ここでは妻夫木聡の次男が非正規労働(という言い方もお役所的な無神経の産物だと思うが)についている設定にして、その嫁さんが見つかるという話に改変している。
「息子」のリメークという感もあります。
本来、家族ではない赤の他人に希望を託す格好になるわけだが、家族が崩壊しかかっている原典とは違って現代では崩壊しているのが当たり前なので、一人残された老いた父に近所の女子中学生が通いで世話してくれるあたり、原典では家族がばらけるのがわかるのが、ここでは血はつながっていない相手が共同体を作る方を向いているといっていいのではないか。
歌舞伎座で連獅子が上演されているのだが、親子揃っての毛振りではなくて振るのは一人だけ。うがちすぎだろうけれど、なんだか最近やたら物故者が続出する歌舞伎もだが、小津などの日本映画の伝統はちゃんと受け継がれるのだろうかという不安の図に見えてしまう。
大道具係の一人がケガしたらしいのを大丈夫だから、と電話で話しているところがちょっとあるが、大ケガしたのに補償や保険が降りなくて大変だったという話は聞く。冗談じゃないよな。
母親が倒れるのが東京で亡くなるのも病院、というあたりは現代ならば当然だろうけれど、それだけにピンピンコロリでよかったという気もしてしまう。
2時間26分とは山田洋次の作品で一番長いのではないか。複数の家族のひとりひとりをある程度丁寧に描きこんでいくとすぐ長くなってしまうみたい。
(☆☆☆★★)
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