こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『育休刑事』似鳥鶏

2020-04-07 19:46:55 | 読書感想
 
県警本部捜査一課、第七強行犯捜査四係所属、秋月春風巡査部長は、育児休業中に、なぜか質屋強盗事件の現場にいた為に巻き込まれ、人質の状態でありながら、こっそり110番通報する破目になった。

その後も、トリックを使った殺人未遂事件や、捜査一課長を標的にした爆破予告などを、子育てを暇だと勘違いしている石蕗係長に子連れで現場に引っ張り出されては、捜査する事となる。
唯一、捜査一課長だけは、休業中なのにと気遣ってくれるのだが・・・。

絶賛、乳児成長中の蓮くんと、妻の沙樹さん、そして何かと首を突っ込んでくる某大学の准教授であり医師の姉と共に、事件を解決していくというこの物語。

いくら機嫌が良いと言っても、乳児の蓮くんを捜査現場に連れていくのを、普通の警察は認めないでしょう?という突っ込みどころはともかく、事件解決の過程も面白く、蓮くんの成長を楽しめ、いくつかの子育てのノウハウや注意点など、ためになるミステリです(本当か?)

そこの育休中の男性!だからと言って、読んでいるのはどうでしょうか?
お宅の赤ちゃんの無事を確認してくださいね♪
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『絶対猫から動かない』新井素子

2020-04-03 20:03:43 | 読書感想
 
ある日、地下鉄で乗り合わせた女性が昏睡状態に陥った時から、夢を必ず覚えているという大原夢路を中心に、同じ夢を見続けるようになってしまった。

調べていくと、原因が「三春ちゃん」という人の生気を餌とする妖怪にある事が分かる。
どうやら、地下鉄に同乗していた中学生のうちの一人が餌となり、亡くなってしまったようだ。
他の夢を見ようにも結界が張られている上に、昏睡した人は無意識に結界を張るらしく、結界が二重になり、三春ちゃんにも解けなくなってしまったという。

三春ちゃんと目を合わせた人は、自動的に目を離せなくなり生気を吸われてしまうのだが、なぜか平気な夢路を中心として、結界から逃れる術を考えてみる。

昔の作品『いつか猫になる日まで』の50歳代版だそうです。
なるほど、20歳代の頃よりも守るものが増えますし、身軽な行動はしにくくなりますよね?
一方、色々な経験を積み重ねた事で、若い頃には分かりにくい心の機微も分かるようになってきますし。
逆に、若いからこそできる「ぺち」もあります。
あのシーンは、微笑ましくて好きです。

他には、市川さんの啖呵とか、村雨さんの洞察力と空気の読めなさとか。
何と申しますか、素子さんが登場人物みんなを愛しているのが、ひしひしと伝わってきました。

初めにページをめくった時、素子さんには珍しい二段組に驚きましたが、休日の日中を使えば読了できました。
皆さんも、二段組を敬遠しないで読んでみて下さい。
文体は読みやすいですし、少しずつ読んでいっても何とかなります。
646ページなので、持ち歩きに向かないのが残念です。
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イラスト集『三原順 All Color Works』

2020-04-02 20:06:22 | アニメ・コミック・ゲーム
 
今日、本屋さんに注文していたものを、受け取ってきました。

三原順さんの作品の中で私にとって一番なのは、やはり「はみだしっ子」なのですが、「花とゆめ」を購読し始めたのが、最終巻までは行かないまでも近い状態だったので、雑誌でのイラストをほとんど拝見していません。
そういう意味では、今回、購入して良かったです。

で、私はグレアム推しですが、アンジー、サーニン、マックスも大好きだったりします。
アンジーのフ―ちゃんに対する思いだとか、サーニンのクークーを守ろうという気持ちとか、いいですよね?
ただ、クークーに関しては、当時の自閉症についての考え方が、後天的な病というものだったため、今となっては引っかかる面もあります。
かと言って、作者が亡くなってしまっては、どうしようもありません。
問題は、舞台化で変な認識を若者たちに植え付けそうなところなので、あのエピソードは辞めて欲しいです。
素敵な初恋物語ではあるのですがね。
お願いしますね「Studio Life」さん。

話が本題から外れましたが、他に、様々な漫画家さんや小説家さんなどのトリビュート・コメントも、面白かったです。
しばらくは、引きこもり生活にいくらかの潤いがありそうです。
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『コンビニたそがれ堂 花時計』村山早紀

2020-04-02 19:44:19 | 読書感想
 
風早の中心を流れる真名姫川。
その遊歩道の柳の木の下に住む、若い青年の幽霊。

今回の3作品の中で、一番気になった人物です。
子だくさんの家庭で影が薄い存在で、器用貧乏であったが何でもこなせたので、心残りも無いはずだと語る彼。
そんな彼が、たそがれ堂に向かうほど心動かされた、あらゆる面で優秀なだけでなく、人間的にも優れた大学生の青年。

助けようと思ったのは、世界を託するに値する人物だから?
幽霊は、何かしたかったのだと感じました。
形になってもならなくても。

他の2編も、温かい中に、寂しさと切なさを内包した作品です。
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