなってしまいます。

 今の現実がどこにあって、そのネガティブな問題点をしっかりと把握していると言うことは大切です。

 もっとも日本人の場合、楽観主義よりは悲観主義が勝っているようで、良い情報はひねた受け止め方しかせず、悪い情報が入るとお先真っ暗に感じて「もうダメぽ…」と落ち込む傾向があります。

 更に言えばそれは楽観主義で油断するよりも、常に準備をするための予防的思考法でもあるかもしれません。

 しかしこの楽観主義も悲観主義も、度が過ぎるてしまえばどちらも害悪になるという点で共通です。

 あくまでもものごとを冷静に捕らえて自分が判断をしたらそれを誠実に説明するという風でありたいものです。

    ※    ※    ※    ※

 ある事情通による風聞では(あくまでもウワサです)、沖縄の嘉手納基地を移設するのになぜキャンプシュワブにこだわるかと言えば、もう既に海の埋め立てに使う土を出す山に投資をしている人がたくさんいるから止められないんだとか。本当ですかねえ?
 そんなモロ見えな利権まがいのことをする人がいるんでしょうか。
 
 国の防衛も大変ですが、その大変さを誠実に説明して問題を早く打破して欲しいものです。 
  
コメント
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