先日、我が社が主催するセミナーに参加しました。子育て支援で活躍するNPO法人フローレンスの代表駒崎弘樹さんのお話を伺いました。
この駒崎さん、都内江東区の下町に生まれ慶応大学在学中にIT企業を立ち上げてそれなりに活躍していた23歳の時に、母親の「子育てのために仕事を辞めなくちゃならない人がいる」という言葉に発憤。IT企業を他人に譲り、自分は子育て支援をするという志を立ててNPO活動を開始したという行動派。
しかもそのビジネスモデルが日本政府のみならず世界からも注目を浴びているという30歳の爽やかな若者でありました。
今日のテーマはまず病児保育のお話。上に述べたように「子育て、それも子供が病気になったことで看病のために仕事を休まなくてはならなかったお母さんが事実上クビになってしまった」という話を聞いたとき、駒崎さんは「お母さんも働いていたのに、僕の時はどうしたの?」と訊いてみたとか。するとお母さんは「あんたには団地の3階下に松永のオバチャンがいたでしょ。あの人に随分お世話になったんだよ」
(そうだ、僕には松永のオバチャンがいたんだ。しかし今のお母さん達には松永のオバチャンがいないんだ。よし、お母さん達の松永のオバチャン作りを自分の使命としよう)そう駒崎青年は考えました。
※ ※ ※ ※
保育園では熱が出たり突発性の病気になった子供は預かってくれません。この病児保育というのは子育て保育の分野でも最も取り組みが遅れた部分です。
しかし調べてみると、子育て中のお母さん達のニーズには非常に高いものがあります。学生の時に経済の講座で「需要のあるところに供給あり」とは教えられたはず。しかし実際にはサービスを受けようとする時の負担が大きすぎて、経営的に難しいというのが現実でした。
そこで行政からの補助金があれば…ということなのですが、実はこの補助金というのがくせ者。わずかばかりの補助金をもらうことで価格決定の自由が奪われてしまうのです。
例えばベビーシッターであれば一時間あたり1600円の所を、補助金をもらった病児保育では一日2千円以下でなくてはならないというので、これではビジネスとしては成立しません。
そこで考え出したのが共済保険のやり方、つまり発病率に応じた年会費・月会費を掛け捨ての制度とし、緊急時にサポートする時は無料という安心料制度です。
そしてサポートをしてくれる保育スタッフはこどもレスキュー隊員と呼ばれ、有償のボランティア。保育園に行くはずの子供が熱を出したらレスキュー隊員が家まで子供さんを迎えに行き、かかりつけの小児科医の診察を受けさせ、そこで預かっても良いという診断が下されればそのまま隊員の自宅でお預かりをするというシステムです。
もちろん隊員になるには保育士の資格や子育ての経験のある方がそれなりの研修を受けますが、勤務は自分がレスキューとして活動出来る日を登録しておくので、自分の都合は優先されて気楽です。
しかもこれなら大きな施設を借りる賃料も発生しませんので、これまでの施設型の病児保育よりは格段に安くサービスを提供出来ます。全く、ボランティア精神とたくさんの人の登録によるリスク分散とという立派なビジネスモデルです。
このモデルは企業からも評価を得ていて、女性スタッフの教育に百万円単位で投資をする企業では、出産後に辞められると多大な損失になるわけで、このシステムを法人として会員になって社員負担をさせずに会社として契約をすると言うところも登場したとか。すごい!
※ ※ ※ ※
このビジネスモデル、実はその後厚労省が補助金付きで政策化したというので、なんだかパクられたような気になった駒崎さんは一時落ち込んでいたのだとか。
すると福祉の道の大先輩から、「福祉政策なんて民間の人たちがいくつもトライ&エラーを繰り返してそこから選ばれたものが今日政策化されて当たり前になっている歴史があるのだから、政策化されたことをパクられたなどと落ち込んでいてはダメ。政策化されて日本中で助かる人が出ることを喜ばなくちゃ」と慰められたんだとか。どっちもすごいですね。
その後この制度は片親で収入の少ない人向けのパックなども作られるなど、駒崎さんの新たなビジネスモデル構築の活動は止むところを知りません。
こうした活動が認められて、今では政府の内閣府特別非常勤公務員として政策実現にも関わられているのだそう。実にすごい若者です。
※ ※ ※ ※
しかしながら、彼自身の目の届く活動はやはり都内から千葉県くらいまでに限られていて、もし自治体などで興味があれば丁稚奉公を受け入れて、システム立ち上げのコンサルティングもできますということなので、地方の自治体にも朗報です。
ところがこういう動きに対して、NPOとの協働などに市町村はまだまだアレルギーがあってなかなか協力的になってくれないのが悩みだとか。うーん、まったく自治体ってどこまで頭が固いんだか。
講演後に質問をしてみましたが、病児保育だけではなく、保育園の待機児童などの問題に対しても実は強力なプランを立ち上げる準備中なのだとか。これは楽しみです。発表は近日中と言うことなので、駒崎さんの活動にはこれからも注目です。
子育てや保育に悩んでいる自治体の方はぜひアンテナを高くして欲しいものです。
http://www.florence.or.jp
