北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

市役所まるごとコーチング

2011-07-20 23:45:29 | Weblog
 市役所の最大の資源は人材。様々な形での職員研修が行われていますが、釧路では今年からコーチングという手法を取り入れることとしました。

コーチングとは、「相手の中にある可能性を引き出し、自発的な行動を促進させ、その人の夢や目標の実現をサポートするコミュニケーションスキル」のこと。

 一般的にはスポーツ指導などの分野で行われることが多いのですが、コミュニケーションを通して、相手のやる気、自発的な行動、能力を引き出し、対話を重ねることを通じて、クライアント(コーチングを受ける対象者)が、目標達成に必要なスキル、知識、考え方を備え、行動することを支援し、成果を出させることができれば、市役所などの事務作業においても活気あふれる職場になることが期待されます。

 市役所では部長、課長、課長補佐、係長、係員までほぼ全階層にわたってこの研修を受けることとして、「釧路市役所まるごとコーチング」という形で職場の活性化を図ることとしました。

 今日はコーチングを全面的に指導していただく小川安夫先生にお越しいただいて部長級を対象としたキックオフセミナーを開きました。これから自分たちが、そして部下である課長や係長がどのような研修を受けるのかを知っておくためです。


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 コーチングの目的は、単に目標達成のために叱咤激励をしたり、話し合ったりするためだけの行為ではありません。その究極の目的は『行動の変容』を促すことにあります。

 そして、コーチが傍にいなくても、変化に際して何をすべきかを自ら考えて、行動を起こせる状態を作り出すことを目指すのです。


 そこで今回釧路市役所では、

①階層別研修でコーチングの基礎を学ぶ

②部長職以下を通年でコーチング実践研修を行う → 庁内コーチの育成を目指す

③釧路市役所丸ごとコーチングを導入して、市役所の組織活性化を図る

④市役所と市民が協働する『市民コーチ』を養成する

⑤全国の自治体に取り組みを発信する

 という取り組みをすることにしています。コーチングを学んでいる自治体は多いのですが、コーチングから出発して組織全体を活性化させようという取り組みは釧路市が初めてなんだそうで、成果に期待が高まります。

 小川先生は全国各地でコーチングの研修をしていますが、ある自治体ではコーチング研修を頼まれた際に、「問題の職員がいるから何とかして欲しい」という要請があったのだそうで、これは本末転倒だ、とおっしゃいます。

 コーチングの最終目的は、職員一人ひとりの意識改革能力向上にあるべきだからです。


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 さて具体的には、コーチングとは、上司が部下後輩の指導育成のためにおこなう相互の関わりの中で、対象者の目標達成、問題解決、技能向上を促進するコミュニケーションであり、何よりも最後には本人に『行動の変容』を促すことを強く期待しています。相手の中にある可能性を引き出し、自発的な行動を促進させるスキルこそがコーチングということです。

【コーチングの前提条件】 

 小川先生はコーチングの前提条件として、次の二つを信じようと言います。

①人間は誰もが無限の可能性を持っている。
②答えは相手がその人自身の中にある。

 ①では、その人間は可能性を最大限に発揮することを望んでいると信じることが大切です。また②でいう「答え」とは、ある目標を達成するのに、その人の能力や特徴を最も有効に発揮する方法のことで、それはその人本人がもっていて、それを引き出すことが大切なのです。。


 部下の指導と言うと、ともすると一方的に答えを教えてしまう『ティーチング』になっていることが多い、と小川先生は言います。答えを教えられることに慣れてしまうと部下は答えが与えられることを待つようになってしまいます。これでは主体性が芽生えません。

 そこでコーチングによって部下が持っている答えを問いかけを通じて引き出し、部下の自主性につなげる方が良いのです。


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 コーチングの基本としては小川先生は三つの漢字を示しました。「信・認・任」の三つです。

 「信」とは、人間に対する絶対無条件にその可能性を信じよう、ということ。

 「認」とは、人間としての尊厳を認め、人は皆違うということを認めて、持ち味を認めて活かそう、ということ。

 「任」とは個性に応じた任せ方をしよう、ということ。

 最終的にコーチングとはテクニックではなく人間観の問題になりそうです。上司として部下をどう見るか、その可能性を信じているか、ということになりそうです。


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 コーチングには「効果的な問い」が命です。

 人は、自ら発見した答えによってのみ生き生きと前進出来るのです。まさに、自分の答えこそがやる気の元であり、そんなメンバーが多い組織は生き生きしてくるに違いありません。

 最後に小川先生からは、特に上司たる人たちには、部下が積極的に取り組めるように「スポンサーシップを発揮してほしい」とおっしゃいました。

 スポンサーシップとは部下に自分はコーチングを理解しているというメッセージを発すること。

 そのメッセージとは
・あなたがコーチングを導入してチームを活性化することが可能だと信じている
・あなたにはその能力があると信じている
・そんなあなたに私は気づいている。私はあなたを見ている。
 という内容の信頼のサイン。


これからは挨拶代わりに「コーチングやってる?」と訊いてみることにしようと思います。

 職員が常にそのことを思い出すように。
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