北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

嫌な奴とも折り合いをつけるのが成熟した社会なんだが

2017-08-16 23:28:59 | Weblog

 一生懸命原稿を2本書き上げて、関係者に「ちょっとご覧になってご意見ください」と一言添えてメールをしても、ほとんど誰からも返事がきません(笑)。

 世間はどうやらお盆休みの真っ最中のようです。

 
         ◆ 


 アメリカのバージニア州でで白人至上主義者の集会とそれに反対する人たちとの衝突で死者が出た、というニュースがありました。

 この話を聞いた時は、トランプ支持者とそれへの反対者のぶつかり合いなのかな、という印象でしたが、ネットにこの事件の背景が詳しく述べられている記事があって、感心しながら読みました。

【町山智浩 バージニア州白人至上主義者集会の衝突事件を語る】
 http://miyearnzzlabo.com/archives/44675

 こういうちょっと掘り下げた情報は、テレビではなかなかやらないし、新聞でもやってくれない。

 ネットには"フェイク・ニュース(嘘、デマ情報)"も多いけれど、その一方で、時間と空間の制約を超えて、こういう記事にたどり着くことができるネットの世界が広がるわけですな。

 記事の中にもありますが、もともとトランプ大統領は人種差別主義者ではないのに、今回は選挙に勝つために差別的な人たちの気持ちを利用した、というところが罪深いと思います。

 世界がまだ狭いうちは、その小さな世界を支配する支配者がいること社会はまあうまくいくのですが、世界が広がって、自分の支配が及ばないという事を知るようになると、いかにその他者とうまく付き合ってゆくべきか、ということを考え、それを果たすことで平和や安定的な日々の暮らしが実現できるようになります。

 そのために大事なことは、世の中には嫌いな奴もたくさんいるけれど、それらすべてを排除することはできない、ということを知ること。

 だから悟りを開いて自分を変えましょう(修己)、という仏教だったり、一方自分も変えながらそんな相手をいかにうまく相手にするかを説いた(治人)のが儒教だったりして、まあ東洋思想は歴史がある分、嫌な奴とうまくやらなきゃだめだよね、という思想がずいぶん昔から説かれています。

 それに比べてアメリカはまだ歴史が若い分、国の精神としては幼さが残る印象で、それでも一生懸命努力して、「やっぱり差別主義はだめだ」ということを共通認識にしようと努力している姿勢が垣間見えます。

 まあその理由の半分は道徳的・宗教的に真理だと思っているようですが、半分はその方が経済がうまくいくということのようにも思えますが。

 
          ◆ 


 で、わが日本も、礼節の整った東洋の辺境のユートピアのようにも思いますが、歴史的には国の行く末の方向性にしばしば間違いを犯しているし、それを見つめなきゃダメですよね、というのが、この記事。

≪【終戦の日】「日本が失敗するパターン」とは 歴史家・磯田道史さんと近現代史をひも解く≫
 http://www.huffingtonpost.jp/2017/08/14/michifumi-isoda-01_n_17754754.html

 

 対談相手の磯田道史さんは、今回「『司馬遼太郎』で学ぶ日本史」というご本を上梓されたとのことで、その内容に触れたものですが、日本人がうまくいくパターンと、失敗するパターンがあるという下りは興味深いポイントでした。

 やっぱり「国を挙げて感情的になったときは失敗する」というのが一つのパターンで、そういう意味でも、皆が熱くなっているときにはわざと反対のことを言ってみる勇気が必要かもしれません。

 山本七平さんは、そんなみんなが同じ方向へ向く雰囲気を「空気」と呼び、「空気に対抗するには水だ、水を差せ」と言っていました。

 つまりは、時分と反対の意見にも耳を傾ける余裕があれば大丈夫で、そういう余裕がなくなると危ないな、ということ。

 お盆で世間が静かな間はじっくり本でも読みたいところですが、まだ原稿が3本残っているしなあ。

 早く仕上げなくては。

コメント
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