星のひとかけ

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もし天が空つぽであるなら… :『ニイルス・リーネ 死と愛』④

2019-09-14 | 文学にまつわるあれこれ(詩人の海)
ニイルス・リーネについて 前回書いたのはもうふた月前のことでした(>>

本は 8月のうちには読み終えているのですが、、 感想を書くのは 今度、 新訳として出版される 世界文学のシリーズ〈ルリユール叢書〉『ニルス・リューネ』 を読んでからにしたいと思っています、、

幻戯書房NEWS >>

 ***

読み終えて現在思っていること、、 少しまとめてみてもいいかな、とも思うのですが…
じつは なんと、、



↑240頁の次が 257頁… (苦笑)
、、糸綴の部分もしっかり止まっているので 抜け落ちたり破れたりしたのではなく、 製本の時から綴られていなかったみたいなんです。。 ニイルスと愛する人と親友と、、 その三者をむすぶ重要な会話の場面、、 十七頁ぶんが欠落しているので、 やっぱりきちんと読み直してから感想を書くことにしよう、、 そう思っています。

でも、、 なぜ 山室静さんが この作品に 『死と愛』という邦題をつけたのか、、 ニイルス・リーネ(ニルス・リューネ)にとっての 《愛》そして《死》とはどういうものであるのか、、 それは 不完全とはいえ読後の今、 私の中に形づくられています、、 光を見た後の瞼裏を照らす残像のような、、 何か不意に転倒しそうになったような (あるいはもっと鋭く… 銃弾がかすめた後のような) 驚きに胸郭を内側から叩く動悸のような、、 そんな すこしの衝撃と痛みをともなって…

 ***


194頁 のニイルスの言葉から… 

「だが、君は思ひませんか、」とニイルスは叫んだ。「何時か人間が高らかに『神はない』と歡呼できる日には―― その日には、まるで魔法のやうに、新しい天と地とが浮び上りはしないでせうか? …(略)… 


、、このあと ニイルスの言葉は長くつづきます、、


 … いま神の方へ向つてゐる愛の力強い流れは、もし天が空つぽなら方向を大地のほうへとつて、その愛の手で人間の高貴な本質や能力を守り育て、さうすることで我々の神性を見事に飾り立てて、それを我々の愛に値ひするものにまでしたことでせう。 …(略)… 人間がもし天国への希望や地獄への恐怖なしに、自由にその生を生き、その死を死ぬことが出来るとしたら …


まだ続きがありますが ここまでにしておきます。

5月に引用をした、 まだ最初のほうの部分で 子供のニイルスはこう叫んでいました、、

 「神様、待つて下さい、待つて! (『ニイルス・リーネ 死と愛』②>>


5月に、、この部分を読んだ時、 こう私は書いています、、
 「この病床に伏す女性の傍らでの 神様への祈りが、 そしてその結果が、、 ニイルスの神への信頼に、 その後の生き方に、 きっと大きな變化をもたらすことは想像されます。。」 と… 

、、あのときの幼いニイルスの言葉は たしかにここまで、 そしてニイルスの生涯を貫いて 繋がっていたのでした。。

 ***


今はまだ、、 この成人したニイルスの主張、 《神》や《人間の愛の力》というものに対する私の気持ちはまだ書かないでおきます。。 でも、、 子供のニイルスの叫び、 そして今度の大人のニイルスの叫び、、 それらには 私自身もたぶんずっとずっとちいさな子供の頃から感じ、 考えてきたことと やはりどこかで結びついていたのだと思っています。


もし天が空つぽであるなら、、

ひとは、、

そして 地上は、、

 ……


人の《愛》は、、?   そして《死》は、、



今も、、 今だから、、 


考えたい事です。。


 ***

 
〈ルリユール叢書〉『ニルス・リューネ』の発行日は まだのようですけれど、、 新しい訳と解説を得て、 今、この本が読める偶然? 《めぐり合せ》を、 しあわせなことと思って待っているのです…

 

 心やすらぐ連休になりますように…


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