昨日、報徳について講演をして感心されたのは、残り時間3分でちゃんと終わらせたことでした。
私の場合は作ったスライドに対して、一枚で何分話すかのイメージを決めていて、何枚目が終わったところで何分が経過するかのイメージを持っておきます。
例えば下図のような感じで、これだと10枚目が終わったところで16分が経過する、という進行表を作るのです。
昨日は全部で32枚のスライドを用意して、これで53分の進行表をつくりました。途中半分くらいまで進んだ時に、3分ほど遅れていたのですが、それを残りで調整して最後には終了時間をきちんと合わせて終わります。
「あれは5分伸ばしてください、と言えば、簡単に延長もできるのですか?」と訊いて来た方がいましたが、それも可能です。
講演をするときと言うのは、1分、2分、3分、5分とそれぞれの時間で話すエピソードの引き出しから話題を取り出して話をしてそれを積み上げる作業です。
だから、一枚のスライドが2分の割り当てだとしても、そこに2分の話題を引き出しから追加して取り出せば、4分の話ができるというわけ。また、そのぎゃくをすれば、4分話す予定を2分で切り上げることもできるのです。
こうやって、引き出しから何分の話題を出したり引っ込めたりするか、ということを、全体の進行イメージと突き合わせて時間調整をする、ただそれだけのこと。
つまりは、一話が何分間かかかるエピソードをどれだけ多く自分の記憶の引き出しに入れておけるか、ということが一番のポイントで、そのためには、一枚のスライドで、何分でも話せるくらいの話題を仕入れておくことが大事なのです。
鍵は引き出しです。
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その「引き出し」でもう一つ思い出したのは、「釣り」です。
釣りに行って釣れないときは、(どうやったら釣れるのか?)と考えて、自分の経験と言う引き出しから様々なやり方を引き出して試してみます。
「餌が悪いかもしれない」「誘い方が違うのかもしれない」「錘が悪いかもしれない」「なんといっても、魚がいないのかもしれない」
でもそれに対して、餌を変えたり、誘い方や錘を変えたり、魚群探知機で魚がいるかどうかを探せばよい。
つまりは、釣れるためにできることを自分の記憶の引き出しから取り出して試してみることが大事なのであって、自分の引き出しに経験や試すことのできる技が入っていなければ、お手上げになるというわけです。
これこそまさに場数を踏んだからこそ得られる経験という財産であって、趣味も長年にわたり、一生懸命に深めてこそ得られるもの。
つまりは経験と事前準備がどれだけできているかが、本番では生きるという事なのであって、「亀の甲より、年の功」というわけですね。
さて、事に当たって自分はどれだけの引き出しを持っているでしょうか。一瞬一瞬を真剣に生きないと、引き出しは増えませんよ。