10月のネタがいまだに続いてしまうんですが… Gary Numanさんの Pleasure Principle が出たのが 79年の9月。 同じ年の7月(? 日本盤のライナーの日付)に出たのが、 Television解散後の トムのソロアルバム。 原題は 「Tom Verlaine」と自分の名前がタイトルですが、 日本盤タイトルは 『醒めた炎』
このアルバムの中の 「Kingdom Come」が その翌年9月発売の David Bowie 13枚目のアルバム 「Scary Monsters」でカヴァーされました。 発売日が1年後なのだから、 レコーディングを考えたら、 トムのアルバムが出てほとんどすぐにボウイはこれをカヴァーすることにした、ってことになるんでしょうね。。
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スケアリー・モンスターズ、というアルバムは、、 前にもちょこっとだけ書いたことがあるけど、 私にとっては なんかボウイがそこで一旦 「終わった」 という感覚のするアルバムだったのです。 それは 「今」の感想じゃなくて、 当時の、 まだ十代真っ只中の少女の感想。 (いちおうボウイはジギー時代から全部レコードがあったから)
次が「レッツ・ダンス」で、 アルバムセールスとしてはとっても売れたんじゃないかとは思うんだけど、 ラジオでかかっていても、 レコードとしてボウイあんまり聴かなくなったし…
ゲイリー・ニューマンさんを改めて聴いてから、 こないだまたボウイの「スケアリー・モンスターズ」を聴いてみたのだけれど、 サウンドは何層にも重ねられててゴージャスだし、 ロバート・フリップのギターも唸っているし、、 ashes to ashes や、Fashion や、 今聴いても名曲なのは間違いないんだけど、、 ボウイ自身、、 明らかに疲れちゃっているよね、、 それは自虐の歌詞にも表れてはいるし、、 サウンドにしても、 なんか余裕が無い、というか、、 きらびやかで、時代を先んじているようでいて、 実は、、 ついて行ってる、って感じが… する。。
とりわけ、 ゲイリーさんや、 トムの、 極めて音数が少ない それでいて独自の音世界を創ってしまった 新しいロックの形と較べてしまうと。。。
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ゲイリーさんは 58年生まれ、 47年生まれのボウイと11歳も違うんだね。 今 ゲイリーさん57歳なんて、、、 キャリアの割りに若々しいの頷けます。。
一方、、 トム・ヴァーレインは49年の12月13日生まれ、、 ボウイと約3歳しか違わない。。
ボウイがカヴァーした 「Kingdom Come」を さっき聴き比べてみたんだけど、 ボウイの 華やかでポップに彩られた確かに80年代的ともいえる音と、 トムの、、(当時はこんな言葉無かったけど) 明らかにオルタナティヴな〈当時はアンダーグラウンドな、って意味かな) 今に繋がるミニマルに削がれた、、(でもちゃんと空間のある)音。。
ボウイと3歳しか違わなくてこの音感覚の差、、って何だろう、、 聴いて育った音楽は、 たぶんボウイとトムは殆ど変わらないと思うし、 ボウイの影響はテレヴィジョンにも多々感じられたけど、、
、、やっぱり、 この時期(80年)のボウイは、 もう長いキャリアを経て、 疲れてもいたんだろうし、 やはり焦ってもいたんじゃないのかなぁ。。。 その焦燥は(自分自身についてじゃなくて、あくまで音作りでね)、、、なんか その後のボウイにずっと付きまとっていた感じも、、する。。 それがボウイのボウイたる凄さでもあるんだけど。。 だから今だに来年の新譜に期待もしてしまうんだけど。。
(追記: 付け足しになってしまいますが、 私、ボウイの Kingdom Comeのカヴァーは大好きです。 アルバム全体の印象は別として、 このゴージャスなアレンジはボウイにしか出来ないと思います)
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ところで、、 さっき ボウイの「Kingdom Come」の歌詞カードを見ていて、 35年間 私は間違った歌詞を読んでいたのだと知りました。。 (ボウイの歌詞はこちらbowie.com>>)
Well I'll be breaking these rocks
And cuttin' this hay
、、の最後のところ、、 トムのライナーでは this way になっているのです。。 で、、 ボウイのCD盤(これはリマスター後に買ったもの)の訳詩では、、 cuttin' this hay って、、 あの「草」の意味になるんだ… と。。
「草」と「道」じゃ、、全然 意味違いますがな。。。 (昔の方はご存知でしょうけど、 当時の英語の歌詞って 聴き取りで作るので間違ってるの多かったし、 パティなんか 「聴き取り不能」とかって書かれていたりしてね)
、、それはまぁ置くとして、、、 この「Rocks」 もちろん「岩」ではありますが、、 何度も繰り返されるこのフレーズの「岩」… きっと ロックンロールの「Rocks」でもあるよね、、、 だから 「トム少佐」を「塵灰」に葬り、 ニューウェイヴティーンエイジャーと自分は違うんだということを歌う このアルバムの中に、 Kingdom Come が入っているんじゃないのかな、、
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どうして今頃、 80年のボウイやトムの話をしているかというのは、 ゲイリー・ニューマンさんからの流れでもあるんだけど、、 80年代の音は 特に今年聴くと本当に 面白いですよね。。
、、 テレヴィジョンネタについては、、 また続きます。。
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追記ばかりでスミマセン。。 書くの忘れてました。
検索してて知ったのですが、 今年の4月のレコードストアデイ用に、 Bowieが この曲の7インチレコードで、 一枚はトム・ヴァーレインのオリジナル、 もう一枚はボウイのバージョン、というのを出していたのですね。
Bowie Record Store Day 2015
DAVID BOWIE/TOM VERLAINE - KINGDOM COME LIMITED EDITION 7" 'SIDE BY SIDE' WHITE/CLEAR VINYL FOR RECORD STORE DAY 2015 >>
、、やだ 何コレ、欲しい! と一瞬思ったんですが、 べつに新録音でもないのでいいや。。
↑のボウイのサイトに書いてある、 in the style of Ronnie Spector って、、 ロネッツ風に歌ってみた、、ってことでしょうかね…
、、そうだったん?(笑)