「政府は小さな方がよい」という価値観は一体どこから来たのでしょうか。
自民党の小泉政権では一貫してこの方針が採られて、その延長線上で郵政民営化が果たされました。
しかし自民党政権末期の福田~麻生政権ではその方針を一部転換し、福祉重視とそのための増税も容認するという方向に舵を切ったのです。しかしながら自民党内部でも小泉時代の精神を引きずる人たちは「上げ潮派」と呼ばれ、相変わらず小さな政府や公共部門の縮小を目指していました。
皮肉なことに政権交代によって小泉精神は見事に民主党政権に引き継がれ、相変わらず改革の名の下に小さな政府を目指しています。
実はその大本は『ワシントン・コンセンサス』に由来しています。ワシントン・コンセンサスとは…。
---------- 【以下引用】 ----------
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ワシントン・コンセンサス (Washington Consensus) とは、ワシントンDC所在のシンクタンク国際経済研究所 (IIE) の研究員で国際経済学者のジョン・ウィリアムソンが1989年に発表した論文の中で定式化した経済用語である。
この用語は元来、1980年代を通じて先進諸国の金融機関と国際通貨基金 (IMF)、世界銀行を動揺させた途上国累積債務問題との取り組みにおいて、「最大公約数」(ウィリアムソン)と呼べる以下の10項目の政策を抽出し、列記したものであった。
①財政赤字の是正
②補助金カットなど財政支出の変更
③税制改革
④金利の自由化
⑤競争力ある為替レート
⑥貿易の自由化
⑦直接投資の受け入れ促進
⑧国営企業の民営化
⑨規制緩和
⑩所有権法の確立
【議論】
『文藝春秋』2007年3月号に、伊藤忠商事会長で経済財政諮問会議委員の丹羽宇一郎が「財界だって格差社会はノー」という論文を寄せているが、このなかでワシントン・コンセンサスを、1989年のベルリンの壁崩壊後、社会主義の敗北が明らかになって以降、IMF, 世銀および米国財務省の間で広く合意された米国流の新古典派対外経済戦略で、「小さな政府」「規制緩和」「市場原理」「民営化」を世界中に広く輸出し、米国主導の資本主義を押し広げようとする動きであると説明し、これに批判を加えている。
また、ワシントン・コンセンサスの実現によって格差社会が世界中に広がっているという批判が経済学者ジョセフ・E・スティグリッツなどから寄せられている。
【 関連文献】
ジョセフ・E・スティグリッツ『世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す』徳間書店、2006年
---------- 【引用ここまで】 ----------
1997年にタイで始まったアジア通貨危機もこの文脈の延長線上で、ヘッジファンドの儲けのためにアジア通貨がねらわれました。
しかし散々これらの政策を追求して経済をグローバル化した先には制御しきれないくらいの大量なマネーが暴れ回る世界であったわけで、これらの価値観は今日もう転換期に入っていると言っても良いのです。
政府が大きいか小さいか、の定義は何で、その指標は何でしょう?日本は今やOECDの先進経済諸国の中ではGDPに占める政府支出が最も少ない国になりました。つまり国全体の稼ぎの割には国として使っていない、十分に小さな政府になっているのです。
ヨーロッパ諸国が日本よりも大きな政府になっているのはひとえに国民負担率を高めて福祉や医療などの社会保障を充実させているためです。
つまり政府が大きいと言うことは、社会保障が大きな国だということと同じです。しかしながら「小さな政府を目指す」という価値観が変わらなければ、おそらく社会保障を充実させるような国に変わることは難しいでしょう。
政策を決定するためには、洗練された哲学と価値観が先にあったほうが良いですね。
自民党の小泉政権では一貫してこの方針が採られて、その延長線上で郵政民営化が果たされました。
しかし自民党政権末期の福田~麻生政権ではその方針を一部転換し、福祉重視とそのための増税も容認するという方向に舵を切ったのです。しかしながら自民党内部でも小泉時代の精神を引きずる人たちは「上げ潮派」と呼ばれ、相変わらず小さな政府や公共部門の縮小を目指していました。
皮肉なことに政権交代によって小泉精神は見事に民主党政権に引き継がれ、相変わらず改革の名の下に小さな政府を目指しています。
実はその大本は『ワシントン・コンセンサス』に由来しています。ワシントン・コンセンサスとは…。
---------- 【以下引用】 ----------
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ワシントン・コンセンサス (Washington Consensus) とは、ワシントンDC所在のシンクタンク国際経済研究所 (IIE) の研究員で国際経済学者のジョン・ウィリアムソンが1989年に発表した論文の中で定式化した経済用語である。
この用語は元来、1980年代を通じて先進諸国の金融機関と国際通貨基金 (IMF)、世界銀行を動揺させた途上国累積債務問題との取り組みにおいて、「最大公約数」(ウィリアムソン)と呼べる以下の10項目の政策を抽出し、列記したものであった。
①財政赤字の是正
②補助金カットなど財政支出の変更
③税制改革
④金利の自由化
⑤競争力ある為替レート
⑥貿易の自由化
⑦直接投資の受け入れ促進
⑧国営企業の民営化
⑨規制緩和
⑩所有権法の確立
【議論】
『文藝春秋』2007年3月号に、伊藤忠商事会長で経済財政諮問会議委員の丹羽宇一郎が「財界だって格差社会はノー」という論文を寄せているが、このなかでワシントン・コンセンサスを、1989年のベルリンの壁崩壊後、社会主義の敗北が明らかになって以降、IMF, 世銀および米国財務省の間で広く合意された米国流の新古典派対外経済戦略で、「小さな政府」「規制緩和」「市場原理」「民営化」を世界中に広く輸出し、米国主導の資本主義を押し広げようとする動きであると説明し、これに批判を加えている。
また、ワシントン・コンセンサスの実現によって格差社会が世界中に広がっているという批判が経済学者ジョセフ・E・スティグリッツなどから寄せられている。
【 関連文献】
ジョセフ・E・スティグリッツ『世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す』徳間書店、2006年
---------- 【引用ここまで】 ----------
1997年にタイで始まったアジア通貨危機もこの文脈の延長線上で、ヘッジファンドの儲けのためにアジア通貨がねらわれました。
しかし散々これらの政策を追求して経済をグローバル化した先には制御しきれないくらいの大量なマネーが暴れ回る世界であったわけで、これらの価値観は今日もう転換期に入っていると言っても良いのです。
政府が大きいか小さいか、の定義は何で、その指標は何でしょう?日本は今やOECDの先進経済諸国の中ではGDPに占める政府支出が最も少ない国になりました。つまり国全体の稼ぎの割には国として使っていない、十分に小さな政府になっているのです。
ヨーロッパ諸国が日本よりも大きな政府になっているのはひとえに国民負担率を高めて福祉や医療などの社会保障を充実させているためです。
つまり政府が大きいと言うことは、社会保障が大きな国だということと同じです。しかしながら「小さな政府を目指す」という価値観が変わらなければ、おそらく社会保障を充実させるような国に変わることは難しいでしょう。
政策を決定するためには、洗練された哲学と価値観が先にあったほうが良いですね。
