先週金曜日の釧路出張に加えて、今週は昨日から函館出張。
今日の午後に職場へ戻りましたが、二日間席をはずしていると、こういう時に限ってたくさんのメールが押し寄せていて、処理に追われました。
なかには、ほんの一言伝えておけば良かったことをなおざりにしたために、迷惑をかけてしまったことなどもあり、「その一言」を大事にしないといけないなあ、と反省しきりなのでした。
さて、ここ二週間にわたって道内数カ所で、会員企業の企業活動最前線の課題や問題点をヒアリングして回りましたが、最も深刻なことは「若手社員採用問題」のようでした。
「そもそも若い人が会社に入ってこない」、「せっかく入ってくれても辞めてしまう」、「関心は給料よりも休みが取れるかどうか」といった声に、ほぼ皆さん一様にうなづいておりました。
ある会社社長は、「この春にとっても良い若者が入社してくれたんです。これは大事に育てようと思って、4月、5月、6月と、週休二日で過ごさせました。
さすがに7月は仕事が忙しくなってきて、ある金曜日に、『申し訳ないけれど、明日の土曜日の午前中だけ作業の手伝いをしてくれないかな』と言って返したところ、翌日の土曜日の現場に、待てど暮らせど彼が来ない。
(どうしたのかな)と思っていたら、その子のお母さんから電話が来て、『お宅の会社は週休二日ではないんですか。それならばうちの子は働かせられません』と言って、とうとう本人と話すことができないままに、その子は辞めていきました。いい子だったんですがねえ…」と嘆いていました。
週休二日を求める若者の仕事観、人生観が悪いのか、それに合わせられない建設業界の仕事観が悪いのか、はたまた、とはいえ天気が悪ければ平日でも仕事にならないという暦とは関係のない仕事条件という前提をどう考えるのか。
悩みは深まるばかりです。
そうしてその一方で、建設業と言うのは正社員だけで成り立っているわけではありません。下請け企業の協力も必要で、作業員の方の多くは『日給月給』という、働いた分がお金になる、という給与体系です。
だから、そういう人たちは休みよりも仕事に出させてもらった方が良いし、週休二日を強いるという事は、月給が下がるという事を意味します。
それでも生活を守ってやろうとすると、一日の給与水準を上げてやるしかありませんが、ではそれに従って工事代金が多くもらえるという事にはなりません。
経営者としては、社員に対して給料で報いてあげたいけれど、負担の増加と会社の経営という相反する課題にどのように折り合いをつけるかが頭の痛いところです。
ある会社社長は、「この若い新規採用者の人手不足の問題は、あと5年くらいの間には大きな問題になってくるようなところまで来ていると思う」と深刻に捉えていました。
もっと企業は収益をあげられないのか。
労働者の休日を含めた福利と安定した収入をどのように両立させればよいのか。
一企業、一業界だけの問題ではなく、社会制度としてどのような対応があるのか、そろそろ真剣に考えて行動に移してゆかなくてはいけない時期が近づいています。
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