元公園緑地課長で少し前まで「公益財団法人東京都公園協会専門アドバイザー」として、都市公園の活用促進を訴えてきた町田誠さんの講演がありました。
タイトルは「元気で美しいまちのために公園ができること」というもの。
基本的な問題意識は、
① 現代の都市公園行政が時代の変化や求めに応じきれていないのではないか
② このままでは管理費ばかりかかって役に立たない公共施設だと、行政トップの首長はもちろん利用者からも思われてしまうのではないか
③ そうなってしまうと、今まで通りの維持管理や再投資をしてまで残しておくべき施設ではないとして、都市公園は衰退してゆくのではないか
④ 実際には法律や条例はかなり柔軟な対応ができるように作られており、都市公園を利活用した先進的な好事例は多いのに、そこから学んで自らのまちの課題を解決しようとする自治体は少ない
⑤ そういう事態になっている原因は、かつて求められた公園管理ルールが現代社会の現実と乖離してしまっているのではないか、という想像力が欠けているせいではないか
⑥ 公園が周りから浮いてしまっているクローズドな空間ではなく、まちに開かれて問題課題を解決できる空間になるように努力して欲しい
…というあたりのことであります。
私も全くの同意見ですが、なにしろ町田さんは全国を駆け巡って現場に触れ、同じ思いの人たちと膝を交えて意見を交換しているので発言の重みが違います。
実際、町田さんが吠えている以上に全国津々浦々で彼と同じように公園の可能性に気が付きながら公園自体が動かないということに切歯扼腕している人たちが実に多いのだと。
そして悔しがっている人たちと言うのは、建築家だったりまちづくり家だったり民間のデベロッパーだったり、要は公園屋・造園屋以外の人たちがその可能性を感じているのに、肝心の中にいる人たちがタコつぼに入ってしまって、外に打って出ようとしていないように思える、というのです。
もちろん町田さんは、他の公共施設に比べるとはるかにクレームの数が多いのが都市公園で、実際に公園を管理する人たちの苦労も生半可なものではない、ということもご存知です。
しかし、過去に一度決めたルールを見直すこともなく、「ルールだからダメ」と言っていれば管理が楽になる、というところに留まっていては都市公園は駄目になる、という焦りが彼を突き動かしています。
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札幌市では、長く冬期に住宅や街路の雪を公園に運んで捨てることは認められていませんでした。
それがここ数年、ようやく市と町内会が協定を結んだり、独自のルールを作ったりして、冬の住宅地の雪を公園が受け入れるようになってきました。
私は30年来、冬の雪は雪国の都市の最大の課題なのだから、それを都市公園が受け入れて負担を軽くすることこそ、都市施設の果たす役割だと考えてきましたが、こうしたことも時代の流れによって少しずつ認められ当たり前になってきた事例の一つでしょう。
講演を終えた町田さんにそっと近寄って、「今日のスライドでは雪国の好事例がなかったように思えるので、夏と冬で使い方が変わってしまう雪国の公園の事例も調査・研究してみてください」とお願いをしておきました。
ただやはり、彼の話に刺激されて、雪国の技術屋こそが提案をしたり行動を起こすことが大切です。
雪国の公園が、『元気で美しいまちのためにできること』はなんでしょうか。
大きなテーマです。