prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」

2013年02月18日 | 映画
初めの方の虎が仔ヤギを食べるシーンで、間に鉄格子がはまっているのに奇妙なことにいつのまにかそれをすり抜けて虎がヤギをくわえて去っていく。ヤギの大きさからして鉄格子をくぐれるわけがないし、格子を開けた形跡もない。
いくらなんでも演出ミスとは思えず、本筋が必ずしも信用できない語り手による、本当とは限らない話であることがだんだんわかってくる。
ボートが漂着するシルエットがはっきり横たわった人間の形をしている島のシーンで、反リアリズムあるいはマジック・リアリズムは明瞭になる。

3Dによる映像はおそろしく鮮明で、事前の情報としてCGだと知らされている虎にしても毛並のすみずみまで表現されていてピントが必ずしも全体には合わない実写よりリアルなスーパーリアリズムの表現になっていて、そうなるとかえってふだん馴れているリアル感から離れてしまう。
広大な海に浮かぶ救命ボートの映像も、リアルなのと同時に3Dで見るとどこかジオラマじみた現実離れした感じがつきまとう。

サバイバルを乗り切ったところで話が終りではなく(第一、語り手がいることで助かるのはわかっている)、どうやって生き延びたのかを保険会社の調査員に語る長いモノローグがそれまで画で見せていたものが本当のことなのかをかなり足元から堀り崩す。この本当かどうかわからない感じというのに3Dが寄与するとは予想していなかった。こういう3D効果もあるのかと思った。
目に見えるものが確かなのか、というテーマが出てきてそこから人間の力と認識の限界と、それを越えるそれぞれの文化=宗教の産物である神とはまた違う超越者としての神との関係といった思考に誘う。このあたり、原作を読んでみないといけないと思ってさっそく上下巻を買った。

日本人の調査員のキャストは日系人で済ませていて、日本語のセリフはおそろしく声が小さくて聞き取りにくい。
監督のアン・リーの出身地である台湾のスタッフが大勢参加しています。内容から当然インドのスタッフも混ざっていて、日本はすっぽり抜けている感じ。

リチャード・パーカーという虎の名前からミニョネット号事件を検索してみると、興味深い。知ってから見直したら、かなり見方が変わるだろう。
(☆☆☆★★★)

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ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 - goo 映画

2月17日(日)のつぶやき

2013年02月18日 | Weblog

@fwafwamaroon: 伝説のコーラを知ってますか? もし見かけたら是非、一度飲んでみてね♪ これ飲んだことない方はRTお願いできませんか? pic.twitter.com/Gv8wal8Z” コーラコーラっていったりして


絶対おかしい!「ロシアではよくあること…」な写真(PART3)16枚 labaq.com/archives/51780… @lbqcomさんから おそロシアってなもんで


日本の「保守化」「右傾化」っていうのは、長いものに巻かれる手合いや虎の威を借る狐が増えたってことじゃないかなあ。問題はもうひとつあって、それが本当に長いものなのか、張子の虎じゃないのかということ。


ブラームス 交響曲第4番 セルジュ・チェリビダッケ指揮 ベルリンフィル 1945年11月21日 録音


「ムーンライズ・キングダム」#映画 #eiga  goo.gl/i9q4a


「小暮菘華 小暮満寿雄 コラボ展2」フォトアルバム #書 #画 #展覧会 #コラボ blog.goo.ne.jp/macgoohan/e/8f…


それにしても、ロシアに落ちた隕石の情報がもっぱらNASA発表のものというのは変な感じ。ロシアにNASAにあたる機関はないのかいな。あれだけロケット打ち上げまくっているのに。


同じミラノ会館内の映画館でも、大劇場の1と2はデジタル上映で、小劇場の3とシネマスクエアはフィルム上映なのか。