星のひとかけ

文学、音楽、アート、、etc.
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現実性・・・(前回のつづき)

2005-03-15 | 文学にまつわるあれこれ(ほんの話)
 どんな本でも思いを込めてページを開けば、そこに答えがある、、、
というのが、かつてリチャード・バックの『イリュージョン』にあったが、それは本当。
なぜなら、答えはすでに自分の中にあるから・・・

 ***

  人間をのせて天空を浮動するこの緑の地球上で、
  人間を支え喜ばすために、自然がそなえてくれる欠けることのない豊富なものを探求すると、
  人間の不幸などは、子供じみたむずかりのように見えてくる。
      (Ralph Waldo Emerson / Natureより「実利」について 斎藤光訳)

1830年代に「人間をのせて天空を浮動する緑の地球」を実感していたエマソンは素晴らしい。
・・そんなわけで開いた本に諭されたようです・・・いえ、私自身は自分に「不幸」を感じたことはない、、、本当に、未だかつて・・・。「子供じみたむずかり」は、、しょっちゅうの事だけれど・・

   しかしながら、美しいと見られ、感ぜられるこの「自然の美」は、
   美のうちで一番小さな部分である。一日のいろいろな眺め、露の朝、虹、
   山、花ざかりの牧場、星、月光、静かな水面に浮ぶ影、こういったものは、
   もしあまり熱心にこれを求めると、単なる眺めになってしまい、
   これが現実性をもっていないために、われわれは愚弄される。
        (同上 「美」について)

・・・たしかに・・・
自然に敢えて分け入ることで自然を得たと説く人の多くは、どこかで人間を、(自然を、ではなく)愚弄している、と私は思う。

・・・こういう事を考えている背後には、、、、明日、、、のことを考えているからなのです、、それはまた。。

リチャード・バック 「イリュージョン」
ラルフ・ウォルド・エマソン 「自然について」