昨夜は別府市内のホテルに泊まって今日は昨日お訪ねした先輩に別府周辺観光のガイドをお願いしました。
実は先輩は生まれ育った別府に戻って共同浴場を再建する傍ら、自らは地元の観光ガイドの集まりに参加しておられるのです。
「高崎山のサルは見たことがありますか?」
「別府は初めてなのでもちろんありません」
「じゃあまずそこから行きましょう」
ということで実は市域で言うと隣の大分市に属する高崎山自然動物園、いわゆるサル山へ行ってみることにしました。
お猿さんが見られる場所は「サル寄せ場」と呼ばれていて、要は餌付けの餌を撒くことでそこにお猿さんを寄せられることになっています。
入り口で料金を払ってから、モノレールに乗ってちょっと高いサル寄せ場へ向かいます。
事前に注意されていたことは、「目を見続けないこと」「餌をあげないこと」などで、それさえ守ればサルは人間を関わりのない無害な存在として気にしないのだそう。
実際、サル寄せ場に来てみると、サルと人間を隔てる境界はロープ一本で、人間が踏み込み過ぎないようにしているもののサルの方は人間の周りもお構いなしに動き回っています。
見ているうちに餌撒きの時間となると山からもわらわらとサルが下りてきます。
それから女性のスタッフが餌を撒くとサルたちがその餌を拾い始めます。
実はお猿さんたちは後ろの高崎山を根城にしているので山の中でも餌を取れるのですが、30分に一度撒かれる麦粒をおやつくらいの感じで拾って食べることを覚えてこのサル寄せ場に下りてくるのだそう。
金網も水の堀もないなかで保たれている野生動物と人間との関係性。
実はすごいことなんだな、と改めて感じました。
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お昼になると「今日はぜひ『地獄蒸し』味じわってもらいますよ」とのことで、一度先輩の家によって用意された食材を持参して地獄蒸しのお店に向かいます。
お店は別府市の北部側にある鉄輪(かんなわ)温泉の一角で、地獄蒸しとは地下から噴き出る温泉の蒸気をかまどのようなところに集めてそこで食材を蒸して食べるというもの。
持ち込んだ食材をお店の方に見せると、「これは6分」「これは10分」「これは15分ですね」と適切な蒸し時間になるように食材を四つの蒸篭に分けて乗せるように教えられます。
それを金網の籠に重ねて蒸し穴に入れて蓋をします。
これで後はタイマーで時間が来るのを待つだけ。
時間が来たら蓋を開けて籠を取り出して、蒸し時間になった蒸篭だけを取り出して食べるというものです。
芋などの根菜、魚介、お肉、地元名産の肉厚シイタケ、ゆで卵に茹でバナナなどをこちらも地元名産のカボスポン酢やカボス塩、柚子塩などでいただきます。
余分な脂が落ちて、少し塩気のある蒸気で蒸された食材は甘みが増しておいしくいただきました。
温泉地別府ならではの蒸気を使った料理とは名物感もひとしおです。
実はこの地獄蒸し、昔は湯治をしたお宿でだけ食べられるやり方だったのが、お店で食べられるようになって人気になったとか。
今では市営の地獄蒸し施設もあるようですが、予約ができないので待ち時間が計算できないそうです。
一日だけでは巡り切れない別府の名残はいつか次の旅の時まで取っておくことにします。
自分の自慢の町を案内できることの魅力を改めて感じました。