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掛川から冊子が届きました。タイトルは「心のスイッチ~kinjiro's way」とあります。
掛川には明治時代以来、二宮尊徳(幼名金二郎)の教えを体系立てた報徳思想が社団法人大日本報徳社の本社という組織と、報徳社の木造による講堂という建築物という形で強く残っています。
二宮尊徳は江戸末期の農村経営アドバイザーとも言うべき人ですが、古今の書物や神道・儒教・仏教の良いところを取り入れて融合発展させた独自の報徳思想によって人心を鼓舞して飢饉で苦しむ幾多の村々を救済したことで知られています。
掛川でのその思想性は、集落によっては日曜日に人々が集まる「講」が開かれることで残されているところもありますが、さすがに今日は教養の分野の範囲に狭まっているのも事実。
しかしこうした報徳ゆかりのものが地域に残っているというのは貴重な文化的資源だということは疑いのないもので、これをいかに上手に魅力として高め、さらには住民達の絆を深めることに役立つのかという取り組みが大切なところです。
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掛川市でもこの資源性を活かす活動はいろいろと行われてきましたが、今回は地域の商業者を中心に、交流が他産業を推進するために立ち上げた「交流型産業創造会議」がこの報徳の教えを、もっと分かりやすく知らせる工夫をして冊子を作ったというわけです。
報徳の教えは古典的なところでは「二宮翁夜話」などもありますが文章量も多く、取っつきにくいところがあるのも事実なのです。
今回の「心のスイッチ」と題された冊子では、尊徳先生が語った多くのたとえ話から26編を選び出し、それを学生のミサコさんと叔父のキンジローさんとの会話形式で伝える工夫がされていてとても分かりやすくなっています。
報徳の教えで代表的なものに「積小為大(せきしょういだい)」という言葉があります。大きな事も小さな事の積み重ねによって成し遂げられるというものです。
これを表した第五編はこんな感じ。
田植えをしたことはないけれど、
地道で大変そうだよね。
でも一本一本丁寧に
苗を植えることによって
着実に面積も大きくなっていくんだ。
1,000坪に植えられた田んぼだって
始まりは一本植えることからか。
そうなんだ。どんなことでも、
始めから大きくはない。
小さな事の積み重ねが、
次第に大きくなっていくものさ。
イラストには《大きな事は小さな事の積み重ね》とありました。
興味のある方は事務局のある掛川市の商工会議所へお尋ねください。
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