この駒崎さん、都内江東区の下町に生まれ慶応大学在学中にIT企業を立ち上げてそれなりに活躍していた23歳の時に、母親の「子育てのために仕事を辞めなくちゃならない人がいる」という言葉に発憤。IT企業を他人に譲り、自分は子育て支援をするという志を立ててNPO活動を開始したという行動派。
しかもそのビジネスモデルが日本政府のみならず世界からも注目を浴びているという30歳の爽やかな若者でありました。
今日のテーマはまず病児保育のお話。上に述べたように「子育て、それも子供が病気になったことで看病のために仕事を休まなくてはならなかったお母さんが事実上クビになってしまった」という話を聞いたとき、駒崎さんは「お母さんも働いていたのに、僕の時はどうしたの?」と訊いてみたとか。するとお母さんは「あんたには団地の3階下に松永のオバチャンがいたでしょ。あの人に随分お世話になったんだよ」
(そうだ、僕には松永のオバチャンがいたんだ。しかし今のお母さん達には松永のオバチャンがいないんだ。よし、お母さん達の松永のオバチャン作りを自分の使命としよう)そう駒崎青年は考えました。
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保育園では熱が出たり突発性の病気になった子供は預かってくれません。この病児保育というのは子育て保育の分野でも最も取り組みが遅れた部分です。
しかし調べてみると、子育て中のお母さん達のニーズには非常に高いものがあります。学生の時に経済の講座で「需要のあるところに供給あり」とは教えられたはず。しかし実際にはサービスを受けようとする時の負担が大きすぎて、経営的に難しいというのが現実でした。
そこで行政からの補助金があれば…ということなのですが、実はこの補助金というのがくせ者。わずかばかりの補助金をもらうことで価格決定の自由が奪われてしまうのです。
例えばベビーシッターであれば一時間あたり1600円の所を、補助金をもらった病児保育では一日2千円以下でなくてはならないというので、これではビジネスとしては成立しません。
そこで考え出したのが共済保険のやり方、つまり発病率に応じた年会費・月会費を掛け捨ての制度とし、緊急時にサポートする時は無料という安心料制度です。
そしてサポートをしてくれる保育スタッフはこどもレスキュー隊員と呼ばれ、有償のボランティア。保育園に行くはずの子供が熱を出したらレスキュー隊員が家まで子供さんを迎えに行き、かかりつけの小児科医の診察を受けさせ、そこで預かっても良いという診断が下されればそのまま隊員の自宅でお預かりをするというシステムです。
もちろん隊員になるには保育士の資格や子育ての経験のある方がそれなりの研修を受けますが、勤務は自分がレスキューとして活動出来る日を登録しておくので、自分の都合は優先されて気楽です。
しかもこれなら大きな施設を借りる賃料も発生しませんので、これまでの施設型の病児保育よりは格段に安くサービスを提供出来ます。全く、ボランティア精神とたくさんの人の登録によるリスク分散とという立派なビジネスモデルです。
このモデルは企業からも評価を得ていて、女性スタッフの教育に百万円単位で投資をする企業では、出産後に辞められると多大な損失になるわけで、このシステムを法人として会員になって社員負担をさせずに会社として契約をすると言うところも登場したとか。すごい!
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このビジネスモデル、実はその後厚労省が補助金付きで政策化したというので、なんだかパクられたような気になった駒崎さんは一時落ち込んでいたのだとか。
すると福祉の道の大先輩から、「福祉政策なんて民間の人たちがいくつもトライ&エラーを繰り返してそこから選ばれたものが今日政策化されて当たり前になっている歴史があるのだから、政策化されたことをパクられたなどと落ち込んでいてはダメ。政策化されて日本中で助かる人が出ることを喜ばなくちゃ」と慰められたんだとか。どっちもすごいですね。
その後この制度は片親で収入の少ない人向けのパックなども作られるなど、駒崎さんの新たなビジネスモデル構築の活動は止むところを知りません。
こうした活動が認められて、今では政府の内閣府特別非常勤公務員として政策実現にも関わられているのだそう。実にすごい若者です。
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しかしながら、彼自身の目の届く活動はやはり都内から千葉県くらいまでに限られていて、もし自治体などで興味があれば丁稚奉公を受け入れて、システム立ち上げのコンサルティングもできますということなので、地方の自治体にも朗報です。
ところがこういう動きに対して、NPOとの協働などに市町村はまだまだアレルギーがあってなかなか協力的になってくれないのが悩みだとか。うーん、まったく自治体ってどこまで頭が固いんだか。
講演後に質問をしてみましたが、病児保育だけではなく、保育園の待機児童などの問題に対しても実は強力なプランを立ち上げる準備中なのだとか。これは楽しみです。発表は近日中と言うことなので、駒崎さんの活動にはこれからも注目です。
子育てや保育に悩んでいる自治体の方はぜひアンテナを高くして欲しいものです。
http://www.florence.or.jp