稚内からの帰り道。どうしてもサケ釣りへのリベンジ心がやむに已まれず、早起きをして猿払の港へと向かいました。
早朝の港は隠れるものもなくとにかく寒い。時々雪も混じる強風で、雨がないのが唯一の救いでしょうか。
朝五時ではまだ暗いというのに、ケミカルライトを備えたウキを使って数人が竿を入れています。しかし反応はまったくありません。
湾内ではときおり黒くなりかけのサケがバシャバシャとライズをしていて、サケがいるのは分かりますがここまでになるともう餌を食べる確率がとても低くとにかく釣りづらいのです。
二時間くらいやっても私の竿には一向に反応がありません。こんなときは、同じく釣れていない人に話しかけて情報を仕入れましょう。
「こんにちは、どんな感じですか?」「釣れない、ははは」
ひと声かければもう同じ気持ちの同志です。
「さっきこの辺で誰か釣れていませんでしたか?」
「ああ、二本かけたけど二本ともばらして(逃げられ)たね」
「まだこの港にはサケがいると聞いてきたんですが、やっぱり難しいですね」
「ここの港も、来年から釣り禁止になるかもしれないっていうよ」
「ええ!?どうしてですか?」
港での釣りが禁止されると、楽しみが奪われてしまいます。どういうこと?
「札幌ナンバーの連中が来て、場所取りをするのにロープを張っていたんだってさ。それに漁師が足を引っ掛けたというので、マナーが悪いのに見かねてきてんだよね」
「それはいかんですね」
「この間も、港でバーベキューしてる人らがいたってさ。釣りはレジャーなんだろうけど、場所を選ばないとなあ。漁師がナンバーを控えて、『出入り禁止だ』みたいなことになったみたいで、地元の友達も迷惑がってたわ」
マナーが悪いと、いろいろなところでトラブルが起きますね。
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海外からの観光客の爆買いが収まってきた、という報道がありましたが、ただ買い物をするだけの観光から体験重視型の観光ニーズが増えているのだとか。
道内を自転車で走るとか、登山をする、ドライブをする、などといった体験が新しい魅力になるでしょう。
そんななか、私は体験型観光の一つとして北海道での釣りがあるだろうと思っていて、釣る場所、体験メニュー、道具の用意、ルールや約束事、ガイドスタッフの充実などといった、ニーズの受け皿づくりが必要になってくるでしょう。
そしてそのためにはルールやマナーの確立と、利害関係者間の調整主体や人材などが必要になってくると思います。
たかが遊びですが、されど遊び。誰かにとって面白いものは、それを求める人がきっといるはず。なんでも観光コンテンツになる時代っておもしろそうですが、社会的な受け入れ態勢、受け入れマインドなども備えるにはまだまだ時間がかかりそうです。
さて、今年のサケ釣りもこれで諦めと踏ん切りがつきました。頭を切り替えて、違うターゲット狙いで行きましょう。次はイカだー!