先日、ジャイカ(JICA=国際協力機構)の事業で北海道内の舗装について中東からの研修生を受け入れているというAさんから一本の電話がありました。
「実は今回の研修で道内の舗装について説明を受けた際に、常温合材について興味をもった方がいました。興味というのは常温合材が自国で使えるのかどうか、ということでした」
皆さまご承知のように、わが社は水で固まるアスファルト合材のマイルドパッチという商品を売っているのですが、研修のなかでそれを目にしたようです。
「それで、どういうことをお知りになりたいのですか?」
「はい、基本的には中東では北海道よりもずっと気温が高くなるものですから、そんな高温の気象条件でも仕えるのかどうか、ということが一つ。
また、中東で欲しいとなったときに輸出したり現地で調達することができるのかどうか、ということも知りたがっていました」
そこで早速資材担当に話を伝えて、資料が整った今日、早速説明に行ってきました。
結論から言うと、高温の環境下での試験では60℃の温度でも強度に問題はないという試験結果がありました。
また中東で調達ができるかどうか、という点では海外との資材の輸出入を扱っている航空系商社があるので、そこに問い合わせてもらうように話をしました。
「それにしても、こういう素材に興味を持たれるというのには、なにか理由があるのでしょうか」
どうして研修生が常温合材に興味を持ったのかを知りたくてそう質問をしてみました。
するとAさんは、「実は中東にはまだ戦闘が続いている地域もあって、爆弾などで舗装が痛むことが多いようなのです。そこで被害を受けた道路などの舗装の修復にこの資材が使えるのではないか、という問題意識があったようなのです」
なるほど、平和な日本では使っているうちの老朽化が問題だと思っていたのですが、それ以外にもインフラが痛んでしまう要因として紛争や戦闘があるとは。
日本が平和であることを改めて幸せに感じるとともに、我々の技術が困っている人たちの救いになるのであればこれほど喜ばしいことはありません。
技術は人々の暮らしを救えるということを信じましょう。