星のひとかけ

文学、音楽、アート、、etc.
好きなもののこと すこしずつ…

R.E.M. on tour @日本武道館② Leaving New York

2005-03-21 | LIVEにまつわるあれこれ
武道館のLIVEのセットリストを見ながら、1曲1曲思い出して綴っていこう
なんて思ったら、とんでもなく長いものになってしまうことが判ったから、
好きな所から書いていく。別の事も書きながら、、、
これは音楽の話だけど、、そうでもない。。

「新しいアルバムからラブソングを」・・・とマイケルが言って歌い始めた曲。「Leaving New York」
あのギターのイントロ。一番聴きたかった曲。

 ***

R.E.M.の武道館公演の1週前、「新日曜美術館」でクリストを特集していた。
梱包アーティストとして知られるクリストが、ニューヨークのセントラルパークの遊歩道を、7500のサフラン色の布の<門>で飾るというもの。
パリのポン・ヌフ橋をまるごと布でくるんでしまうものや、日本の田んぼに何本もの巨大な傘を立てるような彼のアートは、余り好きではなかったけれど、<The Gates>は美しいと思った。そこをたくさんの人がくぐって、見あげて、散歩して過ごすことができるから。

伏見稲荷の千本鳥居みたいだね、、と言いながら、風に翻るサフラン色の映像をTVで観ていた。
上の写真は、私が此処、東京でまいにちまいにち見ている風景、、、本当にニューヨークみたいになったね、東京は。。私も、東京の公園を歩くのが大好き。It's easier to leave than to be left behind / leaving was never my proud / leaving new york never easy...

 ***

マイケルは、スタンドマイクの前で、じっと眼を閉じるようにして歌っているように見えた。。
そして、2番の歌詞、、、

  思い出は消え
  ガラスのように砕けた
  未来は頼りなく でも過去は忘れるんだ
  君がいることは
  確かだから

という部分だったと思う、、、それまで、着ていたスーツの上着をマイケルがかなぐり捨てて、ネクタイをふり解いて、それを放り投げて、、、
両腕を前に伸ばして、何度も何度も訴えるように、
前へ前へ手を伸ばして、、

  I told you, forever I love you forever I told you I love you I love you forever...

と。。。CDで聴いていた時にも歌詞カード見ながら泣いていたし、友だちに「あの部分を聴いたら絶対泣いてしまう」と言っていたけど、それ以上に、この静かなラブソングで、おもむろにスーツを脱ぎ捨てた姿に、、、尚更感動。
耳の悪い私は、泣くと自分の声で何も他が聴こえなくなってしまうから、じっとステージを観てるのに必死だった。

歌い終わったマイケルが、後ろの暗がりへ下がっていく。で、戻って来た手に拡声器! 
「Leaving New York」で胸一杯になっている観衆がどーーーっと沸く。「Orange Crush」。この晩のこの曲は、もう、U2の「Where the streets have no name」、クラッシュの「London Calling」に匹敵する曲になりました。
・・・ダカダカダッ!とドラムが終った、、、その後が凄かった。ウワーーっと湧き上がってくるどよめきと拍手。何か言おうとするマイケルが言葉を出せない。あとからあとから武道館中に割れんばかりの拍手が起って、何も聞えない。それが1分以上も続いただろうか。ただただ拍手の嵐。。。あんなのは初めてだった。素晴らしい光景だった。メンバー3人、いつまでも鳴り止まない拍手をじっと立って見つめて、、、小さくお辞儀をするように応えていた。
あんな美しい場面は、フジロックのパティ・スミスの、、、「Peace! Peace!」と会場中が叫んでいたあの時くらいしか私は知らない。

あれから、何度も、マイケルが上着を脱ぎ捨てる姿を思い浮かべる。この街の風景を見ながら、毎日毎日、R.E.M.を聴いている。・・・仕事へ行く途中、急にこの歌と、マイケルの仕草が蘇ってきて、電車の中で馬鹿みたいに涙目になってしまって困るのだけどね、、。

クリストとジャンヌ・クロードのアート<ザ・ゲート>のサイト>>