こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『スープ屋しずくの謎解き朝ごはん』友井羊

2020-07-07 20:24:20 | 読書感想
 
クーポンを載せているフリーペーパー「イルミナ」を作っている会社の社員・奥谷理恵は、掲載されている飲食店「スープ屋しずく」が、情報として載せていない朝営業をしているのを見つけ、試しに食べてみる事にした。

シェフの麻野によると、人見知りの娘・露もそこで朝食を摂るため、人が多くなって出入りしにくくならないようにと、朝は口コミだけで営業しているという。

第一話は、理恵の化粧ポーチが行方不明になった理由、第二話では、同僚の伊予も関わっての恋人の行方探しなど、初めはいくらか穏当に、だんだんと人の心の深いところに入っていくようなシリアスな展開のものになっていきます。

とはいえ、そういう中でも麻野の作るスープは人々の心を穏やかにし、一方で、推理は冴えていきます。
今のところ、殺人事件などの外的被害はありませんが、心の問題を扱い、見えない被害に踏み込んでいます。
温かく胃腸に優しいスープと、人の心の傷を思いやった物語で、続きを読むのが楽しみです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『魔女たちは眠りを守る』村山早紀

2020-07-03 20:16:52 | 読書感想
 
古い港町の港のそばの古い駅に、古めかしいデザインのコートとブーツを身に付け、大きなトランクを引きずるように降りた少女。
黒猫との会話からして彼女の名前はナナセらしい。
どうも、彼女が向かう先は、駅や繁華街からはやや遠い三日月町の三日月通りだったようだ。

ナナセは、近くでふらりと水路に来た少し疲れた女性書店員の心の迷いを引き留め、宿泊先のホテルで一緒にココアを飲む提案をした。
実は、その書店員の高校時代の束の間の同級生だったのが、ナナセだった。

他にも、宿の女主人の友が命を賭けて救った少年のその後の話や、祖母に連れられて「魔女の家」に来た少年の心の動き、月の裏側に隠されているものなど、夢があり、思いやりに満ちた魔女たちの物語が並びます。

ナナセって事は、筒井康隆さんの某作品の例にもれず、絶世の美少女だろうな?とか、色々思ってはいますが、個人的には、ここのところ色んな意味で疲れていた心が、いくらか癒されたように感じられます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『最後のクレイジー犬塚弘 ホンダラ一代、ここにあり!』犬塚弘

2020-07-01 19:51:31 | 読書感想
 
『図書室のバシラドール』の参考文献の1つであり、クレイジーキャッツのベーシストの方の人生記という事もあり、読んでみました。

ジャズバンド、コミック・ジャズバンドとしてスタートしたクレイジーキャッツの中にいらした犬塚さんが、何を考え、どのようにご自分の歩む道を選んで生きてこられたのかが描かれていて、とても面白かったです。

ただ、ずっと経済も含めて上向きだった事も、良かったのかもしれないなーとも感じてしまいます。
現代日本は、閉塞感が漂っていますし、色んな意味で下降していますから。
何とかしたいけれど、トップが一番無責任でやりたい放題で、しかも、ほとんどの有権者も見て見ぬふりというか、頑張っているとかばっているところを見ては、絶望するしか無い感じです。
権力者が法に反しながら甘い汁を飲んでいるところを、頑張っているからそこは長い目で・・・と庶民が見逃してきたから、今の政治家が図に乗ってやりたい放談なんじゃないですか?
そのうち、見逃した人々も含めてすべての民衆が、人権を奪われる日が近いと思ってしまいますよ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする