先日実家へ行った時の話の続き。
そろそろ寒さも厳しくなってきてストーブに日が入る季節になりました。
実家はこの10月にリビングに冷暖房エアコンを設置、それも一台で一階の部屋全部を冷やし、かつ暖められるというくらいの強力なエアコンを設置しました。
10月に入れたのは、9月までが暑くて暑くて「もう我慢ならない」ということで冷房用につけたのですが、設置してもらった頃にはもう冷房は必要なくなっていました。
しかしそのときにもう母が、「今までの暖房だと冬が寒くてさ」というので、電気屋さんと相談して、冬の暖房としてもしっかり使えるようなものにしたのです。
先日実家を訪ねた時に、「もうエアコンの暖房は入れているの?」と訊いてみました。
すると母は「いや~、いいわ。やっぱり暖かいわ」と大絶賛。
今までは暖房の吹き出し口の回りしか暖かくならず、隅っこは寒いために煙突のないポータブルの灯油ストーブを焚いて暖を取っていたのです。
「灯油を入れなきゃいけないから大体毎日爺ちゃんに入れてもらうんだけどしょっちゅうこぼすしさ(笑)」
おまけに玄関に置いてあるポリタンクの灯油がなくなるものですから私もしょっちゅう「灯油買ってきて」と車で灯油のお使いに行ったものでした。
「もうそういう苦労をしなくてすむよ。暖かい風も部屋の中をぐるぐる回るから、隅まで暖かいし、いやあ、つけて本当に良かったわ」
「でしょう!もっと早くつけていれば苦しいのを我慢しなくてもよかったんだよ。そういう不満はもうお金で解決しなさいって」
「そうだねえ」
◆
ふと見ると壁の時計が少し曲がっていました。
気になってひょいと直すと母が、「そうそう、その時計がさあ、進んで進んでひどいから下して直したんだよ。時計が進みすぎないように調節ってできないのかい?」
時計にも不満があるようです。
「時計もね、最近は電波時計っていうのがあって、電波を拾っていつも針が正確な時刻を表示するというのがあるよ。買ってこようか?」
「それもお金で買えってかい!(笑)」
実際、時計が進んだり遅れたりする不満も良い時計を買えば解決するはずです。
コンロの生火とか火事やけがのリスクなど、歳を取ってから棄権になるようなことはお金で解決するほうが良いです。
しかし心のどこかで、(少しは身の回りに不便や不満の種を残しておくほうが心が動いてボケ防止になるのじゃなかろうか)という気持ちもあるのです。
何から何まで不平・不便・不満をお金で解決するのも、やりすぎない方が良いかな、と思います。
息子がまだ何かを助けてあげられる余地も残しておくほうが良いのかもしれません。